能町みね子『オカマだけどOLやってます。完全版』を読んだ

今年の五月病は例年よりしつこいという話を聞きました。つーか、聞きましたというのはウソで、僕が今勝手にそういう話を流布するわけだけれど。

みなさまにおかれましては、しつこい五月病に屈しないよう、十分な睡眠と滋養のある食事、適切な運動や日光浴、および仕事や対人関係のストレスを笑い飛ばすスルー力を涵養していただき、心身ともに健康な日々をお過しくださることを心より深くお祈りするところであります。

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さて、今日の本題は能町みね子という人物、およびその著作についてです。

僕がこの人のことを知ったのはちょうど1年くらい前でしょうか。当時放送されていた『ヨルタモリ』(フジテレビ)でお見かけしたのが最初だと思います。

「何者だか知らないけれど、派手な格好をしたオバちゃんが出演してるなぁ。どことなくスノッブな振る舞いが少々鼻に付くよなぁ。嫌悪感を抱くというほどではないけれど、どちらかと言えば、あまり友達にはなりたくないタイプ。『ベッドで抱けるか?』って聞かれたら、抱けないと答える。年齢不詳なオバちゃんなら、圧倒的に永作博美の勝ちやろ!」

正直に記憶をたどれば、そのように評しておりました。
そして、顔ははっきりと覚えたけれど、名前はうろ覚えでした。

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ファンシーメイト

『ファンシーメイト』表紙さっき、近所の本屋に出かけたら、かわい子ちゃんの視線を感じた。
そちらを見返すと、表紙に若・春子こと有村架純さんをあしらった『ファンシーメイト』という本があるじゃありませんか。俺のハートが撃ちぬかれた。買った。

中身は1980年代の女の子向けのファンシーグッズや習俗の紹介。「なめ猫」とか「うちのタマ知りませんか」とか「バイキンくん」とか丸文字とかS&B食品の「佐藤くん」、「鈴木くん」、「いまどきのチップ」とか、ブルボンの「きこりの切株」とか懐かしいなーと。
ていうか、「きこりの切株」は今でも売ってるのか
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すぐ泣くフェルゼン

池田理代子『ベルサイユのばら』を通読した。今回が2回めで、実に四半世紀ぶりだろうか。高校生の時に、当時お付き合いしていた女の子が友達から借りてきたという同書を又借りして読んだ時以来だと思う。

その際、彼女から伝えられた感想は「フェルゼンって男のくせにすぐ泣くよね。私は”すぐ泣くフェルゼン”って呼ぶことにした」というものだった。事前にそんな話を聞かされていたものだから、僕も読みながらフェルゼンにばかり目が向いた覚えがある。
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風が吹いて、バイクが判明した

昨日、原田宗典の小説に「新しい彼女と遊びに行っている間に、元カノがバイクを取りに来る」という話があり、その題名を知りたいという記事を書いた
めでたく判明した。

原田宗典の短篇集『時々、風と話す』に収録されている「零れた水のように」という作品だった。
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新しい彼女と遊びに行っている間に、元カノが荷物を取りに来た話

2004年の夏のことだから、すでに一昔も前のことだ。その時からずっと心に引っかかっていて、折にふれては一人で密かに思い出していたりしていた。自分なりにその真相を明らかにしようと試みたこともあったのだけれど、未だ解決できずにいる。
そこで、みなさんのお知恵を拝借しようと思った次第。

発端は、2004年の8月に某ねーさんからもらったメールだ。
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朝倉かすみ『少しだけ、おともだち』

短篇集。
そのうちのひとつ『C女魂』は、著者が「3.11小説」だと宣伝していた。

どれどれと思い、興味を持った。

朝倉かすみは今年知った中で最大のお気に入り作家なのだが、文庫化されたものしか買ってなかった。しかし、今回これをどうしても早く読みたくて、ついに単行本で買った。本棚で他の文庫と揃わなくなるのは残念だが。
あと、帯の応募券を貼って送ると抽選で手ぬぐいがもらえるとのことで、それも目当てだったわけだが。

書名にあるように、短篇集のテーマは「おともだち」。
その割には、仲がいいんだか悪いんだか微妙な関係や、表面上は親しく付き合っているけれど心の中ではちょっとウザったく思っている話やらのオンパレード。ひらがなで「おともだち」と記されたほのぼのムードとは若干距離がある。
それでいて、お友達のことをおともだちらしく思わないでいることを申し訳なく思い、心苦しく感じている人物たちがたくさん出てくる。そんな微妙な「少しだけ」遠い感じが主題。
そういう意味では、絶妙な書名。
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朝倉かすみ『ともしびマーケット』

太宰治の『走れメロス』は面白い(青空文庫で読む)。
しかし、僕は長い間、その面白さの本質がなんなのかわからずモヤモヤしていた。中学生の読書感想文なら「友情とはなんて素晴らしいものなのでしょう」などと無難にまとめておけば国語のセンセーの覚えはめでたかろう。けれども、なんだかそれだけではないような気がしていた。

森見登美彦の『【新釈】走れメロス』のあとがきには以下のように書かれていた。

「走れメロス」は、作者自身が書いていて楽しくてしょうがないといった印象の、次へ次へと飛びついていくような文章。

それで僕ははたと膝を打った。確かに、太宰の『走れメロス』はまるで活字がひとりでに踊りだすかのような迫力と躍動感がある。それが『走れメロス』の面白さの本質なんだと理解した。

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サブカル買い物でストレス解消

なんだか知らんが、とにかくムシャクシャしているわけで。

「ストレス解消には買い物がいちばん!」という話をよく耳にするが、僕にはなんでそれがストレス解消になるのかよーわからんかった。
数年前までは。

ここ何年か、なんとなくその境地がわかってきたような気がする。イライラする時に、衝動買いをすると気持ちが収まることもあることを身をもって知った。
そんなわけで、ムシャクシャするのでネット通販で本を買った。

以下のサブカル系(?)書籍2冊。合計2,800円のささやかな買い物。
これで心の平安を取り戻したのだから、安いものだ。

【中崎タツヤ『もたない男』】
中崎タツヤという人は、週間スピリッツで『じみへん』というマンガを20年ちかくほそぼそと連載している渋い漫画家。見開き2ページに完全手書きの15コマ漫画を描くという地味な連載漫画(一時期、4ページになったこともあったっけ)。
バカバカしいのだけれど、妙に思弁的で哲学的で風刺的な内容にグッとくる。僕が大学1年生だった1990年代前半ころには、「オレは重苦しい思索と、軽い笑いの両方の分かる、味わい深い男だぜ」っつーのを装うために、新入生の必読書だったような位置づけだった(ような気がする。少なくとも、当時の北大教養部文II系の一部では人気だった)。
その後、『じみへん』は多少の浮き沈みはあったものの、売れるわけでもなく、連載打ち切りになるわけでもなく、今日に至る。

そんな『じみへん』の作者の中崎タツヤは、どうやら変わり者らしい。
平塚に住んでいて、競輪が大好きだという話をどこかで読んだような気がする。あくせく働くわけでもなく、飄々としているっぽい。
そして、モノを所有するのが嫌いらしい。身の回りをこざっぱりとしていたいらしい。
仕事場には、机と椅子、昼寝用枕と寝袋、掃除機以外のものはなにもないらしい。賃貸アパートの入居時に備え付けてあったガスコンロさえ、邪魔だといって押入れの中にしまいこんだらしい。もちろん、カーペットなども敷かれていない。
あまりに殺風景で、訪問客は内見用の部屋だと思うほどだそうだ。

そういった彼の暮らしぶりや人生観が書かれているらしい『もたない男』を購入した次第。
彼の生き方を知り、俗世の細々したことにいちいち惑わされず達観してみたい。


横田増生『評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」』
タレントの似顔絵を消しゴム版画で作り、テレビやゴシップネタに対する鋭い評論をすることで有名だったナンシー関。
彼女が急死したのは2002年の6月のことだそうで、今がちょうど没後10年。
そのタイミングで『評伝ナンシー関』という本が出たそうだ。

関係者へのインタビューをはじめ、ナンシー関本人の版画や文章を収録し、彼女の業績や位置づけを浮き彫りにすることを目指した書物らしい。

著者の横田増生という人はジャーナリストだそうだ。そして、ナンシー関のことを真剣に追おうと思ったのは彼女の死後だそうだ。
正直、「死後になって追いかけ始めた人の評伝ってどーなのよ?」と思わないではないが、もしかしたらそういう人の方が冷静に彼女の業績をまとめることができるのかも知らんと期待して購入。どっちみち、僕も彼女の死後にナンシー関の本を読み始めたクチだし。


そんなわけで、到着は2-3日後だが読むのが楽しみだ。
読んで精神衛生が良くなるといいのだが。

「そんなん読んでる場合ちゃうやろ」という声は聞こえません。

峰なゆか『アラサーちゃん』

週刊SPA!峰なゆかの『アラサーちゃん』という4コマ漫画が連載されている。30歳女子のアラサーちゃんが、男と女の微妙な駆け引きを行うというもの。男にモテるために様々な努力をしたり、理不尽で幼稚な男の言い分に合わせてみたり、つい我慢の限界に達して本音を叫んでみたりといった漫画。
ライバルのゆるふわちゃん(男好きのするかわいこちゃん)と張りあってみたり、元彼氏のオラオラ君と腐れ縁が続いていたり、本命の文系くんが振り向いてくれなくてヤキモキしたりもする。

雑誌で読んで気に入ったので、単行本を買ってしまった。おもろかった。

『アラサーちゃん』というはてなダイアリーがあり、そこで多くの漫画が読める。それを試し読みして、気に入った人は買うが良い。なお、単行本に収録されている漫画の半分近くは先のはてなダイアリーに掲載されているものの、ネットで見ることのできるものはラフスケッチ版。単行本では同じ話がキレイに描き直されています。

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アンホルト『理系のための口頭発表術』

昨日、浜松市に出かけて自分の研究の口頭発表をしてきた。
落ち着いて話ができたし、ちゃんと持ち時間を守ったし、たくさんの質問やコメントももらえたので、なかなかの首尾だったのだろうと自画自賛している。
昨日は気分が良かった。

でも、今はすごく反省している。
事前準備を怠り、発表5分前までスライドの修正をしていた。軽微な修正なら良いのだろうが、昨日の僕は発表30分前にトークの流れをガラリと変えた。当然、リハーサルなどやれなかった。小手先のクソ度胸だけはあるので、それでも本番はなんとかなった。でも、後半は随分と早口になったようだし、何枚かスライドを飛ばした。
これらはあまり褒められたことではない。

そのバチが当たったのか、発表直前まで修正していたファイルがそっくり失くなった。操作ミスで一部のスライドを削除して、そのまま保存してしまったようだ。バックアップファイルは一昨日の全く違うバージョンしか残っていない。明後日、ほぼ同じ内容で別の場所で発表する機会を頂いているのだけれど、昨日の発表資料を流用できなくなった。思い出して同じように作れば良いだけの話だが、少々心が折れた。今、軽く放心状態だ。一昨日までに完璧なスライドを準備しておけば、こんな気分にならなかったのに。
資料の作りなおしも悲しいが、意外と「思い出の品」を大事にする当方なので、発表の思い出であるスライドが失くなったことの方がもっと悲しい。
落ち込んでいる。

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