あるにゃん(17歳)を動物病院に担ぎ込んだ

昨日、あるにゃんの様子がおかしいと里親さんから緊急連絡があった。
飲み食いを一切しなくなったし、片目に瞬膜が出たまま戻ず、じっとしたままで、かなり衰弱しているようにみえるという。

2006年夏に京都の北大路で拾ってきてから17年、都合により別居することになり里親さんに預けてから12年経ちます。
その間、特に病気や怪我をしたことはない。新型コロナ騒ぎで途絶えてしまったけれど毎年の予防接種もきちんと受けさせていたし。老婆猫になっても暴れん坊で手に負えないと里親さんからはちょくちょくクレームをもらっている。

それでも、もう17歳なんだ。イエネコの寿命がだいたい15年くらいだと聞くから、そろそろお迎えが来たとしてもおかしくない頃ではある。
ともあれ、獣医に診てもらおうということで、今日の朝イチでかかりつけの動物病院にあるにゃんを担ぎ込んだわけです。

僕があるにゃんに会うのは4年ぶりくらいだけれど、見た瞬間痩せてるのがわかった。
実際、獣医が体重を測ったところ3kgだった。カルテを見せてもらったら、最後に体重を測定した2018年には4kgだと記録されていた。きっかり25%も減った計算になる。
僕の現在の体重が60kgだから、それが45kgになるという計算だ。これにはビビった。

あるにゃんの最近の様子は、里親さんが獣医に説明してくれた。一時、大量に水を飲んで尿も多い時期があったという。それが昨日、ぱったりと水も飲まなくなったと。

それを聞いた獣医は、腎不全を疑った。高齢の猫にはよくあるという。老廃物を排出できなくなって不調になっている可能性があるとのこと。
人間なら、週に3日程度の人工透析をするケースだそうだ。しかし、猫用の人工透析機は無い。あったとしても、週に3日も通院して血液の濾過をする時間的・経済的費用もバカにならない。
やるとしたら、症状の重さによって、多ければ毎日、少なくとも週に1度の点滴による対処療法しかないと説明された。

正直、しんどいな、と思った。
里親さんの家は、僕の家から車で30分のところにある。かかりつけの獣医は僕の家の近所。つまり、通院となると、あるにゃんをピックアップするために、まず30分遠くまでドライブし、ほぼ同じ道を戻ってこなくてはならない。治療が終わったら、また30分かけて送り届けて、また同じ道を自宅まで帰ってこなくてはならない。
それに、飼い猫の平均的な寿命はもう全うしたんだから、無理して延命させる必要もないんじゃないかと思ってしまったし。

けどさ、「しんどいからイヤです」とは言いにくいじゃん。里親さんと獣医の前で、自分が命に対して冷たい人間だと思われたくないもん。にんげんだもの。
どういう治療方針をしたいかと聞かれても、本心を言えずに僕は黙り込んでしまいました。

それを見かねたのか、獣医は血液検査だけはしてみようと勧めてくれた。あるにゃんが腎不全だという見立ては、あくまで問診に基づくものであり、まだ確証は得られていないのだ。
それに僕は同意した。ちょっと冷たいようだけれど、ここで「もう手遅れです」みたいな結果が出れば、あとはゆっくりと余生を過ごしてもらえばいいと思った。無理に狭いケージに押し込んで、往復1時間運ばれるというストレスも与えなくても済むのだ。それはたぶん、全員にとってハッピーな結末だ(収入の減る獣医は除く)。

あるにゃんは左後足の毛を剃られ、アルコール消毒の後、注射器を刺されて採血された。人間の採血とほぼ同じ手順だけれど、なるほど毛があるとそれを剃るんだな、などと呑気なことを考えながら処置を見ていた。顔はなるべく深刻そうな表情を作ろうと努力していたけれど。

病院内に血液検査機があるらしく、獣医はすぐに検査にとりかかってくれた。その機械は隣室に設置されているのだが、ドアにはガラス窓がはめられていたので作業の様子を見ることはできた。もっとも陰になって手元は見えないので、彼の立ち姿を眺めるだけだったけど。
ていうか、彼の作業風景は退屈だったので、診察台の上のあるにゃんに触ってみたりしたけれど。昔はもっとふくよかだった気がするけれど、なんだか骨ばって感じた。毛艶も失われているようで、本当に歳をとったんだなとちょっとしんみりした。

検査は数分程度だったろうか。ドアをガラッと開けて、獣医はすっとんきょうな声を上げた。
腎不全じゃありませんでしたぁぁ!数値はギリギリ正常範囲内ですぅ!
その他、血中糖分やタンパク質の数値などにもほとんど異常はなかった。人間ドックで検査されたそんじょそこらのオッサンたちよりもよほど良好な結果だった。

結局、あるにゃんの不調の原因はわからず。歳が歳だから、まぁたまにはそういうこともあるよな、と納得することにした。
点滴で栄養水分補給だけして、今日の処置は終了。

あるにゃん(17歳)は、ちょっと体調は崩したけれど、まだまだ生きそうです。良かった。

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