天野春子(小泉今日子)の「潮騒のメモリー」が7月31日に発売されると知って大変嬉しく思うし購入するつもりである一方、「ここまで来たら、アーティスト名は『鈴鹿ひろ美(声・小泉今日子)』の方がドラマの展開に即しているのにー」と思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第96回めの放送を見ましたよ。
鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の付き人に再就任したアキ(能年玲奈)は、彼女のデビュー曲について訪ねてみた。しかし、鈴鹿ひろ美は当時は忙しすぎて、無我夢中で覚えていないと答えた。歌については、レコードも歌番組も自分で歌ったものだと答えた。自分は口パクが下手くそなので、そんなことをしたらすぐにバレてしまっただろうと言うのだ。
しかし、1986年当時、テレビで歌う鈴鹿ひろ美の動きに合わせて、春子(有村架純)が歌声を全てあてていた。
「潮騒のメモリー」はランキング番組『夜のベストヒットテン』で4週連続首位を獲得し、鈴鹿ひろ美はスタジオで歌いたいと言いはった。困った荒巻(古田新太)は、鈴鹿本人にもわからないように陰で春子に歌わせたのだ。春子は鈴鹿よりも早くスタジオ入りし、モニタとマイクの設置された別室に潜む。映像を見ながら歌い、鈴鹿が帰った後にやっと部屋から出るのだ。鈴鹿にも世間にもバレることなく、そういうことを何度か行った。1回毎に春子は3万円を受け取った。それは破格だったが、もちろん口止め料も含まれていたのだ。
その後、鈴鹿ひろ美名義で2曲が発表され、いずれも春子が吹き替えを行った。しかし、鈴鹿ひろ美の歌の売れ行きは徐々に下がっていった。事務所は打開策として、アルバム作成を計画した。荒巻は春子にもう一度吹き替えをするように頼んだ。
しかし、春子は我慢の限界に達した。与えられる仕事は鈴鹿ひろ美の影武者ばかりで、自分が表舞台にデビューできる見込みが一切ないからだ。春子は騒ぎ出し、公衆の面前で自分が鈴鹿の影武者であることをバラそうとした。荒巻は慌てて春子をとりなした。荒巻は、春子が鈴鹿の影武者だと公表すると、事務所が春子を潰しにかかると忠告した。荒巻は、そうならないようにチャンスを伺い、必ず春子をデビューさせると言うのだった。春子は荒巻に騙されていると思いながらも、他に頼る相手もおらず、従うしかなかった。
そうしている間にも時間は無情に流れ、1989年となった。荒巻は手腕を買われ、チーフマネージャーに昇格していた。後でわかったことだが、その頃の荒巻は春子の売り込みを懸命に行なっていた。しかし、春子はデビューできないでいた。
ついに春子は故郷に帰ることを決めた。最後に荒巻と会って話し合ったが、荒巻は相変わらずのらりくらりと春子を引き止めるばかりだった。その態度に激昂した春子は店を飛び出し、それ以来荒巻とは一度も会っていない。
荷物をまとめた春子は、北三陸に帰るため上野駅へ向かった。その途中で乗ったタクシーの運転手が正宗(森岡龍)であった。
映画『雨に唄えば』も女優が音痴だという話ですよね。無声映画からトーキーへの過渡期が時代背景で、無声映画時代には美人で人気だったのだけれど、実は声がへんちくりんな女優で困ってしまうというストーリーだったかと。それで、やはり声優があてられて・・・って話でしたね。
『雨に唄えば』は最後に声優にスポットライトがあてられてハッピーエンドという話でしたが、春子(有村架純)は夢が破れてしまったわけです。気の毒に。
でも、今月出るCDは「天野春子」名義でよかったね、と思うわけです。架空の人物に「よかったね」も何もないとは思いつつも。
『あまちゃん』ヒストリー(時系列表)