スジナシとは、中部日本放送(CBC)が1998年から制作している番組。笑福亭鶴瓶がホストを務め、毎回1人のゲストが登場し、2人で15分程度の即興劇を行う。
本格的なセットと衣装が準備されるが、役割や台本は一切用意されない。鶴瓶とゲストが行き当たりばったりで物語を作っていく。演技を終えた後は、撮影したばかりの映像を見ながらツッコミを入れるというトークショーになっている。
ちょっと前にこの番組の存在を知ったのだけれど、僕の住んでいる地域では放送されていない。調べてみるとDVDが何枚か出ているとわかったので、レンタルで少しずつ楽しんでいる次第。
DVDは選りすぐりを集めたものなのでどれも面白いのだけれど、8巻は感動的な素晴らしさだった。僕のツボにははまった。
まず、田中美里の回が良かった。
僕は田中美里という人は初めて見るし、山瀬まみを代表とするベビーフェイス系が大好きな当方のストライクゾーンからははずれるアダルトおねーさん系の顔立ちなのだけれど、僕のオヤジ心をガッチリと掴む色気にクラクラ来ました。
舞台は温泉宿の足湯。見ず知らずのふたりがそこで出会うという展開だった。
何も設定は決まっていなかったのだけれど、田中美里がワケあり失恋旅行中の女性だという芝居を始める。鶴瓶は会社の慰安旅行で来た男という芝居を選択したのだが、彼を誘惑しようとする田中美里が妖艶で、海老も食ってないのにナニがアレしそうな感じになったとか、ならなかったとか。
美人の浴衣は最終兵器だよねー。
もう田中美里のやつだけ見たらこの巻は満足のような気がしていたのだけれど、3本目の福田麻由子の回には度肝を抜かれた。
#2本目の温水洋一のやつはスルーです。察してください。
福田麻由子という人も僕はおそらく初めてみるのだけれど、本作登場時は12歳だったとか。背格好はどう見ても小学生。
しかし、本番前の楽屋でのインタビューの受け答えが妙に落ち着いていて驚いた。目をつぶって話しぶりだけ聞いていたら20代後半だと言われても疑わない。自分が12歳の時なんてガンダムのことくらいしか考えてなかったのに、この子は偉いなぁと。ちゃんとプロの女優になってた。
始まる前は、鶴瓶も子供に即興劇ができるだろうかと心配そうな素振りを見せていたのだけれど、本番が始まるや否や、鶴瓶も視聴者も先入観を完全に覆されたわけで。
即興劇の開始は、福田麻由子が自室のベッドに腰掛けて楽しげに少女雑誌を読んでいる。おそらく、鶴瓶を父親とみなして、暖かな親子ドラマを展開するつもりだったのだろう。
しかし、鶴瓶がたまたま物音を立てて扉を激しく開けて入ってきた。たったそれだけのことで、彼女は「親子関係が冷えている」と解釈して、硬い表情を作ってそっけない芝居に切り替えた。本番後の振り返りでも絶賛されていたし、見ている僕も本当にすごいと思った。
そして、即興劇の中で自前の涙まで流してみせたり。すげぇ、すげぇよ。
「麻由子、なんて恐ろしい子!」
そんなわけで、当ブログは今さらながら田中美里さんと福田麻由子さんに大注目していきたいと思った次第です。
なお、『スジナシ』自体はなんと今月いっぱいで終了してしまうとのこと。残念です。
16年の歴史に幕、鶴瓶「スジナシ」が6月末をもって終了(ナタリー)