神童寺: 天弓愛染明王に会いに行く

神童寺の天弓愛染明王(木津川市のサイトより)当方宅から車で約20分、木津川市山城町にある神童寺に当方の大好きな仏像である愛染明王が収蔵されているという情報をGETしたので、早速面会に行ってきた(右写真; 木津川市のサイトより)。
当blogでは頻繁に愛染明王が登場しているのでメジャーな仏像かと錯覚してしまう読者もいるかもしれないのだが、それは当方が愛染明王を狙って見仏しているからであって、普通はそんなにお目にかかれるわけではない(きっと)。
しかも、神童寺にあるものは、天に向かって弓矢を引いている「天弓愛染明王」と呼ばれるタイプだ。今まで当方が見てきた(といっても2回だが)愛染明王は、いずれも弓と矢を持っているのだが(これは愛染明王の定番グッズ)矢をつがえているものは見たことがなかった。
天に矢を向けることの意味は知らない当方だが、愛染明王に恋している身の当方としては、キューピッドの愛の矢よろしく、その矢で射抜かれてみたいものである。


神童寺北吉野山 神童寺は役行者(えんのぎょうじゃ; 山伏とかの修験道の開祖。AD. 634-706)が建てたと伝えられているそうだ。
彼が修行していると、童子が現われて「そこにあるシャクナゲは霊木だから、それで仏像を作るべし」と言われたそうだ。不思議だなぁと思いつつ数週間祈りを奉げていると、突然、蔵王権現という仏が出てきてビックリしたそうだ。で、こりゃスゲェってんで、すぐさまシャクナゲで蔵王権現の仏像を彫り始め、神童の力を借りつつ完成させて安置したそうだ。

不思議なお話なのだが、まぁそういうことなのだろう。
そんなわけで、蔵王権現が本堂(下の写真)の真ん中に奉られていました。

神童寺の本堂

このお寺の仏像は常時開錠されているわけではなく、見仏したければお寺の人にお願いしていちいち鍵を開けてもらわなければなりません。しかも、その間お寺の人がそばにいるので、シャイな人などはちょっと緊張してしまうかもしれません。
僕も緊張気味だったのと、本堂には愛染明王がいなかったので、早々に本堂を後にしてしまいました。

収蔵庫僕の最大の目的の天弓愛染明王は本堂ではなく、本堂の裏山の上にある収蔵庫にありました。数十mの道のりを石段で登っていくと、ちょうど本堂の屋根を見下ろす位置に収蔵庫がありました。
ここは照明も明るく、10体近くの仏像が安置されているし、当方の恋する愛染明王もいらっしゃるので、グッときました。

天弓愛染明王は平安後期の作だそうで、彩色はほぼ剥げてしまっていて赤くなかったのが少々残念でしたが、雄々しい造形でカッコよかったのです。

そのほか気になったのは、日光菩薩と月光菩薩のコンビです。彼らは本来、薬師如来の左右にいるべきなのですが、肝心の薬師如来がいません。まるで、ランバ・ラルのいないアコースとコズンのようです(分かる人だけ分かってくれればよいセンテンス)。
お寺の人に話を伺うと、過去の火災か何かで薬師如来だけ失くしてしまったとのことです。しかも、彼女から言われるまで気づかなかったのですが、コンビであるはずの日光と月光の雰囲気が全然違います。衣装やら彫りの様子など、明らかな違いがあります。どうも、日光・月光のいずれかが焼失したことがあって、それぞれ違う時代に作られたのだろうということでした。どーせ作り直すんだったら、雰囲気を似せればいいのに・・・と思ったのだけれど、かろうじてそれを口に出すのを避けるだけの大人のマナーを持っている当方でした。

もっとゆっくり見ていたかったのだけれど、鍵を持ってそばにいられるので、ちょっと恐縮してしまって、早々に退散。時間があったら、愛染明王と日光・月光コンビだけで30分は飽きずに眺められる感じでした。

最寄の駅からバスなどもなく、歩けば30分以上かかる場所。道も狭いし、車で行っても駐車場もない(「寺の石段の前に停めてええよ」と言われて、その通りにした。なんとか1台は停まる。下の写真の右隅に当方の車のオシリが写ってる)。
行くのは大変だけれど、1度は訪れる価値のある寺だと思ったなり。

神童寺山門

【神童寺(じんどうじ)】

住所: 京都府木津川市山城町神童子不晴谷112
Tel: 0774-86-2161
仏像の拝観料: 400円
アクセス: JR奈良線棚倉駅より徒歩30分。近鉄新祝園よりタクシーで15分。
駐車場: 山門石段前に1台路駐(駐車禁止の標識はない)


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