幼なじみの野村明日美役の恒松祐里と気象予報会社の社員・野坂碧役の森田望智は、『全裸監督(シーズン2)』で乃木真梨子と黒木香という村西とおるをめぐる因縁あるふたりを演じていてなんだかグッと来たし、本作でも共演することがあれば楽しみだなぁと思った(朝ドラなのでヌードは期待していません)当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第32回めの放送を見ましたよ。
2015年8月になった。
末期がんのため夏までもたないと本人も思っていた田中(塚本晋也)は、車椅子生活になったとはいえ、野外撮影に出かけることができるほどに体調を維持していた。無理だと諦めていた蓮の撮影へ行くことになった。田中は百音(清原果耶)を誘ったが、あいにくその日は気象予報士試験の日だった。天気予報によれば、その日が絶好の撮影日和であり他の日にずらすことは難しかった。ふたりは翌年こそは一緒に出かけることを約束した。
しかし、百音の試験はひどい有様だった。
今年度に入ってから森林組合で大事な仕事を任されることも増えて忙しくなり、気象の勉強が疎かになってしまったのだ。実際、運転免許証を取得したことで業務の範囲も広がり、仕事が楽しく充実していた。気象予報士試験への情熱が薄れてしまったと言っても過言ではなかった。
菅波(坂口健太郎)は、百音が気象予報士の資格取得の後にそれをどう活かすのか考えていないことがモチベーション低下の原因だと指摘した。半年後の再試験に向けて一から勉強し直すかどうか百音に決断を迫った。
しかし、百音は即答できなかった。しばらく考えるとだけ力なく返事をした。
そんな頃、気象予報士の朝岡覚(西島秀俊)が森林組合に尋ねてきた。
彼は年輪気候学が専門の大学教授・中本(若尾義昭)をサヤカ(夏木マリ)に紹介した。彼は樹木の年輪から過去の気象状況を推定するしている。サヤカが樹齢300年のヒバを伐採すると聞きつけ、年輪サンプルが欲しいのだという。気象には周期変動があると言われており、樹齢300年の木を調べれば同様に300年後の気象を予測することが可能であると説明した。その壮大な研究にサヤカは感激し、喜んでサンプル提供を約束した。
さらに朝岡は、自身の所属する気象予報会社の2人の社員、内田衛(清水尋也)と野坂碧(森田望智)を連れていた。彼らは登米の山でフィールドワークを行うのだという。ふたりとも気象予報士資格を持っており、内田などは一度の試験で合格するほど優秀な人材なのだという。
百音がふたりを山に案内した。
内田は花粉観測機を山に設置した。彼は花粉の飛散データを研究し、花粉警報アプリを作りたいのだという。本人もひどい花粉症であることがモチベーションなのだという。実際、この季節のブタクサなどの花粉に苦しんでいる。
野坂はレーザースキャナーで周囲の形状の計測を行った。この装置では樹木の本数や表面積、さらには周辺の地形も計測できる。それらのデータから、山が保持できる水分量を推定するのだという。彼女は防災に関心があり、今は洪水の防止に取り組んでいるのだという。山が雨水を溜め込むのは土の働きだけではなく、木の中にも大量に保水されている。中でも針葉樹は保水力が高いということを証明したいのだという。それには、杉が大量に生えている登米の山が適していた。
彼女の話を聞き、百音はサヤカの言葉を思い出した。サヤカは山は自然のダムであり、大量の水を蓄えると言っていた。サヤカと野坂が異口同音だったことに驚いた。
ふたりは初日のデータと解析結果を朝岡に報告した。しかし、朝岡は成果に満足はしなかった。
気象ビジネスは、正確な数値と時間が勝負なのだと言う。防災でも花粉予報でも、いつどのくらいの被害があるか予測することが重要なのだ。財産や健康に影響が懸念される場合、人々がそれに対する準備を整える体制づくりを支援することが必要である。そのための数値は正確でなければならず、必要な時間も状況によって変わるのだ。
山の保水力を調べている野坂は、調査した範囲が狭すぎて正確な保水量がわからない。花粉飛散予報を目指す内田はデータ解析に時間がかかりすぎる。いずれもさらなる努力が必要だと指摘した。
その話を傍聴していた百音は、彼らの仕事に興味を持った。こっそりと彼らの会社のウェブサイトを閲覧すると「気象であなたの暮らしとビジネスを守ります」という文句が掲げられていた。
気象予報士へのモチベーションが低下した百音(清原果耶)の目の前に、タイミングよくバリバリの気象予報士が現れて再度やる気になるという展開です。
ヤる気だけあっても仕方ない(と、村西とおるがどこかで言ってたような気がする)ということは菅波(坂口健太郎)も指摘していることであり、資格取得後のそれをどう活かすかというビジョンを百音が描けるかどうかがこれからの焦点になるのでしょう。
山の保水力という話は、今日登場した野坂(森田望智)が手掛けてるテーマだし、サヤカ(夏木マリ)もずっと言ってること。水が循環して海とも繋がっているという話は朝岡(西島秀俊)や祖父・龍己(藤竜也)が言ってることです。それらをそのままなぞっても百音の独自性にはならないわけで、それで満足するのか、もっと別の路線を見出すのか。注目していきましょう。
【今日の蒔田彩珠】
出番なし。