文化的な生活をしようと思った。
文化と言えば読書でしょ、ってことで3冊読んだ。
まずは、昨夜から読み始めていた「落花流水」(山本文緒)を読み終えるべく取り掛かる。
1967年、主人公の手毬が7歳の時から物語がスタート。
以下、2027年に67歳になるところまで、10年毎に7章からなるお話。
いわゆる「女の一生」系小説。
山本文緒文学の定番そのもののお話で、男女の愛憎→破滅系。
ああ、重い。
でも、その「重さ」が魅力で、山本作品はよく読むんだけれど。
しかし、アレだなぁ。
ずいぶん沢山の登場人物がいるのだけれど、「この人の生き方を真似たい!」と思う人物が1人たりとも出てこない。
イヤなヤツばっかりで、よくぞここまでお話を作ったもんだ。
続いて、「心が雨漏りする日には」(中島らも)に取り掛かる。
これは、中島らもの「躁鬱日記」。
いやん、悲しくなってくる。
酒で体が蝕まれる話、鬱で死にたくなる話、躁でハチャメチャしてしまう話。
いやん、ダメ人生のワンダーランド。
しかし、中島らも文学の魅力は、そのダメ人生の中にひとカケラの「生きる喜び」があることですね。
ダメ人生を「ほろ苦く笑える人生」に昇華させる術はすばらしい。
あと、ちょっと人気の多いところで読んでたんだけれど、ちょっと心に染みて涙目になってしまった箇所があった。
らも氏は、ある寒い夜に、薄着のままダンボールに包まったホームレスの青年を見かけたそうだ。
その人のことが気になって仕方が無く、事務所にあった毛布を持って行ってやったそうだ。
しばらくして、街を歩いていたら、誰かに声をかけられた。
見てみると件のホームレスが作業員の格好をして、清々しい表情でお礼を言ってきたとのこと。
当方は、こういう人情味のある話に弱い。
引き続き、中島らもの「永遠も半ばを過ぎて」。
写植師と詐欺師と出版編集者のドタバタ詐欺ストーリー。
写植師がクスリでラリって書いたナンセンス文章を詐欺師と共謀して「幽霊に憑依されて書いた」とウソをついて出版社に売り込みに行くって話。
途中で、編集者も1枚噛み始めて、うんぬんかんぬん。
細かい伏線が沢山張られていて、その構成に思わず唸ったなり。
ちなみに、「話す」は「弓をはなつ」が語源という話は、同書と前掲書(「心が・・・」)の両方に出てくる。
そのほか、ラリってる描写なんかも、前掲書とダブりまくり。
同じ日に読んだのが良かったのか、悪かったのか。
あと、こんなこと言ってもアレだけれど、中島らもの作品をいろいろ読むと、小説と同じネタがエッセイに載ってたりして、頻繁にデジャブに襲われる。
別に非難しているわけではなくて、彼のフィクションの世界観がより深く理解でき、没頭できるので、僕はいいと思ってるけど。
【余談】
・安全カミソリで手首は切れない
・文化の日未明にしたためた一世一代の大ラブレター
・横断歩道の白い部分だけを踏んで渡る
・けいはんな記念講演と北大の中央ローン
などなど、今日のネタとうまく絡めて書こうと思ったけれど、なんかまとまらなかったので、それはまた別の機会に。
最後の本を映画化した『Lie Lie Lie』を昔レンタルビデオで観たことあります。面白かった記憶が。豊川悦司・佐藤浩市・鈴木保奈美出演。鈴木保奈美がとても綺麗。まさか彼が原作者だとは思わなかった。
そうだ、『Lie Lie Lie』が「永遠も半ばを過ぎて」の映像化だとどこかで読んだので、見てみようと思っていて、今の今まで忘れていました。
鈴木保奈美は僕も嫌いじゃないし、今度見てみます。