永遠にアムロ: 東海道五十三クリング(19) -5日目-

本日は、岡崎宿(38番)から亀山宿(46)まで移動。約93km。本当は関宿(47)まで行く予定だったのだが、そこには適当な宿がなかった。だから、一つ前でストップした。
そして、明日の夕方には京都に到着しそうだ。

* * *


今夜宿泊するカンデオホテルズ亀山は、亀山と関とのちょうど中間あたりだ。気分的には関宿に泊まったような気分になっている。

ネットで調べたら、朝食が付かない代わりに最上階の部屋(ベッドも大きい)が与えられるという宿泊プランがあったので即座に決めた。
さらに、僕がどこから来てどこに行くのか一切言っていないのに、ちゃんと鈴鹿の山が見える部屋をあてがってくれた。鈴鹿峠は、東海道において箱根に次ぐ難関だと言われている。僕もちょっと緊張しているのだが、興奮もしている。部屋から鈴鹿の山々を眺め、気分を盛り上げている。
なお、地理に暗い僕は、どこが峠だか知らない。唯一分かっているのは、右に見える道路は明日の朝僕が走るということだけだ。

客室からの風景


* * *


ホテルのフロント係は客の事情に頓着しないというのが大前提だから、僕がどういう目的で宿泊しているかは聞かない。
一方、客同士というのはあまり遠慮がない。

最上階の部屋がもらえるというだけではなく、最上階に露天風呂もあるというのでこのホテルにした。
残念ながら露天風呂からは鈴鹿峠の方面は見えなかった。逆に、僕が今日通ってきた方角を一望できた。自分のこれまでの足跡を思い出し、感慨にふけっていた。

すると、頭の禿げ上がった70絡みに見えるジイさんが僕に話しかけてきた。平日の太陽のある時間にのんびりと風呂に入っている若造(当方はアラフォーだが、見た目だけは若く見えるようだ)を訝しく思ったのだろう。彼は、地元で興行の仕事をしている人間だと自己紹介した。地元の興行師がどうしてホテルに部屋をとって風呂にはいる必要があるのかよくわからなかったが、その職種と見た目がなにやら怖かったので、はいはいと頷いておいた。

僕はちょうど湯船の中でストレッチをしていて、奇妙なポーズをとっていた。その事をまずは説明せねばならない。当然、東海道を自転車で走っていることを話す羽目になる。
今回の旅では、それほど多くはないが、行きずりの人と一言二言交わす機会があった。自分のチャレンジを話すと返ってくるのは
「この暑いのに大変ね。もっと涼しくなってからやればいいのに」
「面白い物見た?名物食べた?」
「仕事はしてないの?」
というものがほとんどだ。

ところが、このジイさんが言ってくれた言葉は
「行けるといいな」
だった。

「きっと行けるぞ」という根拠のない肯定だったり、「いやいや大変だろう」というこれまた根拠のない否定でもなかった。初対面なのだから、僕がどういう人間で、ゴールできる目算がどのくらいあるのかなど彼にはわかるはずがないのだ。だから、無責任なことは言わなかったのだろうと思う。
そして、僕が毎日「まだまだ何があるかわからない。本当に行けるといいな」と考えているのと同じことを言ったのだ。泣きそうになるのを我慢するのが大変だった。目を細めて、まぶしそうに遠くを見る芝居をせざるを得なかった。

さらに、ジイさんによれば、愛知から東北までリヤカーに和太鼓を積んで歩いて向かっている男がいるという。ジイさんは数日前にテレビで見たという。僕の旅の話で思い出したそうだ。
風呂から上がって検索したら、すぐ見つかった。
東日本応援ウォークキャラバン1000というのがそれのようだ。

実は僕、この人とすれ違った。
僕の記憶では、11日の午前で、少なくとも保土ヶ谷の権田坂(東京を出発して最初に富士山が見える場所))を下った後だと思う。
少々奇妙な格好だったので写真に撮ってtweetしようかと思った。しかし、地元の夏祭りの準備か何かだと思い、地域の行事を小馬鹿にするような真似をしてはいけないと思って自重した。写真も撮らなかった。ただ、地域の祭だとしたら地域の人と挨拶を交わしそうなものなのに、地元の人々はあまり関心を示していないのをオカシイと思っていた。

そして、今日ジイさんからうわさ話を聞いて、やっと彼の正体が判明したのだ。
そういう事だと分かっていたら、その場でエールを送ったのに。
残念だ。

なお、リヤカーで和太鼓を運んで、何になるのか僕には正直よくわからない。よくわからないが、それをすることにロマンを感じる。僕の自転車旅行も単なるロマンだ。

いいジイさんだと思った。リヤカー男のロマンと自転車男のロマンを結びつけてくれたジイさんも、ロマンの男だ。
昔は大阪で河内音頭関連の興行をやっていたけれど、波に乗り切れずに亀山のあたりに流れてきて、今は冴えない演歌歌手のプロモートをしているという(俺解釈)。そういう仕事と苦労のせいだろうか。なにかスッと気持ちを楽にしてくれるジイさんだった。

僕が大浴場に行くと先に洗い場にいて、見た目が怖くて、目を合わせただけで因縁をつけられると思い込んで、一番離れた洗い場に座ってごめんなさい。


ところで、ジイサンと関係ないが、面白い話がひとつある。
僕はスタート時にはヒゲモジャだった(参考記事。ところが、今はヒゲを剃ってしまった。箱根を越えた翌日、一仕事終えた充実感があり、何か変化を起こしたくなったのだ。だから剃った(ちなみに、「よーこがはりますなぁ」手ぬぐいをおろしたのも同じタイミングだ: 参考記事)。
外見の変化に応じて、周りの人の反応も変わったのだ。

ヒゲ時代には、異口同音に第一声が「どこから来たの?」だった。よほど風呂にも入らず、長い距離を旅してきた人間に見えたのだろう。
ところが、ヒゲがなくなったら第一声が「どこに行くの?」に変わった。生っ白くて(それでも日焼けしたが強力な日焼け止めの威力)、ヒョロヒョロした僕の見た目に、みんな心配になるのだろう。


* * *


僕が京都にゴールする日に関しては、少し問題がある。
京都で僕を出迎えるつもりでスケジュールを調整してくれていた人が少なくとも5人はいたのだが、僕が勝手にゴール日を早めてしまったので、仕事などの予定がある彼/彼女らが参加できなくなった問題だ。

そりゃそうだ。2週間も前に予定を発表したのだから、多くの人が無理をしてでも調整してくれたのだろう。それを僕が勝手に白紙に戻してしまって申し訳ないと思います。
どうぞお許しください。

言い訳を許してもらえるなら、そうする理由が2つあります。

1つ目は、もうマジしんどいということです。
自転車を乗ることは楽しい。2週間前には想像できなかったくらい楽しい。毎朝わくわくしながら目が覚める。

しかし、10時を過ぎれば気温が急上昇し汗だくになる。昼を食べに飲食店に入ると、クーラーで体が冷えて午後の再開時に調子が出にくい。調子が出にくいまま太陽に照らされ、汗が出て、体力がどんどん消耗していく。
朝には鼻歌交じりで走っているのに(それが中継音声に乗っているかどうか、僕は確認していない)、14時を過ぎるとボヤキとうめき声(それが中継音声に乗っているかどうか、僕は知らない)しか出なくなる。本当に辛い。

僕は、そんなに辛い活動を1日でも減らしたい。だから、各方面にご迷惑をおかけしながらも、1日早めてゴールします。


2つ目の理由は、ゴールすると多分泣いちゃうからです。
箱根で芦ノ湖を見ただけで目が潤んでました。サングラスかけててよかった。

この調子だと、京都に着いたときには洒落になりません。
そんな姿は人に見せたくないです。集まった人数に比例して涙の量も増えるでしょう。
それはかなり困る。

人が集まらないのは僕にとって好都合。だから、各方面にご迷惑をおかけしながらも、1日早めてゴールします。

祇園祭の宵山で、コンチキ鳴ってる傍らで、見物客に邪魔者扱いされながら孤独に自転車を片付ける俺。そういうシチュエーションなら、きっと平常心を保つことができる。


現在地、中継など

車載カメラ映像、現在地、twitterのまとめ等は、@kojii さんが作成してくれた「東海道五十三クリング: almoreの挑戦」を後お欄頂きたい。


旅程表(7/15版)

宿場 区間(km) 総距離(km) 当日移動(km) 通過時刻
日本橋 0.0 0.0 0.0 2011年7月11日 7:00
スタート
1 品川 7.8 7.8 7.8
2 川崎 9.8 17.6 17.6
3 神奈川 9.7 27.3 27.3
4 保土ヶ谷 4.9 32.2 32.2
5 戸塚 8.8 41.0 41.0
6 藤沢 7.8 48.8 48.8
7 平塚 13.7 62.5 62.5
8 大磯 2.9 65.4 65.4
9 小田原 15.6 81.0 81.0 7/11 16:00 箱根湯本・泊
10 箱根 16.5 97.5 16.5 7/12 9:00 通過
11 三島 14.7 112.2 31.2
12 沼津 5.8 118.0 37.0
13 5.9 123.9 42.9
14 吉原 11.7 135.6 54.6
15 蒲原 11.1 146.7 65.7
16 由比 3.9 150.6 69.6
17 興津 9.1 159.7 78.7
18 江尻 4.1 163.8 82.8
19 府中 10.5 174.3 93.3 7/12 17:00 静岡市・泊
20 丸子 5.6 179.9 5.6
21 岡部 7.8 187.7 13.4
22 藤枝 6.7 194.4 20.1
23 島田 8.6 203.0 28.7
24 金谷 4.0 207.0 32.7
25 日坂 6.5 213.5 39.2
26 掛川 7.1 220.6 46.3 7/13 17:00 掛川市・泊
27 袋井 9.5 230.1 9.5
28 見付 5.8 235.9 15.3
29 浜松 16.4 252.3 31.7
30 舞阪 10.8 263.1 42.5
31 新居 5.9 269.0 48.4
32 白須賀 6.5 275.5 54.9
33 二川 5.7 281.2 60.6
34 吉田 6.1 287.3 66.7
35 御油 10.2 297.5 76.9
36 赤坂 1.7 299.2 78.6
37 藤川 8.8 308.0 87.4
38 岡崎 6.6 314.6 94.0 7/14 17:00 岡崎市・泊
39 知立 14.9 329.5 14.9
40 鳴海 11.0 340.5 25.9
41 6.5 347.0 32.4
42 桑名 27.3 374.3 59.7
43 四日市 12.6 386.9 72.3
44 石薬師 10.7 397.6 83.0
45 庄野 2.7 400.3 85.7
46 亀山 7.8 408.1 93.5 7/15 16:00 亀山市・泊
47 5.9 414.0 5.9
48 坂下 6.5 420.5 12.4
49 土山 9.7 430.2 22.1 ign="center">
50 水口 10.5 440.7 32.6
51 石部 13.7 454.4 46.3
52 草津 11.7 466.1 58.0
53 大津 14.3 480.4 72.3
三条大橋 11.7 492.1 84.0 7/16 夕 ゴール(予)

コメント (2)

  1.  是非、京都三条から鴨川沿いを走り、京都木津八幡自転車道を走ってみて欲しかった。

     私も休みの時に、この自転車道を使い、嵐山まで行ったり、京都市内を散策したりしますが、ここは読んでの字のごとく自転車専用道路である事と、終始平坦な道の為、頭を空っぽにして走ることが出来ます。

    京都が全国に誇る、純粋に自転車を楽しむ事ができる良いサイクルロードです。

     こちらにいらっしゃった時に、自転車という趣味を共有できなくて残念です。

     実はそれ以上に、自転車を初めて2週間で、長期休暇を利用して東海道を走破する偉業にする事ができる木公さんが羨ましい限りです。

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