『おじさまと猫』(桜井 海) 読書感想文 by あるむのママ

あるむのママさんより夏の読書感想文大会2021への投稿がありました。

書名: おじさまと猫 1巻~7巻(著者:桜井 海)
投稿ペンネーム: あるむのママ

 
「なんで猫を飼い始めたの?」これまで幾度となくされた質問です。
相手がどのような答えを期待しているのか分かりませんが、私は決まってこう答えます。
「落ちてたから。出会ってしまったから仕方なく。」

猫は大好きで子供の頃から猫と暮らしていましたが、実家を出てからの生活は猫を飼うことに適した環境ではありませんでした。
でも落ちてたから。
見つけてしまったから。
とりあえず拾って連れて帰るしかないじゃない?
こうして私は初めて自分の責任において猫を飼うことになります。
今から20数年前の暑い夏の日のことです。

本書もおじさまが猫と出会うところから始まります。
猫を飼いたいと思っていたおじさまは、色白ベビーフェイスのかわいこちゃん店員がいるペットショップで猫に一目惚れしてしまいます。
猫はもうすぐ1歳になる成猫。
ケージ内の他の猫たちに比べると成長しすぎで、大きさと容姿から値段が下がっているのに見向きもされず、誰かに愛されることを諦めていました。
 『どうせ誰も私にゃんて欲しがらにゃい・・・』
その猫を指し、おじさまは言いいます。
 『この猫をください』
  『プレゼントですか?』
 『いいえ、私が欲しくなったのです。とても可愛くて。』

このセリフにハッとしました。
そうだ、私も単に出会ったから連れて帰ろうではなかった。
一目見て可愛さに撃沈し「大丈夫、ママだよ。お家に帰ろう。」と声を掛けて連れて帰ったんだった!
出会った瞬間に私はママになったのです。
たった数ページで愛猫と出会ったときの気持ちを思い出し、ウルウルしながら読み進めると、次から次へと猫飼いあるあるが飛び出します。

なんせおじさまは猫との生活は初めて。
色白ベビーフェイス店員ちゃんのアドバイスでグッズを買ったものの家に帰れば頼る人はおらず、猫砂の適量すら分からないのです。
おじさまの行動ひとつひとつにハラハラさせられ、笑わされ、涙し、この人は私のリアル猫友なのではないかという気すらしてきます。

猫関係の著書が多い井下優子さんは「たとえば猫がいるだけで」の中で『人生を食事にたとえるななら、ネコはフリカケのようなもの』と
述べています。(注1)
人は猫を飼わなくても生活できるけれど、猫がいることでより彩りが豊かになる、という話の中での一文です。

おじさまも人生のフリカケをきっかけに、今までとは違う行動を起こし、今までと違った交友関係が始まり、新たな世界が広がります。
のりたまのように優しい味わいのときもあれば、すき焼きフリカケのような一風変わった味わい、わさびフリカケのような鼻の奥がツーンとする味わいのことも。
全ては猫のおかげ。
今まで敬遠していたことにも挑戦していくおじさま、フリカケの効果は絶大です。

さて、我が家にもフリカケである15歳の茶トラのおんニャのこがいます。
名前はあるむ、友人であるMさんから託された猫で、ニャン生の2/3を私と過ごしています。
彼女が我が家にやってきた詳しい経緯はここでは記しませんが、私はMさんに「お願いがあるんだけど」と言われた瞬間に
「これはあるむのことだ!」とピンときて、
まだ内容も聞いていないのに「いいですよ」と答えました。
私はいつもブログで見ていたあるむが可愛くて可愛くて
うちの子になったらいいのに、と思っていたので
もしかしたら、あるむを私にくれるのかも!だったらいいな。
との願いもこめて先にOKを出したのかもしれません。

しかしながら、「あるむ」というフリカケは想像していたよりずっとずっと刺激的なフリカケでした。
先住猫に暴力を振るう、新入りなのにおやつを我先にと奪う、私に噛みつき引っかく。
声を掛ければ返事は威嚇のシャー!
激辛レベルMAXのキムチフリカケです。
しかもこの刺激は10年経った今も変わりません。
高齢になり若干丸くなりましたが、まだまだキムチのままです。
それでも私はあるむが愛おしい。
腕に残る歯形や引っかき傷でさえ愛おしいのです。

本書には『引っ越し先のマンションがペット禁止のために手放されてしまう猫』のエピソードも登場します。
いきなりよその家に連れて来られた猫は不安で不安でたまりません。
その姿はまるで10年前の怯えたあるむのようです。

そう、何が起こったか分からなかったんだよね。
でもそんなあるむを見て思ったんだよ。
「・・・ママだよ」

私の気持ちが通じたのかどうか・・・自称・猫語が分かる家人によると我が家に来た、その夜のうちに「アタシをこの家に置いてください。Mさんのお家には戻りません。」と話しかけてきたと言います。
嘘か実か・・・それは後日、Mさんとあるむが再会を果たしたときの様子が全てを物語っているような気がしないでもありません。(注2)

本書は読めば読むほど自分と猫と関わり方を重ねてしまい、いろいろなコトを思い出し、どんなに自分が猫好きかを改めて実感します。
おじさまと一緒に怒り、泣き、そして笑って幸せを感じる。
あるむもお外の猫も、おじさまと猫も、みんなみんな幸せに暮らして欲しいなぁ・・・
ただただそんな気持ちになるストーリーです。

木公さんも読めばきっとフリカケのある生活っていいな、と思うことでしょう。
ギターを弾いてる男より猫を飼ってる男の方がモテると思うよ。

注1:
可愛いペットの豆知識 たとえば猫がいるだけで(井下優子著/廣済堂出版)15ページ

注2:深くて埋められない溝。もしくは、完全に忘却されたあるにゃんの元飼い主

深くて埋められない溝。もしくは、完全に忘却されたあるにゃんの元飼い主

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