「確かに、二宮星&小林薫の『じゃりン子チエ』実写版は見てみたいな」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第3回目の放送を見ましたよ。
父・善作(小林薫)に頼まれ、料理店・吉田屋へ集金に来た糸子(二宮星)。しかし、吉田屋の主人(鍋島浩)は翌日払うと言って、支払いに応じない。
糸子は、吉田屋の玄関の前にうずくまり、来店客の前で泣き真似を始めた。集金できなければご飯がもらえないと訴え、客の同情を引く作戦だった。その策は成功し、客たちは糸子の味方になって主人を説得してくれた。いつまでも店の前に居られても困るため、主人はしぶしぶと着物の代金を支払った。
ことの成り行きを心配していた善作であったが、糸子が金を持って帰ってくると大喜びした。父が自分の首尾を褒めてくれたことで、糸子も嬉しくなった。
父は、糸子が男の子だったらどんなに良かっただろうかと話し始めた。一人前の商売人として、自分の片腕として、しっかりと教育を施し、店をもっと大きくできただろうにと想像するのだった。
糸子も全くその通りだと思った。だから、自分は女だけれど、一人前の商売人になることができると胸を張って答えた。しかし、その途端に父の態度が変わった。女の役割は自分で商売をすることではなく、良い所に嫁いで夫に仕えることなであると諭すのだった。そう言われて、糸子も不機嫌になるのだった。
大正14年(1925年)の正月になった。
糸子は、母・千代(麻生祐未)に連れられ、神戸にある母方の実家を訪ねた。祖父母の家は金持ちであり、家が大きく、おせち料理も豪華で、調度品も立派なものであった。
実は、千代は年始の挨拶にかこつけて、実父の清三郎(宝田明)に金の無心に来たのだ。善作の商売下手や不景気のせいもあり、問屋への支払いに窮していると白状した。
清三郎は、商売の責任者である善作が説明に来ないことに腹を立てた。そして、その矛先は千代に向かった。千代がおっとりしすぎて油断しているから夫がつけあがるのだと小言を始めた。さらには、そもそも善作との結婚には賛成していなかった、駆け落ち同然だったから止める間もなかったと言ってへそを曲げてしまった。
その頃、糸子はイトコの勇(大八木凱斗)に外国の珍しい調度品を見せてもらっていた。しかし、タイタニック号の模型や地球儀などにはまったく興味を持つことができなかった。注意が散漫になってあちこち見回しているうちに、糸子は陶器の人形に目を留めた。それは、糸子が見たことも想像したこともなかったような、美しい衣服を着けた人形だった。
糸子がドレスに興味を抱いたことを知った勇は、彼女をある洋館に連れて行った。こっそりと忍び込んで大広間を覗くと、そこでは大勢の外国人が盛装してパーティーを行なっていた。糸子は女性たちのドレスに目が釘付けになってしまった。
ふたりの侵入は、パーティーの出席者たちにすぐに見つかってしまった。けれども、叱られることも追い出されることもなく、むしろ歓迎されてしまった。ふたりは外国人の紳士淑女たちと手をつないで踊るのだった。
今日の放送は、前半で
・糸子が商売のためなら、ある意味手段を選ばないこと
・糸子には商売の才能があるのに、性差別で苦労すること
という、今後の展開の布石が打たれましたね。
後半では、
・糸子がドレスに出会う
という、ヒロインの人生を左右する出来事が発生したわけです。
このように、本作全体の縮図を見せつつ、
・父は男尊女卑の観念を強くもつ
・母も古いタイプの女性で、間接的に男尊女卑を支持する
と、両親がヒロインにとってのアンチ・ロールモデル(見本としたくない人々)として提示されていました。
今日の放送は、出来事がアレヨアレヨと都合よく進むのでちょっとなんだかな、と思うわけですが、実はよく味わえばたくさんの内容が盛り込まれているのではないかと思った次第。