老眼の夢

 こんな夢を見た。

 久しぶりに母校の大学に出向いてみると、ベネトンの派手なトレーナーを着た若い男が、静かな声で今日から後期が始まると言う。ツヤツヤした頬の底に温かい血の色がほどよく差して、唇の色は無論赤い。楽しい夏休みを謳歌したに違いない。しかし男は静かな声で、今日から後期が始まるとはっきり言った。自分もたしかに、今日から後期が始まるなと思った。そこで、そうかい、もう後期が始まるのかい、と男を見上げるように聞いてみた。
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NHK『べっぴんさん』第2回

10年近く朝ドラを見ていると、「大阪制作朝ドラ(下半期)によく出てくる俳優」というのがわかるようになってきた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『想いをこめた特別な品』

坂東一家の暮らす邸宅は、最近建築されたものである。坂東五十八(生瀬勝久)は大勢の客を招いて、完成披露パーティーを開催した。

パーティーには貴族院議員の田中五郎(堀内正美)や五十八の会社の取締役である野上正蔵(名倉潤)などの名士も招待されていた。田中と野上はそれぞれ息子の田中紀夫(玉山詩)と野上潔(大八木凱斗)を伴っていた。

すみれ(渡邉このみ)と姉・ゆり(内田彩花)が招待客の前で挨拶をすることとなった。
上品で外交的なゆりは卒のない挨拶を行った。一方、内向的なすみれはモジモジとして声を出すことすらできなかった。そんな彼女に代わって、姉のゆりがすみれの紹介をしてやった。

姉・ゆりは取締役・野上の息子である潔に好意を抱いていた。彼にいいところを見せようと、潔と議員・田中の息子・紀夫の前でピアノの演奏を披露した。ゆりの腕前は確かで、大人の客たちも耳を傾けるほどだった。
しかし、演奏を終えたゆりが振り返ると、そこに残っていたのは紀夫だけで、肝心な潔の姿はなかった。

その頃、すみれは別室で刺繍の練習をしていた。入院している母・はな(菅野美穂)のためにユリとスミレの刺繍を持っていったのだが、誰にも分かってもらえなかったことが悔しかったのだ。暇さえあれば、刺繍の練習に熱中していた。
そこへ、潔がやって来た。潔は一目見るなり、モチーフがユリとスミレであることを見抜いた。すみれは、自分の技術が向上したのだと思って嬉しくなった。

ある日、町の靴職人・麻田(市村正親)が家へやって来た。来年、女学校へ入学する姉・ゆりが靴を新調するためである。
その場ですみれは、靴は針と糸で革を縫い合わせて作られていると知った。刺繍の参考になると考えたすみれは、その夜、父・五十八の革靴を自室に持ち込み、ハサミで分解して構造を調べた。元に戻せなくなってしまったが、翌朝にはこっそりと元あった場所に戻しておいた。

靴を分解するだけでは飽き足らず、すみれは靴職人の麻田に話を聞きたいと思った。そのことを女中頭・喜代(宮田圭子)に相談したが、喜代には反対された。近頃、神戸の町中には人さらいが頻発していると新聞で報じられており、すみれが出かけるには危険だからだ。

そんな矢先、バラバラになった靴が執事の井口(曾我廼家文童)によって見つけられた。その靴は舶来物の高級な靴で、五十八のお気に入りのものなのだという。本人に知られる前に、麻田に依頼して修理してもらうことになった。

その時、偶然にも野上潔がお使いで家に来ていた。潔は町に帰るついでに、麻田へ靴を届けることを買って出た。
すみれは、靴職人・麻田を訪問するため、こっそりと潔の後を付けていった。すみれに気づいた潔は、夕飯までに帰ることを条件に連れて行ってやることにした。
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NHK『べっぴんさん』第1回

半年のご無沙汰で、いきなりこんなこと言うのもなんですけど、今回の朝ドラには義務感以外にほとんど関心のない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『想いをこめた特別な品』

昭和9年(1934年)、坂東すみれ(渡邉このみ)は神戸の高台に建つ豪邸で豊かな暮らしをしていた。

父・坂東五十八(生瀬勝久)は、大阪で衣料品を取り扱う会社・坂東営業部を経営していた。はじめは外国から輸入した布生地を取り扱う問屋業だったが、東京に工場を構え、洋服など自社製品を流通させることで事業を拡大。今では衣料品だけではなく、香水やカミソリなどの高級な衣料雑貨を手広く扱うことで業績は右肩上がりだった。
五十八は、自社ブランドを特別な品「べっぴん(別品)」として自信を持っていた。

母・はな(菅野美穂)は病気のため、長期入院していた。五十八が起業したころ、はなが会社を手伝っていた。彼女の内助の功は、会社の中でも広く知られていた。

すみれには、年の近い姉・ゆり(内田彩花)がいた。ゆりは快活で外交的な少女だった。

一方、すみれは思ったことをはっきりと口に出せないタイプだった。
父・五十八がイギリスから取り寄せた高級な生地を神戸の一流仕立て屋に持ち込んで、娘たちにおそろいの洋服を作ってやった。姉・ゆりは着用した姿を満面の笑みで父に披露したが、すみれはモジモジしてばかりだった。五十八は、すみれが洋服を気に入らなかったものと誤解して機嫌を悪くした。実際のすみれは、襟にあしらわれた刺繍をたいそう気に入っていたのだが、それをきちんと伝えることができなかったのだ。

人との社交性に難のあるすみれだったが、芯が強く、一度熱中したものはとことんまで突き詰める性格だった。
ある夜には、分厚い子供向け文学集を読み始めたら止まらなくなり、夜を徹してまるまる読んでしまうほどだった。もっとも、そのせいで翌朝はひどく寝坊してしまった。

すみれの宝物は、母がつくってくれた四つ葉のクローバーの刺繍だった。
母が元気だった頃、家族でピクニックに出かけた。そこですみれは、四つ葉のクローバーを見つけた。その時、母・はながクローバの4つの葉にはそれぞれ「勇気、愛情、信頼、希望」という意味があり、その4つが全て揃うと幸せになれるのだと教えてくれた。そして、クローバーをかたどった刺繍を作ってくれたのだ。
それ以来、母の言葉と共に、すみれはいつもクローバーの刺繍を持ち歩いていた。

一家は、病院の母を見舞うことにした。
姉・ゆりは家の庭に咲いていた花を摘んで持参した。ゆりの少女らしい振る舞いに一同は感心した。

一方のすみれは、母の刺繍道具を借りて、夜遅くまでかかって刺繍に取り組んだ。しかし、生まれて初めて見よう見まねで作業したため、そのできはひどかった。白い糸と紫の糸で何かが縫い付けてあったが、何をモチーフにしたものか判然としなかった。
父・五十八はそれを見て、悪意は無かったものの、吹き出してけなしてしまった。悲しくなったすみれは、一度手渡した刺繍を奪い取って病室を飛び出してしまった。

みんなには何を縫ったのか分からなかったが、母・はなだけはそれが「スミレとユリ」をかたどったものだと分かっていた。そう言って、五十八をたしなめた。

その夜、すみれは泣くほどの悔しさと悲しさで眠れなかった。
しかし、そこで諦めてしまうほど心の弱い少女でもなかった。夜中に起き出し、もっと上手くなれるようにと刺繍の練習を始めるのだった。
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黒木華とフォウ・ムラサメの「ばーん!」: 似てるもの愛好家としての俺

私のギターが聞こえなくっても (発表会終了)

先日お知らせしたとおり、今日は音楽教室の発表会でした。
演奏曲目は森高千里の『私がオバさんになっても』でした。選曲の理由は後述。

僕はリードギター担当。イントロや間奏、アウトロが見せ場です。特にアウトロでは、原曲のフレーズの合間にオリジナル・アレンジのギターソロを演奏しています。その他、歌の伴奏も一部を除いて弾くことになっていました。
セカンドギターは、僕のギター講師が演奏しています。下の映像では画面に写っていませんが、ずっと聞こえているギターの音は彼のものです。主役は僕のはずなのに、僕より目立っていて軽くイラッと来ますが、結果としてバンド・アンサンブルの要として彼のギターはなくてはならないものです。

ドラムセットには囲いがしてあって、そのフレームと重なってしまっていますが、画面中ヴォーカルの右上にベースがいます。彼はベース科の講師で、すごくかっこいいベースを弾きます。デモ演奏とか見ると惚れます。しかし、僕の演奏中は控えめに弾いてくれて、僕らを引き立ててくれました。空気の読める人です。

画面ではほとんど見えないと思うけれど、ドラムは若いかわいこちゃん女子が叩いています。色白丸顔ベビーフェイスのかわいこちゃんです。映像をお見せできないのが残念です。もちろん当方のストライクゾーンです。演奏中、用もないのに彼女の方を向いたりして楽しませていただきました。彼女と会うのは、今日が2回めなんですが。

ヴォーカルをやってくれているのは、去年からずっと一緒に演奏している通称「JD」です。今年の3月まではJKだったのですが、4月にめでたくJDになりました。僕のリズムが狂うと鋭い視線で睨みを効かせて注意を促してくれるという、息もぴったりな相棒です。

それでは聞いてください。


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甲乙つけがたい女教師

黒木華主演『リップヴァンウィンクルの花嫁』のBlu-rayを見ていたら、とあるシーンに既視感があった。
映画館で1度見ているから既に見たことのあるシーンであることには間違いはないのだが。

岩井俊二 (2016) 『リップヴァンウィンクルの花嫁』

岩井俊二 (2016) 『リップヴァンウィンクルの花嫁』


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若い子が好きだから、とても心配されるギタリスト (発表会の告知)

大事なことを先に書きます。

2016年9月10日と11日に僕の通っている音楽教室の発表会があります。そこで僕もギター演奏をします。
場所は奈良県橿原市にある天理楽器・ホール音蔵グーグルマップで場所を見る)。最寄り駅は近鉄・大和八木駅、徒歩10分。近隣にコインパーキングあり(会場にも駐車場はありますが、朝の時点で満車になると思います)。
入場無料、出入り自由。

僕の出番は10日(土)の11時から12時あたりのどこかです。当日の進行によって多少前後することがあるので、観覧される方は時間に余裕を持ってお越しください。
演奏曲は当日のお楽しみです。僕は1曲だけ出演します。

今日は、発表会のリハーサルがありました。以下は、リハーサルの模様についてどうでもいいことを書きます。
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ラブ・ストーリーは突然に: 東海道五十三クリング(26) -あれから5年-

まだ本州は梅雨明け宣言されていないようだけれど、今日の京都府はまあまあ天気がよかった。少し雲は出ていて、空の色も淡かったけれど、気持ちの良い空模様だった。

5年前の今日、僕は東京の真ん中にいた。1週間の休暇で、自転車を担いで午前7時に日本橋に立ったのだった。僕の記憶している限り、当日は雲一つない晴天で、空は真っ青だった。
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寝屋川、薩摩、お好み焼き、エレキギター

2日前、youtube をつらつら見ていたら、お好み焼き屋の片隅で超絶技巧でエレキギターを弾くおじさんの動画を見つけた。


SATSUMA3042というアカウントで(別途ブログもある)、単に演奏するだけではなく、奏法を丁寧に解説する動画などもある。CDから聞こえてくる細かい特殊奏法や演奏ミス、果ては僕のような素人には判別不能なチューニングの仕方まで完璧に再現する方法を教えてくれる。
そのしゃべり方は朴訥とした関西弁だし、動画編集も素人臭さ満載なのだけれど、ギターが凄くうまくてびっくりする。

しかも、いつもお好み焼き屋の片隅だし。
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いつも走ってた oh フレンズ、あなた真剣な目をしたから

先日アナウンスした通り、今日は音楽教室のミニ発表会でした。

ヴォーカル(JD)、ベース(アラサーおっさん)、ギター(当方)、ドラム&シンセサイザー(打ち込み)という編成で2曲演奏してきました。
曲目は『フレンズ』(レベッカ)と『タッチ』(岩崎良美)。いずれも1985年に発表された曲で、ヴォーカルちゃんは受精卵すら存在していなかった。そんな懐メロを彼女に無理を言って歌ってもらいました。だって、僕らオッサンの思い出の萌え曲はぜひとも若い女子に歌ってもらいたいじゃん。
#本当は彼女もギター科に通ってるんです。
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