週明け5日(月)は本まとめ記事の更新が遅れる予定だが、その理由は当方が早朝から移動するためであり、ヒロインが尾野真千子から夏木マリに交代することへのボイコットではないことを先に明言しておく当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第127回目の放送を見ましたよ。
1973年(昭和48年)9月14日。だんじり祭の日。
だんじり祭りがテレビで取り上げられたことで、全国からの観光客が殺到した。岸和田は未だかつてない混雑と賑わいになった。その熱気に取り込まれ、小原家も朝から大忙しだった。次々と新旧の親しい人々が訪れ、日の高いうちから宴会が始まった。
客への対応に大忙しの糸子(尾野真千子)であったが、少しも苦にならないどころか、人が集まることをとても喜び、楽しんだ。往来に面した2階の窓から、いつもと同じようにだんじりが行くのを見物し、大きな声援を送った。
ところが、ふと気づくと千代(麻生祐未)の姿が消えていた。近頃、特に痴呆のひどくなった千代のことが心配になり、糸子らは慌てて近所を探しまわった。程なく、松田(六角精児)が見つけて無事に連れ帰ってきた。
千代は、善作(小林薫)の姿が見えないと言って探しに行ったのだという。家に大勢の客が来ているのに、善作がいないと困ると言うのだ。千代は善作が死んだことすらわからなくなっていたのだ。糸子は怒鳴りながら善作が死んだことを思い出させようとするが、松田によればそれは逆効果だという。善作は近所に挨拶に行っただけだからすぐに帰ってくるなどと話を合わせた。やっと落ち着いた千代は、おとなしく家に戻った。
日が沈み、糸子は北村(ほっしゃん。)とふたり、2階で酒を飲んだ。
その場で、糸子は東京行きを断った。
北村は、糸子が周防(綾野剛)の住む長崎に行くつもりなのではないかと疑ったが、糸子はそれをきっぱり否定した。
糸子は、自分の生きる場所は岸和田のこの家だと考えていた。極楽も地獄も、全て往来に面したこの窓から見てきた。自分の宝物は全てこの家にあるのだという。
北村は食ってかかった。自分達は随分と歳をとった。これから先は、多くのものを失っていく。親しい人々も次々に死んでいく。岸和田に留まることは、そういった喪失感を一人で耐えていくことにほかならない。それがどんなに辛いことかを話し、なんとか糸子を説得しようと試みた。
しかし、糸子の考えは変わらなかった。むしろ、弱気な北村のことを笑い飛ばすのだった。
糸子には、北村の言う喪失感を理解することができなかった。人が死んだからといって、自分は何も失わないし、変わらない。この地で自分の宝物を抱えて生きていくつもりだと言い切った。
1階に降りると、溢れんばかりの人々が集まって宴会の真っ最中だった。誰もが笑顔で楽しそうだった。
静かに座っていた千代は、人垣の向こうにやっと善作を見つけた。善作は賑やかな人の輪から一歩引いて、静かに盃を傾けていた。くいっと酒を煽ると、ニヤリと笑った。
千代が慌てて横に座ると、善作は空になった盃を差し出した。千代は徳利を持つ手の形を作り、何も持たないまま酒を注いだ。善作は美味そうにその酒を飲んだ。千代は善作の飲みっぷりを嬉しそうに眺めた。
夜がふけ、客も引き上げた後、糸子は善作に買ってもらったミシンを愛おしく撫でた。そして、2階の窓から静かになった夜の街をいつまでも眺め続けた。
1985年(昭和60年)10月。
優子の次女・里香(小島藤子)が朝帰りした。里香はまっすぐに祖母の部屋に入ると、声をかけて起こした。
72歳になり、歳をとったとはいえ、糸子(夏木マリ)はまだまだ元気だった。ぱっと目を覚ますと、自分でさっさと布団をあげてしまった
さる29日の『スタジオパークからこんにちは』にゲスト出演した尾野真千子は、このドラマが自分にとって何だったかと聞かれ「宝物」と答えた(まとめ記事があります)。その時は当然知らなかったわけだが、今日の放送でオノマチ糸子の最後のセリフは北村に対して語った宝物のくだりだった。その後、オノマチ糸子の映像はあったのだが、ナレーション等を含めて言葉はひとつも発しなかった。だから、オノマチ糸子の遺言は「宝物」なのである。
それを踏まえての『スタジオパークからこんにちは』の言葉だと思えば、グッと来る。
その後、放送の中では糸子にとっての「宝物」の象徴として親しい人々の笑顔が映された。中には善作の姿もあった。その姿は千代にしか見えず、糸子は気づかないわけですが、善作が見守ってくれているわけです。糸子に善作の姿は見えないけれど、善作の偶像として彼に買ってもらったミシンが残っている。それを愛おしくなで、おそらくは善作の息吹を感じている。で、最後はいつもの窓から夜の往来を眺めるという意味深なシーンで、オノマチ退場。
オノマチの夜のシーンから切り替わると早朝になっていて、夏木マリへとヒロインが交代した。夜から朝へという1日の時間の流れ、1973年から1985年への時間の流れに合わせて、ヒロインが交代しました。
二宮星の糸子も、オノマチ糸子も寝起きのシーンで始まったので、夏木マリの寝床から始まるというのは予想通り(予告でも見えてたし)。ナレーションもこれまでと同じく、新ヒロインに変更になりました。
オハラ洋装店の外装は新しくなっています。内部は移りませんでしたが、おそらく12年の時の流れで大きく改装されているものと予想されます。来週披露されることでしょう。
予告を見た限り、来週からの展開とヒロインについては、期待半分失望半分という感じでしょうか。
あと、今日の白眉はやはり千代でしょうね。
昨日からなんとなく麻生祐未の手の芝居に目を奪われていたのだけれど、今日もいい手の芝居だった。