『ボートの三人男』 / ジェローム・K・ジェローム

1889年に書かれたイギリスのユーモア小説『ボートの三人男』を読んだ。
タイトルにあるとおり、3人の男がボートに乗って数日かけてテムズ川を遡上していく。
なお、副題に「犬は勘定に入れません」とついており、3人の男のほかに犬のモンモランシーがいることも申し添えておく。

川登りに関する小説なので、どんなに壮大なアドベンチャーがあるのだろうかと、みなさんは思うだろう。
しかし、ひとつも血沸き肉踊るようなシーンはひとつもない。


その代わり、テントを張ろうとしてどんな失敗をしでかすか(そして、どんな風にお互いに罵りあうか)、夕食用にジャガイモの皮を剥いたらどうして豆くらいの大きさになってしまうのか(そして、どんな風にお互いに罵りあうか)、激流に向かってボートを漕ぎ出すときはどのようにするのがもっとも望ましいか(その答えは、仲間二人がオールで漕いで、自分は舵をとること)とか、馬鹿馬鹿しい珍道中がこれでもかってくらい書かれてる。
120年前にイギリスで書かれた、小説版「水曜どうでしょう」という感じか。

1ページに1つくらいは、ウィットに富んだ皮肉が書いてあって、笑える。
1ページに1つというのはいささか真実とは異なるかもしれない。1ページに2つは笑える。

読み終わったからといって、特に何かが心に残るわけではない。
しかし、古今東西、男というものは見栄っ張りで、理屈っぽくて、自分だけがかわいくて、わがままで、だけどちょっぴりだけロマンチストだということを再認識させてくれた。

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