アキ(能年玲奈)は鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)から、彼女が若い頃に荒巻(古田新太)と付き合っていたと聞かされた。さらに、鈴鹿の差し金で春子(有村架純)のデビューを潰したのだという。そのせいで春子は歌手になる夢を諦めざるを得なかった。結果として、春子が正宗(森岡龍)と結婚しアキが生まれることとなったのだが、母の夢を潰した張本人の付き人を務めるという皮肉な運命にアキは思い悩むのだった。
上野のデパートで岩手物産展が開催された。アキらGMTのメンバーは、絣半纏の海女衣装を着用してイベントを手伝った。楽しい仲間たちと揃いの衣装を着て活動することをアキは心から喜んだ。北三陸の海女たちと一緒に仕事をした日々を思い出し、温かい気持ちになった。
物産展の担当者として、観光協会に務めるヒロシ(小池徹平)が上京していた。物産展の合間に、アキとヒロシは原宿へ出かけた。若い頃の春子がアルバイトをしていたという純喫茶・アイドルを見に行くためだ。
ヒロシがアキとふたりだけでゆっくりと話をするのは久しぶりのことだった。その状況をヒロシはとても喜んだ。ユイ(橋本愛)は相変わらず不良姿だし、母・よしえ(八木亜希子)も帰ってこない。しかしヒロシは、待ち続けていれば事態は好転するだろうと話すのだった。
ヒロシは、アキが北三陸にいた頃と変わらないと褒めた。北三陸の海女クラブだろうが、上野のGMT合宿所だろうが、アキのいる場所はいつも明るく楽しそうだと言う。場所が人を変えるのではなく、人が場所を変えるのだと説明し、その中心がアキなのだという。ヒロシは、同じ事を春子(小泉今日子)に言われたという。田舎が好きな人は東京に行ってもうまくいく。それがまさにアキなのだという。
その言葉にアキは勇気づけられた。今はデビューできずにくすぶっているが、奈落にいようがアメ女のメンバーになろうが、自分を失わずにいれば成功が掴めるだろうと思うことができた。
そのような話を純喫茶・アイドルでしていると、マスター・甲斐(松尾スズキ)が割り込んできた。店は閑古鳥が鳴いているし、初めはアキとヒロシに愛想もなかった甲斐であったが、アメ横女学園やGMTといった単語を耳にすると突然興奮しだしたのだ。今や有名プロデューサーとなった荒巻も、若い頃によく店に来ていたなどと話し始めるのだった。
アキは自分が春子の娘だと名乗った。すると甲斐は昔のことを思い出した。甲斐は、春子は自分が果たせなかった夢を娘に託したのだろうと感慨深く話した。春子がアキに夢を託しているのだろうという予測については、鈴鹿ひろ美も同じ事を言っていた。アキはますます春子の自分に対する期待を思うのだった。
そうして、ヒロシは北三陸に帰っていった。上野駅での別れ際、ヒロシはアキと固く握手をした。そして、辛くなったらいつでも北三陸に帰ってくるよう告げた。東京へ行った春子を大吉(杉本哲太)が何年間も待っていたのと同じように、自分もアキのことをずっと待っていると約束するのだった。
その約束には返事をせずに、アキは立ち去った。しかし、ふと立ち止まってヒロシを見返した。そして、彼の母・よしえを上野で見たことを告白した。ユイを傷つけたくなかったから黙っていたと言い訳をしつつ、よしえが男と一緒に歩いていたことを報告した。おそらく北三陸に帰ることはなく、待っていても無駄だと告げるのだった。
ヒロシは動揺しつつも笑顔を繕い、聞かなかったことにすると告げて去っていった。
いよいよ有馬めぐ(足立梨花)とGMTのデビュー曲『地元に帰ろう』のデモが完成した。ミディアムテンポの素敵な曲に仕上がっており、GMTのメンバーらはそれをとても気に入った。レコーディングが楽しみでならない。
ところがその矢先、有馬めぐが男の家に泊まったというスキャンダルが写真週刊誌にすっぱ抜かれてしまった。荒巻は即座にレコーディングを中止してしまった。異性スキャンダルが3度めの有馬めぐをこれ以上在籍させておくわけにはいかず、グループを卒業させることにした。『地元に帰ろう』に関しても、国民投票で壊滅的に順位を下げた有馬めぐの再出発という位置付けだからこそ商品価値があるのであって、彼女抜きのGMTだけでは全く価値がないのだ。
あまりの仕打ちに、水口(松田龍平)やアキは荒巻に食って掛かった。しかし、荒巻は決定を覆す気は全くなかった。全ては運なのだという。有馬めぐがGMTと同じレベルに落ちてきてデビューのチャンスを掴みかけたのも偶然の運であるし、それが土壇場でキャンセルになってしまったのも運だという。そればかりはどうしようもないと突き放した。
アキはさらに食って掛かった。自分たちのデビューが先延ばしにされ、飼い殺しにされている状態がまるで春子の時のようだと訴えた。アキはついに感情を爆発させ、自分が春子の娘だから冷遇するのかと問いただした。
すると荒巻はそれを肯定した。
いろいろあったわけだが、僕が今日言いたいことは、上野駅のペデストリアンデッキについてだ。アキ(能年玲奈)とヒロシ(小池徹平)が別れたあの場所。
あの場所は、まさしく2011年の金鳥のCMに使われた場所だ。そう、山瀬まみが出演する「キンチョーリキッド: 買いに行きましょう篇」の撮影が行われた場所だ。ピンクのカッパの衣装を付けた山瀬まみが、歩行者の女性を追いかけ「おねーさーん、キンチョーリキッド買いに行きましょう。彼氏の誕生日祝いとかにも、すごく喜ばれると思うの」と言うやつだ。
もちろん僕も巡礼したことがある。山瀬まみが立ち、僕も訪れたその場所に、能年玲奈もたったかと思うと胸が熱い。
おねーさーん、キンチョーリキッドの撮影場所探しに行きましょ。 http://movapic.com/pic/201105211320354dd73d932a3d5
— 木公 (@almore) May 21, 2011
『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)