2007年度 alm-ore お薦め本ベスト10

気が付けば12月に入り、今年も残すところ20日あまりとなりました。
皆様におかれましては、すでに年末年始の帰省や行楽旅行、現実逃避などの計画もほぼ固まっていることと思います。

ちなみに当方は、愛猫・あるむと離れがたく、また彼女を飛行機に乗せて帰省しようにもいろいろと面倒なので、京都の地で年越しをしようと思っています。

さて、旅の旅程が定まったのは喜ばしいことですが、電車や飛行機での移動中に読む本の準備はお済でしょうか?
大きな荷物を抱えて、駅や空港の本屋を物色するのは何かと不便です。狭い店内でゴロゴロとスーツケースを転がし、うっかり平積み棚に引っ掛けてしまい本を床にぶちまけてしまった経験は誰しもお持ちでしょう。常識ある社会人としてそれをきれいに並べ直さなくてはならないという義務感に駆られるわけです。電車の出発時刻が迫っているときなど、気が急いてきちんと並べることができません。おかげで、おかしなところに手を引っ掛けて被害をより大きくしてしまったりします。しゃがみこんで作業をしていると通行の妨げになってしまい、他のお客さんに舌打ちされてしまったり。
そんな悲しい羽目に合わないためにも、読む本は事前にしっかりと購入して準備しておきましょう。

でも、急に本を買うとしてもなかなか読みたい本が見つかるわけではありません。
そこで、当方がこの1年に読んだ本から、alm-ore お薦めベスト10を選んで紹介してみます。参考にしていただければ。




【1位】
鹿男あをによし』 万城目学

世間でもそう見られているし、本人たちもそう思っているらしいのだが、森見登美彦と万城目学は当世の若手作家ライバル。今回のランキングでもどちらに1位にするか迷ったのだけれど、僅差で万城目学にすることにした。京都市内よりも奈良市内が生活圏の当方にとっては『鹿男あをによし』の舞台に思いっきりなじみがあったし。あと来年1月から本作品がドラマ化されるからそのご祝儀もかねて。
なお、これを読んで奈良を回ってみたいと思った方がいらっしゃったら、当方のシャア専用CYPHA号でご案内差し上げます。
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【2位】
夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦

今年の僕の読書生活でもっともアツかった作家と言えば、森見登美彦しかいない。当blogにご本人さんがコメントを残してくれたこともあったし。彼の著作の中では「太陽の塔」が文庫で読みやすいとか、「新釈 走れメロス 他四編」がイカしてて笑えるとか他の候補もあったのだが、「僕が読んでて、ものすごくほんわかした気持ちになった。今でもパラパラとめくって適当に読み返すだけで楽しくなる」という理由で本作を猛プッシュ。
惜しむらくはハードカバー。旅のお供にするにはちょっとかさばる。そんな人は文庫の「太陽の塔」を。
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【3位】
獄窓記』山本譲司

元衆議院議員の著者は、秘書給与の不正利用によって起訴され実刑判決を受ける。つまり、刑務所に入れられた。
腹黒い政治家なら、自分の罪の弁解するために本を書いたりテレビに出たり、講演会をしたりするかもしれない。しかし、山本氏は自分の罪を潔く認め、しっかり反省の弁を述べている。実際、釈放後も選挙に出るでもなく、政治生命を自ら絶っている。そういう意味で、本書は色眼鏡で見る必要は一切無い。
しかし、本書は単なる懺悔書に終わっているわけではない。彼は刑務所の中で障害者ばかりが収容されている部署の担当を任される。その中で、「シャバではどこにも雇ってもらえない。刑務所でしか生活できない」と訴える人々の存在を知ることになる。この経験を元に、彼は福祉政策のためのボランティアとなっていく。
両方ハードカバーで重たいが、ぜひ続編の「累犯障害者」とセットで読みたい。


【4位】
禁煙セラピー―読むだけで絶対やめられる』アレン・カー

喫煙生活10年弱の当方が、「こんなアヤシゲな本に騙されてたまるかよっ」と斜に構えて読み始めたのに、読み終わる頃には完全に禁煙に成功していたという、バカバカしいほどにコロッと騙された(いい意味で)本。この本を読んで行う禁煙は、全然苦しくない。むしろ楽しい。禁煙を試みるときには、とりあえず買ってみるがいいと思う。ニコチンパッチとかよりは全然安上がりだし。
長期の休暇というのは禁煙を始めるいいタイミングだと思う。しかも、新年というキリのよさもある。
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【5位】
牢屋でやせるダイエット』中島らも

中島らもが大麻取締法違反により自宅で逮捕され、拘置所で拘留・取調べを受け、裁判で執行猶予がついて釈放されるまでの顛末を記した手記。ちなみに、彼の体重が減ったかどうかは一切書かれていないので「ダイエット」に騙されないように。体重が減ったかどうかはわからないけれど、規則正しい生活と食事のおかげで、ナニが元気になったということは書いてある。
拘置所での生活を面白おかしく書けるのは、さすが中島らも。ついつい「俺も一度入ってみたいかも」と思わされる魔力。


【6位】
人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか』河野稠果

日本の人口が少子高齢化しているという話は、既にミミタコ。しかし僕らは「なんかヤバそう」という漠然とした印象以外は何も知らないんじゃないだろうか?いったい、何がどうヤバいのか?そもそも、何を根拠にヤバいって言われてるのか?つーか、少子高齢化の本当の意味って何なんだろうか?
そういう疑問に真摯に答えてくれる1冊。人口学の難しい概念を、わかりやすい日本語で親切に解説してくれる。数式も本文には一切出てこないので、難なく読める。そして、読み終わった頃には、人口問題を冷静に考えることができる自分のできあがり。

【7位】
鉄道員』 浅田次郎

浅田次郎は何を読んでも泣かされる。もう「泣かせ屋」というあだ名を与えてもいい頃ではないかと思う。本書「鉄道員」は短編集だが、どの話も例外なく泣ける。ちなみに、本書収録の「鉄道員」と「オリヲン座からの招待状」はいずれも映画化されているが、映画はダメダメである。本書で十分。
とにかく、泣いてカタルシスを得たい人は必読。ただし、本当に泣けるので、電車や飛行機、待合室などで読むときは周りの人の目に気をつけたほうがいいかもしれない。
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【8位】
不良のための読書術』永江朗

「真面目な人は本を隅から隅まで一字一句逃さないように読む。しかし、不良は不真面目なので本を一冊まるまる読まない。面白そうなところだけを読む。」ということを言いたい本。僕はこのやり方を実践するようになったわけではないが、気軽に本に向かい合えるようになった。
また「日々、本はたくさん出版されている。書店や倉庫のスペースは限られているので、予想よりも多くの本が返品されたり絶版になっている。いつか読もうと思っていると、一生お目にかかれなくなるかもしれない」という書籍業界の特徴を教えてくれた。おかげでそれ以来、ちょっとでも気に入った本は躊躇無く購入するようになった。以前よりも生活の文化レベルが上がってよかったと、個人的には思っている。


【9位】
日本はじっこ自滅旅』鴨志田穣

鴨志田穣といえば、漫画家・西原理恵子の夫で、今年の3月に癌で亡くなった人。ひどいアル中で家族はとにかく大変だったらしい。ついに、西原理恵子に家を追い出されてしまい、国内をさまよう様を自嘲気味に書いたエッセイ。日本のはじっこに行きたいという意図を持ち、いろいろな岬を目指して旅をする。たいてい天気が悪くて、他に誰もいなくて、タクシーの運転手とかには自殺志願者じゃないかと勘違いされたり。
全然心が晴れない一人旅。けれど、世の中のしがらみやらなんやらがめんどくさくなって、「ここではないどこか」に行きたくなる気持ちってのはわからないではない。知らない街でのわびしさと安堵感の紙一重のあの感じもよくわかる。
気の重い帰省などをしなくてはならない人がもしいたら、お供にどうぞ。
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【10位】
孤独のグルメ (扶桑社文庫)』 久住昌之・谷口ジロー

時々、食事をしに行くのをもの凄く億劫に思うことがある。目上の人と一緒だとそれだけで気詰まりするのに、店員がその人に対して失礼をはたらいたりして場をめちゃめちゃにしたりしないかとハラハラしたり。目を付けてる女の子を食事に誘うときなんて、下調べに時間をたっぷりかけて、話題のお店やお洒落な内装・料理のお店を見つけてこなきゃいけないし。目をかけている後輩をメシに連れて行くときは、オモテでは「俺のおごりだから、何でも食えよ」なんて言っておきながら、ウラでは「頼むから空気読んで、安いものにしてくれよ」と心でつぶやいてみたり。
じゃあ、一人でメシを食ったらそういう心配は無いのかと言えば、巷には一人では入りにくい飲食店ばっかりで。勇気を持って入ってみても、常連客ばっかりで、店主からよりも常連客の方から値踏みされちゃったり。本当に、メシを食うのも楽じゃない。
しかし、そんな苦労の対岸には、一人静かな食事の涅槃がある。むしろ、苦労をするからこそ得られる、大きな安楽。本書は、食事におけるランナーズハイを描いた稀有な作品だと思う、マジで。
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【この1年に読んだ本全リスト】
2006年12月11日-2007年12月10日 (著者五十音順)
  1. 『Clapton: The Autobiography』 Eric Clapton
  2. 『鉄道員』 浅田次郎
  3. 『椿山課長の七日間』 浅田次郎
  4. 『実践イラスト版 スローセックス 完全マニュアル』 アダム徳永
  5. 『ブラックジョーク大全』阿刀田高
  6. 『機動戦士ガンダム The Origin 16』安彦良和
  7. 『モンキー・パトロール』有間しのぶ
  8. 『いいたかないけど数学者なのだ』飯高茂
  9. 『わが家の夕めし』池波正太郎
  10. 『チューネン娘。』 伊藤理佐
  11. 『芸能グルメストーカー』泉昌之
  12. 『ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』梅田望夫
  13. 『こんな女じゃ勃たたねえよ』内田春菊
  14. 『阿房列車』内田百閒
  15. 『ノラや』内田百閒
  16. 『爆笑問題のニッポンの教養 人間は動物である。ただし…… 社会心理学』太田光 田中裕二 山岸俊男
  17. 『セックスのあと男の子の汗はハチミツのにおいがする 』おかざき真理
  18. 『プチ修行』 小栗左多里
  19. 『夫婦善哉』織田作之助
  20. 『La Quinta Camera -5番目の部屋-』オノ・ナツメ
  21. 『禁煙セラピー』アレン・カー
  22. 『檸檬』梶井基次郎
  23. 『桜の木の下には』梶井基次郎
  24. 『エリートセックス』 加藤鷹
  25. 『日本はじっこ自滅旅』鴨志田穣
  26. 『酔いがさめたら、うちに帰ろう』鴨志田穣
  27. 『パレード』川上弘美
  28. 『人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか』河野稠果
  29. 『鉄子の旅』菊池直恵
  30. 『ヒトはなぜ、夢を見るのか』北浜邦夫
  31. 『猫語の教科書』ポール・ギャリコ
  32. 『タイムスリップ水戸黄門』鯨統一郎
  33. 『格差社会―何が問題なのか』橘木俊詔
  34. 『孤独のグルメ』 久住昌之 谷口ジロー
  35. 『世界でもっとも美しい10の科学実験』 ロバート・P・クリース
  36. 『窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子
  37. 『バーバーハーバーNG』小池田マヤ
  38. 『小泉今日子の半径100m』小泉今日子
  39. 『原稿用紙10枚を書く力』斎藤孝
  40. 『ぼくんち』西原理恵子
  41. 『ひとりずもう』上(漫画版) さくらももこ
  42. 『誰も寝てはならぬ (7)』サライネス
  43. 『大阪豆ゴハン』サライイネス
  44. 『現代語訳 源氏物語』瀬戸内寂聴
  45. 『晴美と寂聴のすべて』瀬戸内寂聴
  46. 『人間失格』太宰治
  47. 『美食倶楽部』谷崎潤一郎
  48. 『春琴抄』谷崎潤一郎
  49. 『細雪』谷崎潤一郎
  50. 『自分が変われば相手も変わる―「感情適応力」でパートナーとの関係を活性化する』土倉玲子
  51. 『源氏物語が面白いほどわかる本』出口汪
  52. 『手塚治虫アンソロジー 猫傑作選』 手塚治虫
  53. 『新幹線ガール』 徳渕真利子
  54. 『トニーたけざきのガンダム漫画 II』 トニーたけざき
  55. 『不良のための読書術』永江朗
  56. 『<不良>のための文章術』永江朗
  57. 『休みの国』中島らも
  58. 『しりとりえっせい』中島らも
  59. 『牢屋でやせるダイエット』中島らも
  60. 『我輩は猫である』夏目漱石
  61. 『こころ』夏目漱石
  62. 『まっとうな経済学』ティム・ハーフォード
  63. 『夏への扉』 ロバート・A・ハインライン
  64. 『山へ行く』萩尾望都
  65. 『私は好奇心の強いゴッドファーザー』原田宗典
  66. 『春の数えかた』 日高敏隆
  67. 『僕の小規模な失敗』福満しげゆき
  68. 『背信の科学者たち』W・ブロード N・ウェイド
  69. 『気まぐれコンセプトクロニクル』ホイチョイプロダクション
  70. 『鴨川ホルモー』万城目学
  71. 『鹿男あをによし』 万城目学
  72. 『ホルモー六景』万城目学
  73. 『愛にこんがらがって』みうらじゅん
  74. 『やりにげ』みうらじゅん
  75. 『ロマンス小説の七日間』三浦しをん
  76. 『高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院』 水月昭道
  77. 『銀河鉄道の夜』宮沢賢治
  78. 『道頓堀川』宮本輝
  79. 『友情』武者小路実篤
  80. 『遠い太鼓』村上春樹
  81. 『キャッチャー・イン・ザ・ライ』 村上春樹
  82. 『元気がなくてもええやんか』森毅
  83. 『太陽の塔』森見登美彦
  84. 『きつねのはなし』森見登美彦
  85. 『四畳半神話体系』森見登美彦
  86. 『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦
  87. 『新釈 走れメロス 他四編』森見登美彦
  88. 『有頂天家族』森見登美彦
  89. 『成りあがり』矢沢永吉
  90. 『青青の時代』山岸涼子
  91. 『獄窓記』山本譲司
  92. 『累犯障害者』山本譲司
  93. 『大阪人の掟』わかぎゑふ
  94. 『デトロイト・メタル・シティ』若杉公徳

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コメント (1)

  1. 本屋で見つけたもの、見つけられたもの

    ほとんど誰からも省みられていないことを知っているが、昨年の12月に「2007年度 alm-ore お薦め本ベスト10」という記事を書いた。 そこで、3位に…

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