NHK『あさが来た』第115回

いくらしたたかに酔ったからといってヘイトスピーチは絶対に許されるべきではないと強く思うような事件が身近で起きたわけだけれど、後になってその事件を少し冷静になって思い出した時、「いくらしたたかに酔ったからといって女性の肩を抱いたり、『2000円払うから胸を触らせてくれ』って迫ったりする自分はどうなのよ?大いに反省すべきだ」と自問自答した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第115回めの放送を見ましたよ。

* * *
第20週『今、話したい事』

あさ(波瑠)は、成澤泉(瀬戸康史)から女子大学を作りたいという話を持ちかけられた時、現実味のない絵空事だと思った。
あさが銀行を開業してからというもの、荒唐無稽な事業計画を語るばかりで成功や返済の見込みのない融資希望者を何人も見てきた。成澤の話し方や振る舞いは大げさで軽薄であった。無理な融資を頼みに来る者たちにいかにもそっくりだったのだ。

あさは成澤を体よく追い払ったつもりだったが、彼の夢に共感する部分もあった。あさ自身、幼い時から勉強をしたかったのに、男子と女子は別だと言われ叶わなかった過去があるからだ。それで、成澤から押し付けられた彼の女子教育に関する論文原稿だけは読んでみることにした。

その原稿は、あさの想像を絶する素晴らしさだった。
女子を教育し、人として、婦人として、そして国民として育成する必要性が主張されていた。女子にも高等教育を行うことで生きがいを育み、技術や能力の開発を行い、独立し自立した生活ができるようにするべきだと記されていた。社会の様々な側面で役に立つ人材として女子を教育するとともに、彼女らの能力を活かせる場や環境の整備も説かれていた。さらには、100年先の社会を見据え、将来にわたって女性が自活できるための教育方針を打ち立てる必要があるとも書かれていた。

いずれも具体的な方針が示されており、成澤が全身全霊をかけて女子教育のことを考えていることがひしひしと伝わってきた。
そして、成澤は男であるにもかかわらず、これほどまで真剣に女性の将来のことを考えているということに感激した。
あさは泣きながら原稿を読み、また、人に成澤の論考を説明する際にも涙無くしては話せなくなった。

早速あさは成澤にもう一度会って、よく話しあおうとした。
しかし、どういうわけか成澤の姿が町から消えた。成澤の家に毎日通ったり、町中を探したりしたが、成澤に会うことができなかった。
成澤は栄養失調になるほどの貧困ぶりである。どこかで行き倒れたのではないかと、あさはひどく心配した。

なんでもあさの自由にさせる新次郎(玉木宏)であったが、今回のことだけはどうにも面白くなかった。

もちろん、女子教育の充実は新次郎も望むところではあった。
男であれ女であれ、学びたいと思う者が望みのままに学べることはいいことだと思っている。あさの強い願いにも協力したいと考えている。

しかし、新次郎は成澤個人に嫉妬していた。
新次郎は成澤の姿を見たことはないのだが、成澤は若くて色男だという。そんな男にあさが執心するので、新次郎は妬いているのだ。
そろそろあさは九州の炭鉱に出張しなければならない。あさは、自分の留守中に新次郎が成澤を探すよう頼んだ。しかし、新次郎は断るのだった。

そのころ京都の女学校では、千代(小芝風花)と田村宣(吉岡里帆)が休暇中の過ごし方について話をしていた。

宣は実家に一切帰ろうとしない。
宣の説明によれば、親から卒業後の進路を聞かれるのが嫌なのだという。その面倒を避けるために、実家には帰らないのだ。

一方の千代は、休みのたびに大阪に帰省する。
千代によれば、祖母・よの(風吹ジュン)が寂しがっており、自分の帰りを楽しみにしているから頻繁に帰るのだと話した。

あさに憧れる宣は、一度千代の実家に遊びに行きたいと話した。そこであさに会って見たいというのだ。千代は歓迎し、いつでも迎え入れると約束した。
ただし、あさに会える保証はないと説明した。あさはいつも忙しく飛び回っているからだ。
さらに千代は、あさが家にいない方が気が楽だと軽口を叩いた。自分が小さい時からあさは家にいなかったので、なまじ家にいると気づまりするというのだ。

その話を聞いた宣は、あさの本に書いてあったというエピソードを話して聞かせた。
九州の炭鉱で大きな落盤事故が起きた時、あさは大阪にいたのだという。通常なら九州に詰めていたはずだが、その時は出産のために大阪にいる時間が長かったと書いてあったという。事故の後始末に関しても、子供の世話があったので現地で十分な働きができなかったと言っているという。事故の責任の多くは自分にあると反省していたと言うのだ。

千代は胸を詰まらせた。
自分のことは放っておくばかりだと思っていた母・あさであったが、家が潰れるかどうかの瀬戸際の時に全てを投げ打って自分と一緒にいてくれたと知ったからだ。

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新次郎(玉木宏)が嫉妬していたのは単なる尺埋めなのか、今後大きな事件につながっていくのか、そこだけが気になります。

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