NHK『あまちゃん』第101回

ドラマ『101回めのプロポーズ』はほとんど見たことがないのだけれど、武田鉄矢の演じる男がトラックの前に飛び出して「僕は死にましぇーん」と叫ぶ有名なシーンだけは知っているわけだが、それは自分が死ぬかどうかオマエが決められるわけじゃなくて、トラック運転手の反射神経のおかげで死なないで済んでるだけじゃないかと悪態をつきたいわけで、俺みたいに反射神経の鈍い運転手の前に飛び出してきたら余裕で轢き殺されるぞと思うわけであり、そういう無茶すんなよっつーか、とばっちりで人殺しになってしまった運転手が気の毒だからそういうことは絶対やめろよと言いたいわけで、昨日に引き続きみなさん交通安全を励行しましょうと訴えたい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第101回めの放送を見ましたよ。

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第17週「おら、悲しみがとまらねぇ」

有馬めぐ(足立梨花)のスキャンダルにより、荒巻(古田新太)はGMTのデビューを中止とした。納得のいかないアキ(能年玲奈)は、みんなの前で荒巻に詰め寄った。アキは、自分が春子(小泉今日子)の娘だからデビューできないのかと食って掛かった。荒巻はそれを肯定した。春子のことをよく知らないGMTメンバーに動揺が走った。

荒巻は、アキと水口(松田龍平)だけをガラス張りの社長室に招き入れた。声は聞こえないが、室内の異様な雰囲気が見て取れ、GMTメンバーたちはますます不穏な雰囲気に包まれた。

荒巻は、アキと水口に全てを包み隠さず話した。春子(有村架純)が鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の影武者だったことを打ち明けた。このことは鈴鹿ひろ美本人にも知らせておらず、絶対に口外してはならない秘密なのだ。荒巻は、自分の成功は表舞台の鈴鹿ひろ美と、縁の下の春子に負っていることを認めた。特に、春子の貢献は全体の半分に達するほどだと評価した。

一方で荒巻は、春子の存在が明るみになれば、鈴鹿ひろ美の栄光はもちろん、荒巻自身も破滅すると認めた。だから、絶対にその事実を公表する気はない。秘密の漏洩にも細心の注意を払っている。ゆえに荒巻は、アキが春子の娘だと知った時、復讐のための刺客だと思ったのだ。だからアキを手元に置いておきたくなくなったのだ。

アキは反論した。アイドルになりたいというのはあくまで自らの意思であり、春子の思惑とは一切関係ないと訴えた。しかし、荒巻は少しも聞く耳を持たなかった。純粋にアイドルになりたいだけなら、荒巻の事務所以外にも道があると冷たく突き放した。アキがどんなに努力しても認めないし、何度這い上がってきても突き落とす覚悟だという。そうしてアキはクビ同然の状態となった。

その夜、GMT合宿所ではアキを除いたメンバーで話し合いが持たれた。メンバーは水口に説明を求めたが、水口は一切口を割らなかった。水口は、アキ以外のメンバーで活動を続けるしかないと言うのみだった。その場では結論は出なかったが、メンバーの考えとしてはアキなしのGMTは考えられないというものだった。

荒巻から最後通牒を受けたアキだが、アイドルになりたいという思いは消えていなかった。母のような暖かい歌の歌える歌手になりたいという夢は変わっていなかったし、鈴鹿ひろ美や純喫茶・アイドルのマスター甲斐(松尾スズキ)が異口同音に春子から夢を託されていると言われたことも心に引っかかっていた。

その夜、アキは夢を見た。若い頃の春子と対面して話をする夢だった。若い春子はまさにアイドルというほど可愛らしかった。自分の容姿と比較すると、本当に自分がこの人の娘なのかと疑問に思うほどだった。容姿だけでなく、立ち居振る舞いや話し方まで魅力的だった。春子は、荒巻の悪口を言いながら、アキの境遇に同情してくれた。そして、アキを慰めるために『潮騒のメモリー』を歌ってくれるという。

その瞬間、鈴鹿ひろ美が現れた。鈴鹿ひろ美は、自分の歌を他人には絶対歌わせないと言って春子を妨害した。鈴鹿は必死になって春子を追いかけるが、春子は軽快にそれをかわし笑いながら逃げまわった。ふたりが走り回る姿にアキは混乱した。もうやめてくれと声を荒げるのだった。

そこで、ベッド脇の携帯電話が鳴った。アキが目を覚まして電話にでると、春子からの電話だった。最近アキと話をしていないことを心配した春子が、おしゃべりのためにかけてきたものだった。

アキは怖い夢を見ていたと言って泣きだした。そして、荒巻にひどく嫌われ、クビになったと打ち明けた。もう北三陸に帰りたいと話した。

それを聞いた春子は、帰ってくることは許さないと言うのだった。

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アキ(能年玲奈)が荒巻(古田新太)から最後通牒を受けるという深刻な内容だったのに、随所にギャグが仕込まれていて、気持ちの持っていきようが難しい放送でした。
全体が暗い、もしくは全体が明るいというはっきりした内容なら感情の落ち着け先も単純に決まるのですが、両方が混じっているのでどうも心がざわざわします。ざわざわする分、とても印象的な回となりました。すごくうまい作りです。

細かいギャグをいちいち説明するのは野暮ったいので割愛します。これはもう放送を見てもらうしかないです。見どころは、前半の社長室シーン、後半の悪夢のシーン。

『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)
『あまちゃん』 つづく

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