昔読んだ漫画なのだが、タイトルも作者も覚えていない。しかし、妙に心にひっかかっている。以下に覚えていることを書くので、この漫画のことを知っている人がいたら情報をお寄せいただきたい。
その漫画を読んだのは、1990年代前半だと思う。おそらく1994-1996年頃、漫画雑誌に1話読み切りで掲載された。当時、僕が好んで読んでいたのはスピリッツとモーニングが主だったのでそのあたりの雑誌だと思う。もしかしたら、それらの増刊号かもしれない。
もしかしたら、ジャンプ、マガジン系(およびその系列誌)の可能性もあるかもしれないが、漫画のストーリーや雰囲気からして、そのセンはあまりないと信じている。
絵柄は、劇画調でもないし、デフォルメすぎもしない。適度な「漫画的絵柄」で、柔らかめの線であったと思う。たとえるなら、『僕の小規模な生活』by 福満しげゆき(画像検索)、『バーバーハーバー』by 小池田マヤみたいな感じか(僕の漫画知識は乏しいので、これくらいしか例が思いつかない)。
漫画の舞台は、古いオンボロアパート。壁も薄くて、隣の部屋の物音が筒抜けになるような建物。
主人公は漫画家の卵(もしくは、駆け出しのプロ漫画家)。特に仕事もないし、遊びに行く金もないので、1日じゅうアパートの部屋にこもっているような生活。
他の登場人物は、アパートの隣人2名。このふたりは、主人公の隣の部屋で同棲している若い男女。男の方は特に特徴はないが、女はなかなか可愛い(少なくとも主人公の好みのタイプ)。
アパートの壁が薄いので、同棲カップルの生活の物音が主人公の部屋に漏れてくる。アパートにこもっているので四六時中聞こえてくる。多少イライラしながらも、彼らがセックスする声などを聞きながら楽しんだりもしている。
一方で、このふたりは喧嘩が絶えない。セックスしている声よりも、罵り合う声の方がたくさん聞こえてくるほどである。喧嘩の声を聞きながら、主人公は、どうしてふたりが一緒に暮らしているのかわからなくなる。第三者の立場から状況を見れば、どう考えてもふたりは別れてしまった方が、互いにもっと幸せになるように思われるのだ。
それでもふたりは別れない。いつも喧嘩ばかりしている。不穏な言い争いばかりが聞こえてくる。
・・・さて、この後、この漫画のオチがある。それを書くのはネタバレなのだが、書くことにしよう。そもそも、それを書かないことには情報を集めることもできない。みんながこれから読むことを楽しみにしているというような話題作ならネタバレは顰蹙だが、そういう作品でもない。それに、ここまで書いておきながら結末はナイショっつーのも、読者のフラストレーションが高まるだろう。
作品のラスト、それまで漫画家の視点だったものが、同棲しているふたりの視点になる。
いつものように喧嘩をして、ふたりとも疲れてしまって、けだるい様子でベッドに並んで座っている。ふたりの視線の先には窓があり、そこには観葉植物が置かれている。
女「何考えてるの?」
男「葉っぱを見てる」
女「どの葉っぱ?」
男「上から3枚目」
女「ふーん。私は下から4枚目を見てた」
男「・・・。」
女「・・・。」
男「なんだ、同じじゃん」
キザなラストなんだけど、それがとってもいいな、と思ってる。できればもう一回読みたいと思う。
この漫画のことを知っている人がいたら、情報をお寄せ下さい。よろしくお願いいたします。
【追記 同日21:40】
twitter で早速情報が寄せられました。
ちょっと気になったので調べてみました。園山二美『怠惰嬉楽』ではないでしょうか。別のブログにも観葉植物のくだりが書いてあったので間違いないと思います。http://spi-net.jp/spilog/sairoku/031.html
園山二美『怠惰嬉楽』だそうです。
リンク先に書いてある内容は、僕の記憶とピタリ一致。「・・・はみだしてるわよ」のセリフもまざまざと記憶から呼び起こされた。
Thanks to @Blackstar_030.
さすが、『星を継ぐもの』&『ガニメデの優しい巨人』を読んだり、当方に『猫にかまけて』を推薦してくれたり(ブログネタになっている)する人はひと味違うよ!!
ピンバック: [alm-ore] 園山二美『続蠢動』