「パレード」川上弘美

川上弘美の名作「センセイの鞄」からのサブストーリー。

センセイとツキコさんが、ふたりで台所に立って、騒がしくそうめんを作っている。
偉そうに突っ込みを入れるセンセイと、ちょっぴり拗ねて見せるツキコ。
既にナニも勃たなくなってる年齢のセンセイと、とっくに薹が立ってしまっているらしいツキコなのだが、その”遅れてきた新婚生活”は、とてもゆったりとしていて愛くるしい。

しかし、本書の主題はふたりの後日談というよりも、ツキコが語る小学校時代の奇妙な昔話。
そして、その昔話の背後にある小さな罪の懺悔にフォーカスが当たっている。



そういう点で、実は、「センセイとツキコ」は客寄せパンダになってしまっている作品ではある。
純粋にふたりのその後を知りたい向きには、あまりお勧めしない。
それでも、ふたりがゆったりと語り合う描写は、お腹いっぱいになって昼寝する夏の午後(が作品の舞台に鳴っている)のような心地よさがあるけれど。


そういえば、と当blogの過去ログを見返した。
僕が川上弘美の「センセイの鞄」を読んだのは、2004年の10月下旬のことらしい。
ちょうど3年前だ。

そういや、東京への往復の新幹線の中で読んだことを思い出した。
奇遇なことに、本日、生まれ始めて八重洲ブックセンターを訪問し、そこで「パレード」を買った。
そして、帰りの新幹線の中で読んだ。


ごくごく私的なことだけれど、あの日「センセイの鞄」を読んだことは、今にして思えばとても意味深いことだったなぁと、思ったり、思わなかったり。
新幹線の横の座席で文庫本を読んでいるのが、どうしてツキコさんのようにほんわかとした女性じゃなくて、後頭部の薄いおっさんなんだと、ちょっぴり思ったり、思わなかったり。
ひょいと、隣のおっさんにこの画面を覗かれやしないかとヒヤヒヤしながら、画面を閉じる・・・。

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