何か心から踊り上がれるような明るい話題はないかなぁと思う当方が、テレビ朝日の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』の第2回めの放送を見ましたよ。
年末の『第九』演奏会に出演することなった朝(松下奈緒)だったが、リハーサルでは調子外れの大声でがなりたてるばかりだった。そのことについて、コンサートマスターのバイオリニスト・黒柳守綱(山本耕史)から皆の前で激しく叱責された。
朝は恥ずかしくなり、自信もなくし、出演を取りやめたくなった。しかし、出演を推薦してくれた音楽学校への引け目もあり、簡単にやめるわけにもいかなかった。そこで、声を出さずに口だけ動かしてごまかすことにした。
下宿先では、おじ・宏(高田純次)からしきりに見合い話を勧められた。朝は開業医の一人娘なのだから、北海道に戻り、婿を取って病院の跡を継ぐのが筋だというのだ。
自分の才能の限界を感じ、オペラ歌手になるという夢を諦めるべきではないかと悩みはじめた。
リハーサルで初めて朝に会った日の夜、黒柳守綱も心が乱れていた。バイオリンの練習にも身が入らず、ひどい歌を聞かされたせいに違いないと考えていた。
彼は、乃木坂上倶楽部というアパートに住んでいる。ここは芸術家が集まって住んでいる洒落たアパートである。玄関ロビーは喫茶室になっており、芸術家たちのサロンになっている。
練習する気の削がれた黒柳はサロンに顔を出し、画家の伊藤華子(高岡早紀)に今日のリハーサルの愚痴をこぼした。
先ほどまで黒柳のバイオリンを漏れ聞いていた華子は、黒柳の言うとおり、いつもと音色が違ったと感想を述べた。ただし、それは、むしろ普段よりもきれいな音色に聞こえたと話した。黒柳は得心がいかなかった。
本番前の最終リハーサルの日、朝は誰よりも早く練習場に到着した。音楽を諦めて北海道に帰るべきかどうか考え込みつつ、手慰みにピアノを弾きはじめた。しばらくすると、朝以外に人気のない練習場に黒柳が現れた。
黒柳は、朝の横に並んで連弾をはじめた。上手く対応できない朝は演奏を止めてしまった。
すかさず黒柳は、朝の欠点を指摘した。
朝はまわりの音を聞いて、それに合わせようとしない。それは音楽家として最大の欠陥であると指摘した。加えて、朝が口パクばかりで声を出していないことは楽団のみなが気付いていると述べた。明日の本番に向けて、それでは許されないと言うのだ。
再度、黒柳は連弾を促した。それで少しでも周囲と自身の音を調和させる練習をさせようとしたのだ。
その後、オーケストラと合唱団のリハーサルが行われた。しかし、朝は相変わらず口パクするだけだった。
他の楽団員は、すでに朝の歌唱力には何の期待もしていなかった。朝は背が高いので、舞台映えがする。演奏に華を添える役割だけでよいと言い出す始末だった。
落ち込んで帰ろうとした朝に、黒柳が声をかけた。
黒柳が助言していたにもかかわらず、朝が周りの音を聞かない上、一切声を出していなかったことを指摘した。
その上、黒柳は、朝が黒柳ばかりを気にして見つめていたと指摘した。それは朝にとって図星だった。
さらに黒柳は、自分も朝ばかりを見ていたと認めた。
黒柳は、朝に一緒に帰ろうと声をかけた。
ふたりが練習場を出ると、そこには北海道から上京してきた朝の父・門山周通(佐藤B作)が立っていた。
ドラマの時代は1929年(昭和4年)11月なのですが、アメリカで大恐慌が起きた直後なんですね。おじ・宏(高田純次)の読んでいた新聞に書かれていました。
日本は日中戦争(1937年)を始める前で、まだ華やかで豊かな時代だったんですね。ドラマの中の雰囲気、いい感じです。