ディーン・フジオカのオフィシャルサイトを開くと派手に音が鳴るので気をつけろと注意を促す当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第3回めの放送を見ましたよ。
あさ(鈴木梨央)と姉・はつ(守殿愛生)は、父・忠興(升毅)に連れられて大坂へ向かった。ふたりには生まれた時から大坂の両替商へ嫁ぐことが決まっており、それぞれの嫁ぎ先へ挨拶をするためだ。ふたりにとっては初めての大坂への旅だった。
大坂の中之島に到着すると、働く町人たちで大賑わいであった。
上品でおしとやかな姉・はつは、その混雑に圧倒され目を回した。
一方のあさは、むしろその活気に心が湧きたった。見るもの全てが物珍しく、静止を振り切って勝手に走りだし、町の見物を始めた。
往来で、あさは見知らぬ武士(ディーン・フジオカ)と衝突し、その勢いで双方ともに転んでしまった。武士は何かに追われているような素振りで、謝りもせずに走り去ってしまった。あさは失礼なことだと思いつつも、再度町の賑わいに目を奪われ、すぐに気にならなくなった。
しばらくすると、武士が戻ってきた。「その娘を捕まえろ」と叫びながら、あさを追いかけてくる。あさはわけがわからなかったが、本能的に逃げ出した。おてんば娘のあさは逃げ足も早かった。混雑する町中を軽快に走り抜け、必死に追いかける武士を翻弄した。
しかし、不慣れな土地で道に迷ってしまい、とうとう行き止まりで逃げ道を失った。
武士は、あさの袖に手を入れ、そこに収まっていたピストルを取り上げた。さっきぶつかった時にあさの袖に紛れ込んでしまっていたのだ。
ピストルを初めて見るあさは、それが何かわからなかった。持ち前の好奇心で武士に質問した。
しかし、武士は「おなごと話している暇は無い」と答えるのみで、そそくさと立ち去ろうとした。
その無礼な態度にあさは腹を立てた。
人にぶつかって謝りもせず、その後に追いかけてきて、体をまさぐった挙句に、物を奪って無言で立ち去る。そんなことは日本男子のすることではないと叱りつけた。
あさの物怖じしない態度に、武士も感心した。自身の非礼を謝し、急いでいることをかいつまんで説明し、「グッバイ」と告げて立ち去った。
あさはそれ以上関わろうとはしなかったが、その武士の言葉が奇妙だったことを思い出していた。京では聞いたことのない方言を物珍しく思った。
そんな騒動がありながら、あさの嫁ぎ先の白岡家に到着した。
白岡家の人々は、あさとはつを見比べて、どちらが嫁いでくるのかと緊張した。どう見ても、おてんばのあさよりも、おしとやかなはつの方が望ましいからだ。
両家の顔合わせが始まった。
あさは決められた挨拶口上も満足に言えなかった。それで白岡家の人々はすっかり白けてしまった。
一方、白岡家にも問題があった。
あさの夫となるはずの新次郎(玉木宏)がその場にいないのである。
実は新次郎は次男であり、結婚後は分家として独立することになっている。それで家族も多少甘いところがあるし、本人も気楽に振舞っているのだ。
しばらく話をしていると、やっと新次郎が帰ってきた。
遅刻したことを悪びれるわけでもなく、裏で拾ったという猫を抱いてきて、真っ先に餌の算段を指示している。
あさたちが来ていることにやっと気づくと、ズカズカとあさの目の前にやって来た。笑顔でいきなり手を握り、馴れ馴れしく「あさちゃん」などと声をかけた。
あさはその無礼な振る舞いに虫唾が走った。
それだけをすると、新次郎は用事があると言って、また出て行ってしまった。
散々な顔合わせであった。
あさ(鈴木梨央)が町中でぶつかった武士(ディーン・フジオカ)は、後の五代友厚だそうです。五代がどういう人か知らなかったので、wikipediaで調べてみました。
五代 友厚(ごだい ともあつ)は、江戸時代末期から明治時代中期にかけての日本の武士(薩摩藩士)、実業家。薩摩国鹿児島城下長田町城ヶ谷(現鹿児島市長田町)生まれ。大阪経済界の重鎮の一人。当時、「まさに瓦解に及ばんとする萌し」(五代)のあった大阪経済を立て直すために、商工業の組織化、信用秩序の再構築を図る。
今日の劇中では、薩摩弁と英語を取り混ぜた、へんな言葉をしゃべる人物とされていました。あさにとっては初めて聞く方言で一部意味がわからないのですが、物珍しい言葉遣いになんとなく興味を持つという流れでした。
あさは、ぶつかっておいて謝らないとは失礼だ、と彼を詰りますが、よく聞いていれば五代はぶつかった瞬間に謝ってるんですよね。「Sorry」って言ってた。あさはその言葉を知らなかったっつーことですよね。
細かいところをニヤリとさせてくれる脚本で面白いです。