『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦)

もうお気づきのことと思うが、ここ数日、森見登美彦の作品を読みまくっている当方がいる。

『太陽の塔』→『新釈 走れメロス 他四篇』→『夜は短し歩けよ乙女』と流れてきた。
たった今、「夜は短し歩けよ乙女」を読み終えた。

近代文学のような格調高く理路整然とした文体で、実在の京都を舞台に縦横無尽に書き連ねられるバカ話!

今まで、「抱腹絶倒」という言葉を言ったことも書いたこともないし、その言葉の意味するニュアンスもよくわからなかった当方であるが、この書でその意味を心の底から理解した。
そんなことは絶対にないだろうが、京都の四条河原町を歩いていて、色白でベビーフェイスで清楚な見ず知らずの女の子に
いつも alm-ore 読んでます!サインをお願いします!
と言われたら、色紙に座右の銘として「抱腹絶倒」と書いてしまうほどの勢いである。

『夜は短し歩けよ乙女』のページをめくる度、肩を揺らし、「くくくっ」と笑い声をもらし、目からは笑い涙がとろとろと流れたほどである。

全301ページの物語、1ページ当たり1mlの笑い涙、もしくは笑ったときに飛び出した唾、腹筋の躍動による汗等が流れたとしたら、全部で296mlの水分を放出した計算になる。
296cc といえば、今朝コンビニで買って飲んだアリナミンVのおよそ4本分弱である。


ちなみに、301ページで296cc としているのは、最後の5ページ分は笑いに由来しない涙が出たからである。

最後の5ccは、ちゃんと恋にまつわる甘酸っぱい涙がこぼれる仕組みになっている。
特に、あけすけなお涙頂戴文が書かれているわけではない。
ものすごくそっけないエピローグが書かれているだけである。
その、飾り気のなさもあいまって、すげぇ泣ける。
やられた。

ちなみに内容としては、天真爛漫で良心の塊のような京都大学1回生の女の子と、その女の子に片思いしているものの勇気が出なくて告白できず、偶然の邂逅を装って近づく”先輩”との、かなり不器用なラブ・ストーリー。
ラブ・ストーリーを期待して読んだはずなのに、途中でいったい何の話だかわからなくなるほどの、話のはぐらかし具合。
わけのわからない登場人物があれやこれやと出てきて、まるで「うる星やつら」みたいなドタバタ劇。

しかし、読後感はとてもさわやか。
もし今、片思いの女の子がいたら、この本をキレイにラッピングしてプレゼントしたい、そんな気持ちでいっぱい。

ちなみに、僕がこの本をプレゼントしたいような女の子ってのは

私の知らないところで、先輩はどんな時間を過ごしていたのでしょう。私はそれがとても知りたいのでした。

とか、しれっと独り言を言えるような女の子かな。

コメント (1)

  1. 『夜は短し歩けよ乙女』文庫版の解説は羽海野チカ

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