NHK『あまちゃん』第5回

これまで橋本愛という人については、オムニバス映画『BUNGO ~ささやかな欲望~』の中の「鮨」(原作: 岡本かの子)においてリリー・フランキーと共演しているのを一度見たきりであり、その洗練され過ぎた美少女っぷりに「俺の趣味じゃねーな。やっぱ谷村美月とか黒木華とか(いずれも同映画に出演)のような、ちょっと溶けかかったソフトクリームみたいな路線の方が好みだな」などと思ったわけだが、本ドラマに出演する彼女を見ているうちにその見方も変わってくるだろうかと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第5回目の放送を見ましたよ。

* * *

第1週「おら、この海が好きだ!」
アキ(能年玲奈)が夏(宮本信子)と共にウニ丼の車内販売をしていると、畑野駅からユイ(橋本愛)が乗り込んできた。

夏とは知り合いであり、紹介してもらった。簡単な自己紹介を行い、お互いが高校2年生だということがわかった。一言話しただけだが、ユイは他の地元民とは違って、とてもきれいな標準語を使うことがわかった。一方のユイは、アキの喋り方が訛っていると言うのだった。

車内販売を終えると、夏は昼寝のために家に帰った。アキは駅の喫茶店リアスに向かった。そこでユイの家族について話を聞いた。駅長の大向(杉本哲太)によれば、ユイの父・足立功(平泉成)は岩手県議員であり、地元の名士である。しかも、元高校教師で、春子(小泉今日子)や大向などの担任だったという。この街では彼に頭の上がらない者が多い。

ユイの兄・ヒロシ(小池徹平)は今春大学を卒業し、東京のホテルに就職した。しかし、すぐに退職して地元に帰ってきたのだという。ブラブラしていて、パチンコ屋に入り浸っていると噂になっている。最近、やっと新しいバイトを始めた。漁港の監視員の仕事で、小屋に篭って密漁などの見張りをしている。しかし、やる気がなくてサボりがちであった。

話題は海女の後継者問題に移った。春子に海女をさせることについては、大向が説得係だった。大向の説得はすでに失敗していたが、そのことを言うタイミングを失ってしまった。というのも、大向は昨日春子への恋心を告白した。色よい返事はもらえなかったが、自分の気持ちを伝えたることには成功したと思っていた。弥生(渡辺えり)から「(海女の説得は)うまくいっているのかい?」と聞かれたものを「(愛の告白は)うまくいっているのかい?」と受け取ってしまったのだ。それで首尾は上々だと答えてしまった。すぐに自分の勘違いに気づいたが、周囲が喜んだので訂正するわけには行かなくなってしまったのだ。

みんなが春子の海女就任を期待するほど、北三陸の状況は悪かった。現在、海女は5人しかおらず、一番若い42歳の安部(片桐はいり)は地味で見た目が良くないので人気がない。しかも、漁協の事務員と二足のわらじであり負担もかけられない。次に若いの美寿々(美保純)は50歳だ。彼女は比較的見た目がかわいらしく、若い頃は東京から大勢の追っかけが来たものだった。しかし、今や見る影もない。結果として、観光客もほとんどおらず、尻すぼみになるばかりなのだ。そこで美人の春子を海女にすれば、それを目当てに観光客が増えるだろうというのだ。

大人たちの話を聞いて、アキは過疎の街の実態を改めて思い知らされた。春子にすら頼らなければ立ち行かない街の現状に驚いた。北三陸にはきれいな海、美味しい海産物、かわいい鉄道がある。しかし、それだけでは人は生きていけず、必死になってもがき苦しまなければならないのだと知った。

それでもアキは北三陸が心の底から好きになっていた。そして、ここは自分に合っていると思った。ここにいる自分のことが好きになっていた。

その頃、春子が実家に帰ってきた。夏に対して、アキのことを相談した。今日こそ、アキが東京に帰るか、ここに残るか決めさせるというのだ。春子によれば、アキは変わったという。東京にいる時は感情を表に出さず、家族や友達にも心を開かなかった。それが、北三陸に来てからは「うめー!」「かっけー!」「じぇじぇじぇ!」などと感情を素直に表現するようになった。アキは夏にも懐いているし、せめて夏休みが終わるまでは滞在させてやりたいと言うのだった。

夏はアキの受け入れを承諾した。アキが自分から変わろうとしていることは、夏にも分かっていた。そんな彼女を受け入れてやるというのだ。

その一方で、夏は春子自身へ水を向けた。春子に、東京と故郷のどちらが好きかと訪ねた。春子は東京に決まっていると即答した。しかし、夏はそれを信じようとはしなかった。今変わるべきなのは、アキではなく春子ではないかと指摘するのだった。

アキは家へ直行せず、漁港へ向かった。堤防の先端に立つと、春子から「地味で暗くて向上心も協調性も個性も華もないパッとしない娘」と言われたことが思い出された。アキはそれを打ち消したかった。自分が変わるには今しかないと思った。恐怖心に打ち克ち、アキは思いっきり海へ飛び込んだ。

監視小屋のヒロシは一部始終を見ていた。監視員に就任して初めての事件であり、ヒロシは慌てふためいてしまった。状況をよく確認する前に非常ボタンを押した。すると辺り一帯に非常サイレンが鳴り響き、大騒ぎになった。

* * *


なんだよ。これから橋本愛のことを好きになっていこうと決意を固めたのに、今日は1シーンだけで終わりかよ。なんだよ、もう。

ところで、僕の理解だと劇中の日付は7月2日だと思うのだけれど(7月1日海開きの翌日)、ユイはその日が終業式だと言っていた。早すぎないか?うーむ。知らん間に何日も日が経っているんだろうか。なぞだ。

最後の海へ飛び込むシーン、なんだかわからないけれど中年の当方は軽く涙腺がやばかったです。「地味で暗くて・・・」という忌まわしい言葉が、初めはアキのモノローグで流れるのだけれど、途中から春子(小泉今日子)の声で繰り返される。切なかったです。

誰かの言葉が頭の中で繰り返し響くというのは、それがネガティブな言葉だとかなりキツイよね。いろいろ思い出すことがあって、つらかったです。

なお、頭の中で誰かの声が鳴り響くという話は、昨夜書いたのだが、同じネタが翌朝の『あまちゃん』に出てくるとは予想もしておらず、驚きました。じぇじぇ。(‘ jj ’)/

『あまちゃん』 つづく

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