俺が私のしごと館と舛添厚労相について語る

昨日、私のしごと館に関する記事を書いたら、本日とてもたくさんのアクセスを集めていた。森本卓郎の記事にトラックバックを打ったから、それでアクセスが増えたせいもある。
しかし、それとは無関係に、検索エンジンから飛んでくる人も今日は多かった。
どうも、私のしごと館がマスコミで取り上げられたようだ。

舛添厚労相、私のしごと館を視察

りんちゃんのお母さんから以下のような報告(写真つき)をしてくれた。

本日11時頃、しごと館の前にテレビカメラが多数集まっていました。
誰か偉い人が視察に来るんだろうな、今日も入館者少な目な感じだけど、また「こんな人が来ていない無駄な施設」ってけちょんけちょんに言われるんだろうな、と思って見ていました。

11時半頃、誰かが来ましたが誰だか確認できませんでした。

夕方のニュースを見たら来ていたのは舛添さんでした。当然、舛添さんはヒドイことは言っていませんでした。舛添さんは「駆け足で」視察されたそうです。

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視察の様子は、たとえば京都新聞で報道されている。
「つぶすのはもったいない」 舛添厚労相が私のしごと館視察

舛添厚労相は「職業教育は採算の問題ではなく、政府の施策としてきちんとやらなければならない。子どもたちに夢と希望を与えるしごと館に、きちんと生まれ変わるよう、オールジャパンで取り組む」とも話した。

“オールジャパン” の意味はよくわからんが、とにかくすごい意気込みだ。

ちなみに、昨日も書いたけど、森本卓郎が参画している「私のしごと館のあり方検討会」は厚生労働省の組織なので、森本氏と舛添厚労相は味方同士ってことで。

NHKニュースのビデオのインタビューとか聞くと、森本卓郎のエッセイで見たようなフレーズ(売却しても「二束三文」にしかならない、とか)もちゃんと出てくる。

僕が私のしごと館に思うこと

それはさておき、僕も私のしごと館の賛成派だ。
理由は単純で、「職業ごっこ」ができるのが楽しい。
小さい時からオママゴトやお医者さんごっこ(エロい意味に取らないように)が大好きだったので、それらのもっと立派になったヤツだと思えば、こんなに楽しい施設は無い。

宇宙ロケットの管制室や、声優スタジオ、消防士体験ができる施設なんて、そうそう無いぞ。
ただし、僕はここにあげたやつを1つもやったことが無いケド。混んでたり、休止中だったりしたのだ。
その代わり、近鉄電車の運転手とか、国際宇宙ステーションの実験施設「きぼう」のクレーン操作、天気予報番組のアナウンサーとかはやったぞ。

ただし、現状の私のしごと館にたっぷりと満足しているわけでもない。

細かい点はいろいろあるが、一番不満なことは「職業間の依存関係が存在しない」ということだ。

例えば、声優という職業を考えれば、まずアニメーションを作る絵描きさんがいるだろうし、絵描きさんが使う絵の具を作る人がいるだろうし。絵の具の材料となる油を精製する人もいるだろう。アニメはDVDになって流通するから、トラックの運転手だっているだろうに。店員が接客してDVDを売る相手は、さっき絵の具を作っていた人かもしれない。
その他、枚挙に暇が無いが、そういう職業同士の連関というものが世の中にはあるのだ。

そういったものが、私のしごと館には一切無いのが残念だ。
声優体験では、マイクに向かって声を吹き込んで終わり(らしい。やったことないので)。
手織機で織物を作ったけれども、それが誰かに売られていくわけでもない。
フラワーアレンジメントの体験もあったが、できたものを自分で眺めてうっとりするだけ。
そんなの職業じゃねぇ。趣味だ、趣味。

世の中にたくさんの職業があるのは、世の中に複数の人(多くの場合、数え切れないほどたくさん)がいるからだ。1人で全てを賄うよりも、分業した方が全体として効率が良いからだ。その事実は当たり前だが、油断していると失念してしま場合があるし、無視して良いものではない。
私のしごと館では、それぞれの職業の個別知識を理解することができる点は認める。しかし、人々のネットワークや社会構造、経済の鳥瞰図を理解することはできない。それは大いに不満だ。

その点、キッザニア東京では参加者同士が貨幣を使って財やサービスの交換を行うことができると聞く。非常に羨ましい。ただし、子どもしか入れないらしい。ますます羨ましい。
私のしごと館は、ことあるごとにキッザニアと比較され「キッザニアは黒字なのに、私のしごと館ときたら・・・」とバカにされてるみたいだが、そんなことはあまり本質ではない(僕は舛添大臣が「採算の問題ではない」と言ったことに賛成だ)。
私のしごと館が反省すべきは、職業間の依存関係をあの建物世界の中に作りこめなかったことだ。

今後、私のしごと館が存続するとするなら、いろいろとテコ入れがあるだろうけれど、職業間の連鎖を明示的に扱う施設になってくれることを期待している。
そうして楽しい施設になったら、年間パスとか買って入り浸る。

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