ドラマの中で茂が自分の趣味を押し付けて布美枝を連れて行った映画『ナバロンの要塞』を僕も見たのだが、予想をはるかに上回る面白さで、いやいや見始めた布美枝が茂以上に熱中した気持ちもよくわかった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第88回めの放送を見ましたよ。
茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)が急に泊まっていくと言い出した。迷惑に思うが、強引に押し切られてしまった。女は女同士、男は男同士、一緒に寝ることになった。
義母は布美枝(松下奈緒)に、茂は朴念仁で昔から女にモテなかった。だから、はるこ(南明奈)と抱き合っていたのも、色恋沙汰であるはずがないと断言した。また、病気を克服し、40歳を過ぎてから大ヒットした三浦綾子を引き合いに出し、茂にもチャンスはあるかもしれないと言って聞かせる。一方、このまま芽が出なくても、茂のことを見捨てないでくれと頭を下げるのだった。
父は茂に、小説出版が破談になったことを愚痴る。母は芸術を理解しないのに、余計な口出しばかりするのだと文句を言っている。母の言い分が正しいと思う茂は、仕事をしながら適当に聞き流していた。しかし茂は、昔から小説や劇、映画などを愛好した父の姿に共感する部分もあった。また、金だけを追いかける人生はつまらない、好きなことを追いかけていればあとはなんとかなる、という父の「なんとかなる主義」には特に強く共感するのだった。
翌日、両親は境港に帰っていった。
それから数日経ち、はるこが村井家に謝罪と近況報告に来た。
最後の原稿を描き直し、自信満々で出版社に持っていったが、採用されなかった。ついに漫画家の道は断念し、翌日田舎に帰るのだという。
はるこは、昔から漫画家になることしか頭になかったので、これからどうやって生きていけばいいか分からない、修行をした3年間も全くの無駄になったと話す。それに対して茂は、人生経験はどこでどのように役に立つか分からない、だからそんなに落ち込む必要もないと言い聞かせる。小さい頃、父は周りから馬鹿にされながらも、小説や劇の話を自分に教えてくれた。それが、今になって漫画を描くタネになっている。父から授かった「なんとかなる主義」で生きているのだと話してやった。
それを聞いて、はるこは持ち前の明るさを取り戻すことができた。
東京を離れる前に、一度深大寺に行ってみたいと言い、布美枝を強引に連れて出かけていくのだった。
はるこが茂に対して抱いている感情は、男女の色恋なのか、作家として尊敬しているのか、はたまた幸せそうな村井家全体に対する憧れなのか、未だはっきりしません。
これは、明日、深大寺に出かけていって、布美枝にだけ正直な気持ちを打ち明けるという流れなんだろうか。
ていうか、「なんで今さら、はるこが深大寺?」と水増し感満載でどうしたものかと思わざるを得ません。はるこが布美枝を精神的な支えにしている理由を思い返しても、よくわかりません。どうして東京最後の1日を布美枝と一緒に過ごそうとするのか、その理由もますます思いつきません。
う~ん、うむむむむ。
今週は見所が少ない。
ていうか、貧乏生活から売れっ子作家へのターニングポイントにさしかかり、茂らが付き合う人々が変化する時期なのだろう。そのせいで、これまでの人々との縁切りが描かれているのだろうけれど、なんだか取ってつけたような感じが拭えないのです。