映画『私をくいとめて』を見た

去年の1月5日、僕は橋本愛さんの夢を見た。それからというもの、橋本愛さんのことが気になって仕方がない。
一方、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』に激ハマりし、当ブログでまとめ記事を完走して以来、のん(a.k.a 能年玲奈)ちゃんさんのことも大好物である。

この2人が『あまちゃん』以来となる共演で親友役を演じたという話を聞いて、映画『私をくいとめて』を見てきた。映画自体には特に期待していなかったのだけれど、とにかくこの2人が同じ画面に収まるところを見たかった。近所では上映されていなくて、大阪市内まで出かけなければ見ることができなかった。しかも、一番行きやすい難波の映画館では1日1回しか上映されていなかった。
新型コロナウィルスの感染拡大が留まるところを知らず、こんな時に大阪まで行くのもどうかなぁとは思ったものの、とにかくのん&橋本愛を見るために大阪まで行く私を食い止めることはできなかった。緊急事態宣言が発出され、外出が原則すべて禁止になったとしても、きっと僕は大阪まで見に行ったことだろう。とはいえ、緊急事態宣言下では映画館も休業すると思うケド。

事前知識はほとんどなく、YouTube で予告編を見た程度。綿矢りさの小説が原作らしいがそれも読んでない。

のんが演じる主人公は、自分の内面の声と会話する不思議ちゃんだそうだ。そんな彼女が年下の男(林遣都)に恋をする話らしいというところまでは映画を見る前にわかった。親友役の橋本愛がどう絡んでくるのかよくわからんが、まぁ内容はそっちのけで可愛い2人を見ることだけが目的だから問題ないだろう。
劇場の客も20人いるかいないかだった。きっと人気のない映画なのだろう。まあいいや、のんと橋本愛が見れれば。そう思って、全く期待せずに上映を待っていたわけです。

しかし、映画が始まって10分も経たないあたりでグッと引き込まれて、テンション爆上げ。結果として、とても楽しめた映画でした。

まず、なんといってものんちゃんさんの演技がすごい。
31歳独身一人暮らしお局寸前人付き合い苦手OLという役どころなのだけれど、人前での愛想笑いと自宅での毒づきの振れ幅が見事で見入ってしまいます。アニメ映画『この世界の片隅に』における声優も評価が高いけれど、身体や表情を使った演技もマジすげぇな、と。観客として見ていても、主人公と同じタイミングで喜怒哀楽を感じることができました。それだけでもう元は取れました。

お話の前半は、主人公と年下の男のもどかしいコイバナ。僕はこういうの大好きでもあるので評価が高い。
年下の男っては、主人公の務める会社に来る下っ端の営業。主人公がお茶出しをすることで顔見知りになる。ところが、ある日、自宅の近所で遭遇して家が近いことがわかる。それでなんとなく気が惹かれるという展開。ひょんなことから、一人暮らしの男のために手料理を作ってやることになる。それが何度も続くことになる。
しかし、男はいつも玄関先で料理を受け取るだけで、絶対に家にあがろうとしない。主人公も、「今日はあがってくれるかも。進展があるかも」と期待するのだけれど、毎回玄関先で終わる。主人公は彼の紳士的なところを評価する反面、自分に魅力がないのではないだろうかとか、彼には別の恋人がいるのではないかと心配になる。女の方から積極的になると嫌われてしまうのではないかと思って何もできない。

いいねぇ、こういうの。僕は、本当に好きだよ、こういうの。

さて、そんな逡巡する主人公の相談相手が「内面の声」です(声の主と実体化した姿はとりあえず伏せとく)。どういうメカニズムでそういう声が聞こえるのかは詳しく説明されなかったけれど、まぁ”内語”だと思う。
そいつが主人公に助言をしたり、主人公がそれに反発したりで話が進んでいきます。「内面の声」は楽天的でポジティブに物事を捉えるのだけれど、主人公本人は悲観的でネガティブなのでなかなか折り合いがつかないのです。実際、過去には「内面の声」のアドバイスに従ったために手痛い失敗をしてしまったこともあって、なかなか難しい関係のようです。それでいて、それがないと不安になるというメンドくさい主人公。

年下の営業の彼とついにドライブデートに行くことになったのだけれど、不意の降雪で帰着できなくなるというのが映画のクライマックスでしょうか。
ビジネスホテルのダブルの部屋に泊まることになってしまいます。そりゃ営業の彼は「若くて健康な男性」(あまちゃんのセリフやね)なので、そういう気になるわけです。一方、主人公はもっとゆっくりとプラトニック・ラブを進めていきたいと思っているので困惑します。
そこで、「内面の声」がアレして・・・、というお話でした。

なお、肝心の橋本愛さんですが、主人公の唯一無二の親友という役どころでした。人付き合いの苦手な主人公なので、彼女に大きく依存していたようです。
ところが、その親友は2年前にイタリア人と結婚してローマに移住してしまった。表面上はなんでもないフリをしているけれど、自分が見捨てられたような気がしてわだかまりを抱えているという関係でした。
そのことは後でわかるカラクリになっているのだけれど、確かにふたりの再会シーンにはものすごい違和感がある。その違和感が後で解かれる爽快感と言ったら。よくできたシナリオだと思いました。

そして何よりも、主人公が親友に会いに行く時に流れる大滝詠一の『君は天然色』がすごく良かった。他に観客がいなければ、「YEAH!!」って叫ぶところでしたよ。とても「お花畑」なシーンなのですが、大興奮してしましました。

映画の尺自体はちょっと長くて、ちょっとシンドいなと思わないでもなかったけれど、それを差し引いても当方の今年のナンバーワン映画の最有力候補です。
映画館に行けとは言わないけれど、テレビで放送されたり、映画配信サービスで見れるようになったらぜひ見てください。『君は天然色』のシーンについて語り合いたい。あと、橋本愛さんのピンクの髪とのんちゃんさんの猫背について。

ご清聴ありがとうございました。

<蛇足>
映画の帰りに自宅近所の行きつけのコンビニに寄ったら、いつものかわいこちゃん店員ちゃんが勤務してた。午前がメインだと思うのに夜にいるんだ、なんて。
僕の「内面の声」はなんか言って距離を近づけろよなんて言ってくるんだけれど、そんなんできるわけないやろー。新年の挨拶だけした。

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