『キリエのうた』を2回見た

本ブログの読者のみなさんならご存知の通り、僕は黒木華さんが大好きなわけで。彼女の出演するドラマや映画ならば、どんな端役であれ、事前に駄作であることが容易に予想できる場合であれ、必ず見ることにしているわけで。
10月13日に公開となった『キリエのうた』に出演すると知ったからには、当然見に行ったわけで。

本作の監督の岩井俊二は確かに僕と女優の趣味がぴったりあって、黒木華のほか蒼井優とか伊藤歩とか中山美穂などなど、僕の好きな女優を起用してくれて、良い監督だと思ってるわけで。中山美穂主演の『Love Letter』なんかでは、僕の母校の高校の駐輪場に鈴木蘭々を連れて来てロケやってくれたし。僕は映画自体は見たけれど、撮影現場は見てないんだけれど。

そんだけ評価している岩井俊二なんだけれど、基本的に尺が長いんですよね。それがちょっと玉に傷。
今回の『キリエのうた』も3時間あるし。見る前は、「黒木華さん出るし、しゃあねぇな。どうせ彼女は主役じゃなし、出番が終わったら居眠りする覚悟で見るか」と消極的だったんだけれど。
ところが、ところが。いざ見てみると、3時間ずっと目が釘づけで、しかも2日連続で2回見ちゃいましたよ。

公開後3日間限定の来場者特典も2つあります。シーン紹介とメインキャストの紹介ミニパンフレット。


『キリエのうた』の主人公(アイナ・ジ・エンド)は、シンガーソングライター。まだ路上ライブしかやれない駆け出しだけれど、その腕前は人々の心を掴んで離さない。
ただし、彼女の素性は謎に包まれていて、ほぼ浮浪者状態で住む家もない。そればかりか、過去に背負ったトラウマのせいで、歌うこと以外は声を出して話すことができない。筆談で会話をする。
そんな彼女の過去や人間関係を振り返り、これからの人生を模索するといった感じのお話。

まず、主演のアイナ・ジ・エンドがめちゃくそ良かった。
彼女が所属していたBiSHのパフォーマンス映像は何度か見たことがあって、彼女のハスキーだけどパワフルな歌唱は前から好きだったんだけれど。あと、ブサカワなところも好き。しかし、彼女の芝居は一度も見たことなかったので、映画はどうなのかなーと、これまた不安だったんだけれど。
しかも、彼女は喋ることのできない人物という、クセのある役所で。

ところが、逆にそれがすごく良かった。
口で喋れない分、表情や身振りが雄弁で。演じてるアイナ・ジ・エンドがダンス経験者のせいなのかそうじゃないのかはわからないけれど、映画中ずっと静かに踊ってるように見えて美しかった。全身の身振りはもちろん、指先の動きひとつひとつが何かを語っているように見えて、ほんと素晴らしかった。
黙っててもそんだけすごかったのに、歌唱シーンでは持ち味のパワフルハスキーボイスで朗々と歌い上げるので痺れた。映画館のデカい音量で聞けて良かった。
あるシーンでは、たくさん喋るところがあるんだけれど、それはそれでよかったし。片思いの男に色目を使って言い寄るんだけれど、すげぇセクスィーで。あれは誰でも落ちる。

そんなわけで、1回では飽き足らず、2日連続で2回見ちゃったわけですよ。ディスクが発売されたり、配信開始されたりするのを待ちきれず、もう一回見たかった。

あと、助演の広瀬すずもよかった。
僕の知る限り、広瀬すずといえば優等生的美少女の役が多くて、本人の素質と関係なしに、僕は彼女のことが苦手だった。はっきりと嫌いだったと言ってもよい。僕は朝ドラ主演はたいてい好きになっちゃうんだけれど、広瀬すずは例外だし。当ブログの朝ドラまとめ記事でも、『なつぞら』のやつは広瀬すずが出てくる前に中断してるし(全4回)

それがそれが、今回広瀬すずをすごく見直してしまいました。ていうか、僕が今まで知っていた広瀬すずとは別人でした。
主人公のマネージャーを買って出るという人物なのですが、つねにド派手なカツラを被ってコスプレしてる。明るくて誰の懐にもスッと入っていくのだけれど、どうも調子がよすぎて、裏に別の顔がありそうな謎めいた人物で。優等生的美少女感が全くなくて気に入りました。

ていうか、本音を言うと、テロップには確かに「広瀬すず」と書いてあるんだけれど、僕にはそれが広瀬すずだとは全く信じられなくて。本当に広瀬すずだったのか確認するためにも2回目を見に行ったわけです。
未だに僕の中にあった広瀬すず観は完全には更新されてなくて、「あれは別の人だ。もしくは岩井俊二マジックだ。俺は広瀬すずは嫌いなはずだ」とどこかで思ってるフシもあるのですが、今回の広瀬すずには降参です、ベタ惚れです。2回見て良かった。また見たい。

さて、肝心の黒木華さんですが、残念なことにアイナ・ジ・エンドと広瀬すずの陰に完全に隠れてしまいました。
大阪の小学校の教員で、いつも地味な服装で、優しくも芯のある女性という、これぞ黒木華の十八番といった役だったのですが、だめです、前のふたりに太刀打ちできませんでした。
僕がそこまでいうくらい、あのふたりはよかった。2回見ても評価が変わらなかったから、本物だ。

みなさんもチャンスがあれば見てみてください。
アイナ・ジ・エンドの歌と指先の表情に痺れてください。あれが本当に広瀬すずだったのか判定してください。

予告編貼っときますね。

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