話は大学の学部3年生ころにさかのぼる。
場所は札幌北区の”カネサビル”(飲食店が多数営業している雑居ビル。ていうか、安酒を出す店がメインで貧乏な北大生の溜まり場)だったと思う。
「こんなの美少年の味じゃないわ!」
とは、当時「悪くないじゃん、この子」と、当方がちょっぴり心を寄せていた女の子の言。
ちなみに、僕の女の子遍歴を知っている人からは「うぞっ。マジ!?」と声が上がること間違いなしのクールな美女系(山瀬まみの対極にある)。
一度、酔っ払っての帰り際に「抱っこ~」と甘えてみたところ、一度だけハグしてもらった甘酸っぱい思い出。冬だったので、分厚いコートに阻まれて、感触がよくわからなかったのが悔やまれるところ。
閑話休題。
そんな彼女が飲んでいたのが、美少年という名を冠した日本酒。
美少年(ヒト)の味がどんなものか知らない当方なので、「ふ~ん、そんなもんなのか」と訳のわからない納得をしつつ、「なんなら、俺の味を試してみるか?」とは口が裂けても言えなかった、年齢は20代前半なのに見た目は30代前半だった僕の淡い思い出。