梶井基次郎の有名作『檸檬』を青空文庫で読んだ。
およそ5,000文字くらいなので、さらっと読める。
森見登美彦が「京都の裏路地は異界に繋がってるんじゃないかと思う」みたいなことを言っていたような気がするが、そうか原点は梶井基次郎か、と分かった。
京都の町をぶらぶら歩き、途中の八百屋で檸檬を購入し、丸善の本を勝手に積み上げて頂上に檸檬を置いてこっそり逃げてくるという話。
檸檬が爆弾だったらいいのに、その爆弾で嫌いな丸善が吹っ飛べばいいのに、なんて妄想するだけの話。
読んでると、黄色い檸檬の紡錘形がありありと思い浮かぶし、すがすがしい香りもしてくるんじゃないかと思えちゃうから不思議だ。
ちなみに、何で急に梶井なんて読み始めたかっていうと、『ホルモー六景』(万城目学)の3章が面白かったから。
手品の名手に面白いように騙された、すがすがしい感じ。
そして、梶井基次郎が読みたくなる。
これって、舞台は京都だっけ?
神田の学生街が舞台だと思ってたんだけど・・・。
京都です。
例えば、「・・・湯葉を眺めたり、とうとう私は二条の方へ寺町を下り、そこの果物屋で足を留めた。」などと書いてあります。
湯葉、二条、寺町のトリプルコンボですし、京都です。
大学生の頃、檸檬を読んだ後、京都の丸善まで行って画集の上にレモンを置いてきたのを思い出しました。
僕も檸檬を置きたくなったのですが、京都の丸善はもうなくなってしまったので無理ですな。
http://book.asahi.com/news/OSK200510010010.html
仕方ないので、来年の春になったら「桜の樹の下には屍体が埋まっている!」とわめきながら歩こうと思います。