今日のギターレッスンでは、左手の余弦ミュートが甘いと指摘され、それを改善するための即席トレーニング・フレーズを宿題に出されたわけだけれど、実は地味な基礎練習が大好きで喜々として取り組むことを約束した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第54回めの放送を見ましたよ。
働き過ぎたあさ(波瑠)が宿舎で昼寝をしていると、五代友厚(ディーン・フジオカ)がやって来た。大阪にいるはずの五代が現れるわけがないと思うあさは、夢か現かわからなかった。
五代は、自筆の絵を見せながらペンギンという鳥の話をした。ペンギンは、空を飛ぶことはできないが、海を素早く泳ぐことができ、魚を獲って食べる。しかし、海の中にはサメなどの危険でいっぱいである。ペンギンたちはなかなか海に潜ろうとはしない。
そんな時、勇気を持って一番最初に飛び込む個体のことを「ファースト・ペンギン」と呼ぶのだという。ファースト・ペンギンが飛び込んで、安全が確認されれば、他のペンギンたちも海に入るのだ。ファースト・ペンギンが危険を犯して挑戦することで、群れのみんなが助けられる。
あさは、まさにファースト・ペンギンのような女性だと話した。あさが危険を顧みずに挑戦することで、加野屋は大いに助けられている。五代の見たところ、実は加野屋は早晩潰れると思っていたそうだ。ところが、あさのおかげでその危機を脱した。
あさは、これからも恐れること無く、堂々と胸を張って正しいと思う方へ進めと応援した。
それだけ伝えると、五代は馬に飛び乗ってあっという間に帰って行った。枕崎の炭鉱に行く途中に、大急ぎであさにメッセージを伝えるために立ち寄り、再び先を急いだのだ。
あさはまだ寝ぼけていて、本当に五代が来たのかどうかわからなかった。しかし、手にはしっかりと、五代の描いたペンギンの絵を握っていた。
翌朝、あさは大阪に帰ることとなった。
帰る前に、鉱山の改革案に唯一反対しているサトシ(長塚圭史)と話し合いがしたかった。けれども、サトシは応じようとしない。
そこで、早朝、サトシの組が寝泊まりしている宿舎の前に立ち、彼が起きて聞いているかどうかはわからなかったが、一方的に話しかけた。自分がサトシに不愉快な思いをさせていることを詫びながらも、自分の改革案は鉱夫たちの生活を向上させるものに間違いはないと説明した。もう一度よく考えてくれるよう懇願した。
あさが立ち去りかけた時、中から「新次郎さんは元気ですか?」というサトシの声が聞こえてきた。あさは驚き、答えるべきか迷った。しかし、帰路を急ぐ亀助(三宅弘城)に促され、何も答えずに立ち去ったのだった。
大阪に帰って来たあさは、真っ先に新次郎(玉木宏)に会いに行った。約束よりも帰りが遅くなり、新次郎の三味線の会にも出席できなかったことを詫た。
しかし、新次郎はあさの言葉を遮った。新次郎が欲しかったのは、あさの謝罪の言葉ではなく、あさそのものだったのだ。
ふたりは仲睦まじく、久しぶりの夜を共にした。
その頃、行商に出て長らく留守にしていた惣兵衛(柄本佑)もはつ(宮﨑あおい)の元へ帰ってきた。再び失踪したものと思っていたはつは、嬉しい驚きでいっぱいになった。
惣兵衛は和歌山に行ってきたのだという。はつに土産としてみかんを持っていた。
あさが帰って来た翌朝、先に目を覚ましたあさは、幸せを噛み締めながら新次郎の寝顔を眺めた。
その時、急にサトシから新次郎の名が出たことが思い出され、妙な胸騒ぎを覚えるのだった。
そしてその朝、舅・正吉(近藤正臣)が、改まって家の者を集めた。
彼は、今日限りで隠居するというのだ。
冒頭の五代(ディーン・フジオカ)のシーン、別になくてもいいよなー。あさ(波瑠)が恐れを知らず、信じる道を進む人物だということは、まぁ視聴者なら誰でも知ってるし。わざわざあらためてペンギンにたとえるほどの話でもないし。
これが、五代が大阪にいて周囲の人にちょっと話すというシーンなら、ちょっとした息抜きシーンとして成立するとは思う。
ところが、五代がわざわざ九州の炭鉱にまで来て、その一節だけ語って、あっという間にいなくなるなど、無理ありすぎるんじゃないかと。
しかも、あのしつこい五代が、その一言だけで帰っていくというのも、キャラ崩壊気味だし。
以前の五代なら、新次郎(玉木宏)が炭鉱にやって来ないことを一通りけなした上、「私がハズバンドなら、そんなことはしない」くらいのことは言いそうじゃねーか。それがペンギンの話だけで帰るなんてありえなくね?
明らかに取ってつけたような尺埋めシーンに見えて興ざめでございました。
そんだけの時間が余ったらなら、あさ&新次郎の再会キャッキャッシーンと同様に、はつ(宮﨑あおい)&惣兵衛(柄本佑)の再会ニタニタシーンでも見せてくれりゃよかったのに。何だよ、みかんだけって。
和歌山でみかん農家やりたいんだろうなってのはわかったけど。