リリー・フランキー『美女と野球』

リリー・フランキーが1990年代に雑誌連載していたエッセイをまとめた物。

リリー・フランキーの代表作といえば、『東京タワー: オカンとボクと、時々、オトン』だろう。
同作は、リリー・フランキーの自伝小説であり、最愛の実母との死別をテーマにしている。苫小牧一の親不孝と言われている当方ですら、思わず泣かされてしまった(前に読んだ時の記事)。

同作は、一貫して、冷静でしっとりとした文体で書かれている。激しい感情は胸の内に深くしまいこんであった。なんて美しい文章を書く人なんだろうと感心させられた覚えがある。




対して、本作『美女と野獣』は、下品でお下劣な文章のオンパレード。この人が10年後に『東京タワー』を書くとは信じられない。
何かっつーと、SEXのことばかり書いてある。SEXのことを書いてないときは、SEXしたくてウズウズしている様子を描写してるって感じ。


この人が『東京タワー』の人だとは信じられないのだが、本作には「オカンがガンになった」というエッセイが収められていた。それを読むと、『東京タワー』の内容と合致する。渋々ながらも、同一人物だと納得するしかない。
でも、やっぱり、『東京タワー』とは違って、描写はいちいち下品でお下劣だ。


それにも関わらず、本書に収められたリリー・フランキーの母の話を読んで、ついホロリときてしまった。
この本そのもののせいではなく、『東京タワー』の内容を思い出したせいで泣けてしまったんじゃないかと思わないでもないが。


スシローで晩飯食いながら読んでたのだが、上記の通りグスンと来た。

しかし、『美女と野獣』なんてヘンテコな書名で、ヘタウマなイラストが表紙(僕は本にカバーを掛けない主義だ)の奇妙な本を読んで回転寿司屋で泣いてるオッサンってのも、周りから見れば怪しさ抜群だ。

とっさに、寿司のわさびが効き過ぎてツーンと来た芝居をした。



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