最近、精華町界隈で「隠れ家的カフェ」として話題沸騰中らしい、”Cafe du un graine” に行ってきた。読み方は、きっと「かふぇ どぅ あん ぐれーぬ」。
会社で隣の席の女の子が、知人に連れて行ってもらったとのことで道順を聞くと、
「会社の前の道を山の方にぶわーっと行って、山の横の道でぐわーっと曲がって(注)、そのままず~っと行くやん? ほんで、なんや知らんけど左にしゅっと曲がったら着いた~」
と、さすがは関西人。ウルフルズの『大阪ストラット』の歌詞そのままに説明してくれた。
さっぱりわからん。
注: ここで彼女は自分から見て左の方に腕を曲げた。確かに、道を左折するのは正しい。しかし、俺から見ると左右逆だ。
とにかく、古い民家が立ち並ぶ地帯にあって、場所がわからないことで有名。
読者諸氏は「木公がまた大げさなことを・・・」とお思いかもしれないが、そんなことはない。マジやべぇ。
住所はわかっていたので、地図で場所の見当をつけて車を走らせた。
山の横の道をず~っと行くと、通りの右手に “Cafe du un graine” の駐車場という看板が見えた。
僕が事前に地図で調べていたところはもうちょっと先なのだけれど、デカデカと看板が出ているのだから、ここに車を停めるのが正解なのだろう。
駐車場は3台分のスペースがあって、舗装されていない。土地は広いので車の取り回しに苦労することはない。
僕の横には、今しがた車を停めたような若いカップルがいた。彼らはきょろきょろと周りを見回したり、ケータイとにらめっこをしている。
さらには、こっちの方をチラチラと見ている。
僕が車から降りるや
「すみません、お店の場所はどこですか?」
なんて聞いてきやがる。
聞いてきやがるから、間髪入れずに
「いや、僕も初めてよくわからないんです。地図で調べた限り、こっちなんだけど・・・」
と、彼らと一緒になって歩き出す。
駐車場からの道順
駐車場を出たら、右に向かって歩くこと。
しばらく行くと、左に曲がれるようになる。そこを曲がること。
写真の赤い矢印は、道なりに進む方向。そっちはハズれ。
青い矢印のように、左に曲がること。目印は、運動場のような角地。
曲がると、横に用水路がある小さな道となっている。
隣の車のカップルを先導しながら向かったわけだが、こんな道にカフェなんてありそうにない。ちょっと不安になってくる。
しばらく行くと、道の向こうから2人連れの女性がやってくる。旧村風の家並みに似つかわしくない服装なので、めちゃ目立つ。
「この先にカフェはありますか?」
と聞いたのは、隣の車の女性だ。僕の道案内に不安を感じている様子。
向こうから歩いてきた女性は、ちょっと道を戻りつつ、
「そこの三叉路を右に行くと、すぐに看板が見えてきますよ」
と親切に場所を教えてくれた。
かくして、我々は、駐車場から3分の大冒険の末、無事に店にたどり着いた。
入店
お店だとわかるのは、表の看板だけ。入り口は、普通の民家の引き戸。ものすごく不安になる。
お店の人は僕らを全員同じテーブルに案内しようとする。
まぁ、一緒に来たわけだから妥当なわけだが、即座に
「いえ。一緒には来ましたが、厳密には別々です」
と、”厳密には” なんて、どこの誰よ?みたいな言葉を使いつつ答える。
客席は土足厳禁。靴を脱いであがらないといけません。
出かける日は、靴下に穴が開いていないかどうか事前にしっかりチェック!
お店は古い民家を改造してある。建物は古臭いけれど、手入れは行き届いていてカンジがいい。
僕はピカピカしているところは落ち着かない性質なのだけれど、この店はリップサービス抜きで、今までいったどのカフェよりもリラックスできた。最高。
なんか、愛想のいい田舎のおばあちゃんの家に来た感じ(店員さんは、若い女性だったけど)。
窓ガラスとかが、変な模様の入ったすりガラスだったり。そういうレトロ感が、最高にイイ感じ。
鴨居なんかも低く作ってあって、170cmの僕が頭をぶつけそうになる。
外を見ながら、スイカとか食ったら気持ちいいだろうなぁ。
でも、テーブルセットはちょっとモダン(モダンという言葉が、古くさいけど)。
食事
ランチメニューは、パスタランチセット 1,300円 だけっぽい。
パスタはいろんな種類から選べるので、僕は「梅と大葉と山芋の和風スパゲティ」にした。純和風かと思ったら、オリーブオイルとニンニクも使われていて、絶妙な和洋折衷。おいしかったです。
ほかのセット内容は、サラダ&パン、スープ、デザート、ドリンク。
ちょっとハイカラなおばあちゃんが、おいしいお昼ご飯を作ってくれたと思えば、気分はもう夏休み。
【Cafe du un graine】
住所: 京都府相楽郡精華町東畑南山中2-1
tel: 0774-93-1724
営業時間: 10:00 – 19:00
定休日: 火曜日
駐車場: 店から徒歩3分くらい。公証3台(もっといける)
昨日久しぶりに出た娑婆で「隠れ家カフェ」と堂々と看板に書いてあるカフェを発見しました。これって絶対隠れ家じゃないと思う。
#娑婆と言えばいつもTニダ君の顔が思い浮かぶんだよなあ。
それ、店の運命をかけた最強のジョークでしょ?
そうか、あれは諸葛亮孔明の空城の計だったんだ!
「空城の計」って調べちゃったじゃないか。
孔明が敵に攻められたとき、味方はごく少数でとても勝ち目はなかった。そこで、城の門を開け放って城壁の上でひとり琴を弾いたってやつね。
敵将は、「何か裏があるに違いない」と攻める手をやめたってやつね。
相手が「裏をかかれるものか。やめやめ」と思うだけの知性がある人間じゃないと利かない技ね。
看板に”隠れ家的カフェ”とある店を見ると、普通の人なら「自分でいうなんて信用ならん。行くのやめよう」と思うはずだ。
そうすると、本当に客が少なくなって隠れ家的カフェになる。
そこで、裏の裏をかいて、そこに入店する者のみが”隠れ家”を享受できるって寸法だ。
その店主、かなりの策士じゃねーか。
ぜひ行ってみてよ。