少なくとも年賀状のやり取りくらいはする仲である山岸俊男さんの新著が出たらしい。
副題まで入れた書名は、『日本の「安心」はなぜ消えたのか: 社会心理学から見た現代日本の問題点』となっている。
10年以上前、某大学院入試の想定設問が「10年後の社会心理学はどうなっていると思うか述べよ」ではないかという予測が立てられ、それに対する模範解答が「No Future」なのではないかと揶揄半分・本気半分で言われていたり、いなかったりするわけだが。
10年経ってもちゃんと「社会心理学」という言葉なり、学問分野なり、本なりがきちんと残っていて、ほっとするやら、しないやら。
#なお「No Future」と言ったのが誰であるか、今でも鮮明に覚えている。
さて、同書はなにやら2/26に出たばっかりらしい。
こんな本が出たことを、本人はおろか、周りの人が誰も教えてくれなかったことをちょっと恨みつつ、みんなの記憶から消えてしまっているらしい自分のことを情けなく思いつつ、でももしかしたら発送に手間取っているだけで、数日したら著者進呈が来るかもしれないと密かな希望を抱きつつ、それすらも失念されているんだったら「関係者の誰か、それとなく耳に入れておいてくれよ」とかそっとつぶやきつつ、まぁ、ウダウダ言っても仕方ないから amazon で注文してしまった。
一応、こちらでまえがきだけを読むことができるので、クリックする前に3分くらい(自腹で)買うべきかどうか悩んだけれど。
結局、自腹で買うなり。
私たち人間の後ろ足は二足歩行に適した形をしています。私たちの視覚は色の違いを区別したり三次元でものを見るのに適しています。
他の動物とのこうした違いは、人類が進化の過程を通して獲得してきたものなのですが、甘いものや油っぽいものに対する好みも、二足歩行に適した「身体」と同じように進化の過程を通して人類が獲得してきた「心体」の一部なのです。
だからこそ、いくら理性の命令に従って逆立ち歩行をしようとしても、それを実行することがむすかしいのと同じように、ダイエットを貫徹するのはとてもむずかしいのです。
ところが、二〇世紀の社会科学がやってきたことは、理性の力だけでダイエットを成功させようとするようなことでした。自然科学の急速な発展をよそに、経済学や社会学をはじめとする社会科学がほとんど発展してこなかったのは、こうした間違った信念のためだったと言っても、けっして過言ではないと思います。※強調部はblog著者による
引用の強調部だが、少人数ゼミで学生(3人)に Schelling の “Micromotives and Macrobehavior” を読ませつつ、学生たちの死角に隠れて木曾土産(と言っていた気がする)のお饅頭をこっそり1人で食べていた著者らしいたとえ話である。一緒に蕎麦屋に行くと、僕は胸焼けを恐れて普通のザル蕎麦をチョイスするのだが、ニコニコしながらかき揚げセイロとかをオーダーしていた著者らしいたとえ話でもある。
って、そんなことは別にどーでもよくて。
ていうか、関係者の皆さんは「木公はサイン入りのヤツが1冊欲しいと言っていた」と伝えるのはOKですが、「昔話を暴露していた」とかは耳打ちしないようにしてください。
基本的に心理学(もう少し広く言えば、社会科学)の使命は「人間とはこういうものである」という知見を提供するものであると考える。
それを「人と人は信頼しあい、協力し合うものである」という観点から展開するのが彼の学説であり、それを下敷きに現代社会や今後の社会のたどるべき方向性を語るというのが彼の(一般向け)著作の特徴だと思う。
そういう見方で、本書を読もうと思う。
でも、読んだ後、このblogで取り上げるかどうかはわかんない。
関係者が見てるところで、業界の話を書くのって、なんかさ、緊張するのさ。
ああ、この本のことなのか……。先日、とあるパーティで別の学部の経済学な人から「山岸先生の新しい本が出ましたよね」と教えられました。なんか知らなくて恥ずかしかったです。
情報の早い人って、どこにもいますよねぇ。
うちの会社にもなぜか僕以上に僕の出身講座の動向に詳しい人がいて、なんだか冷や汗をかくことがあったり、なかったり。
どうすりゃ、そういうアンテナが張れるんだろう。
ちなみに、僕のことを少し知っている人が、僕のことを全然知らない人に僕を紹介するとき「この人は山岸先生のところの弟子でね」と紹介されるのでなんか微妙です。いや、もちろん山岸先生は師と仰ぐ先生の一人ではありますが……。
あの講座、少なくとも一昔前までは、それほど厳密に師弟関係が固定されていたわけではなくて、緩やかに大部屋でしたよねぇ。
そんなわけで、弟子といえないこともないのではないかと。
ちなみに、某ミク○ィには、山岸俊男コミュニティがあります。
3分躊躇したんだけれど、そのコミュニティに入っちゃった。
覗きに行く前は「どんだけ関係者が首を揃えてんのよ?」とワクワクしたんだけれど、誰もいねぇんでやんの。
5人しかいなかったので、入ったら目立つけど、男らしく入ってみましたよ。
だれか亀田達也コミュニティ作ってよ。
山岸俊男コミュに入会しているのを見つけたよ。
そこに入っている間があるなら、自分で作るべきだったべさ。