“札幌のママ”の言いつけを守って,原田宗典の本を読んだよ!
「優しくって少し ばか」という短編集を買ってきて,表題の作品を読んだよ!
さすが”ママ”だね,すげぇ面白かったよ!
ストーリーは,平日の午前11時に始まる.
かすかに揺れるセミダブルのベッドの上に,ちょっぴり上気して,汗ばんだ若い男と女.
・・・って書いたら,ちょっとヒワイだよねぇ.
「おっ」と思って,ワクワクしながら読み進めた人が,全体の30%くらいはいることを期待してるんだけれど.;-p
種明かしをすると,2人とも風邪で寝込んでるのだ.
まぁ,男の方が彼女の部屋にしけこんでいることに間違いはないのだが,2人とも熱があって,シャツも汗でぬれちゃっている.彼女が咳をする度にベッドが揺れちゃう.
そんなオープニング.
エロチックな内容を期待した人,ごめんなさい.
で,お話は,男のどーでもいい妄想やら,心の中の独り言やら,2人の「男女のよくある会話」で淡々と進む.
淡々と進むんだけれど,きっと誰しも「おー,そんな話,俺もしたことあるわ」と思うこと間違いなしな内容.
ストーリーのラストが,予想するに午後1時前.
文庫サイズ107ページに渡って,1Kのアパートを舞台に2時間弱の”優しくって少しばか”な2人のやり取りが続く.
読後感は,愉快で,ほんわかして,ノスタルジックな感じ.
途中,ピリッと風刺が入ってたりして,そこもまたヨシ.
僕らの業界に対して,まぁ,よくある話だけれど,「サンプルから母集団を推定することって,ほんとにいいの?」っつー内容が,書かれてたり.
(本当は,僕はこの批判にはちゃんと答えなきゃいけない立場にいる人間だけれど,「alm-oreはそういうことを目指した場じゃない」とお茶を濁して,卑怯にも敵前逃亡するケドー)
あと,僕が昔から言いたかったことが言われてた.
よーし,引用しちゃうぞ!
やだなあ”愛しあう”とか言いうの.
いきがかり上どうしても言わなきゃならなくなっちゃったわけだけどぼくは実は嫌でたまらないんだ この言葉って何かこう実体もないのにやたら氾濫してるじゃないか とくに流行歌なんかひどいもんだ 一から十まで愛愛愛愛唄っちゃってまるで枕詞みたいにあつかってさ ほんと気分悪い 一説によると”愛”なんて言葉は昔の日本にはなかったらしくてイニシエの恋人たちはそれをほんのり肌で感じあって満足していたのだそうだが
うん
なんて結構な状況なんだろう
(原田宗典 「優しくて少し ばか」 p.85; 本文中の空白は筆者による)
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