サイトアイコン alm-ore

DVD『センセイの鞄』

川上弘美の『センセイの鞄』は、老人と年増女の回りくどい恋愛話なのであるが、僕は大好きな小説だ。読んだのはいつだっけ?と、当ブログの過去記事を探してみたら、2004年の10月末だった。
つい最近のことだと思っていたのに、記録を見ると随分昔の話だ。

とてもお気に入りの小説であり、「好きな本を20冊挙げろ」と言われれば、おそらく余裕でランクインである。
しかし、時の流れとは残酷である。実は、細かい内容をすっかり忘れ去っている。
漠然と、「しっとりとしていて、いいお話だった」と印象に残っているのみである。

ところで『センセイの鞄』は、谷口ジローが漫画化していたり(『孤独のグルメ』の人ですよ)、沢田研二&富田靖子の音楽劇になっていたりするらしい。どちらも未見だが。

それらの映像化も気になるのだが、僕が数年前からどうしても見たいと思っていたのは、小泉今日子柄本明出演で WOWOWがドラマ化したというものだ。
小泉今日子のどこか冷めていて陰のある感じと、柄本明の飄々とした感じは、本作のツキコとセンセイのイメージにぴったりではないかと思っていたからだ。

そんなわけで、やっと小泉&柄本版のDVDを入手して、見ることができた。

ツキコ役の小泉今日子と先生役の柄本明の最初のシーン

ストーリーをおさらいしておく。
主人公ツキコは37歳の独身。交友関係は狭く、今の孤独な生活に特に不満もない。行きつけの居酒屋で、高校時代の国語の教師だという老人と出会い(上の写真)、以後、ほどよい距離感の飲み友達となる。そして、いくつかのとても小さな出来事が積み重なり、いつしかふたりは男女として惹かれあるようになる。しかし、それぞれのそれまでの暮らしや現在の状況を考慮すれば、なかなか踏み出すことができない。
そんな、しっとりとした恋愛話。

このDVDの脚本は、かなり原作に忠実に作られているようだ。
なんせ原作を読んだのは昔のことなので、細かいところはさっぱり覚えていなかったのだが、DVDを見終わった後に原作をパラパラしたところ、ちょっとしたシーンやセリフまでよく再現されていることがわかった。

ツキコが居眠りしてしまって、頬に畳の痕が残るところまで完全再現!KYON2の頬の畳の痕っつーのが、またイイ!

小泉今日子の頬に畳の痕

その他、「そうか、こういう話だったのか」と新鮮な気持ちで見ることしきり。
そして、やっぱり、島への旅行のところが一番の山場で、その時のセンセイの気持ちがよーわかるという感想だけは、原作を読んだ時と少しも変わってなかった。

モバイルバージョンを終了