NHK『あさが来た』第12回

Wikipedia によれば「日本には明治20年頃に渡来したと言われる」とのことであり、ドラマは幕末が舞台なのでこの花はなかったはずなのだけれど、秋の嫁入りといえばどうしても秋桜(コスモス)を思い出してしまう当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第12回めの放送を見ましたよ。

* * *

第2週『ふたつの花びら』

新次郎(玉木宏)の兄(木内義一)の死去により、あさ(波瑠)との結婚が延期となった。その謝罪に来た新次郎とあさはふたりきりで話をする機会を設けた。

あさは、新次郎が大変な時期に不躾な手紙を送りつけたことを詫た。
すると、それまで憔悴しきっていた新次郎が初めて笑った。新次郎は、あさの威勢のよい字を見て、果たし状だと思ったと冗談を言った。あのような字を書く女には今まで会ったことがないと言って笑うのだ。
あさはしょげてしまったが、新次郎はすぐに冗談を打ち消した。本心では、あさからの手紙が何より嬉しかったと告げた。

新次郎は、あさからの依頼の通り、はつ(宮﨑あおい)の許嫁・惣兵衛(柄本佑)についての情報を知らせてくれた。
現在の惣兵衛は、確かに変わり者で難儀な人物である。しかし、幼いころの彼は面白くて、いいやつだったという。今は、その時の彼が戻ってくると信じるしか無い。はつのことを励ましてやることが一番だと告げた。

新次郎によれば、本当はすぐに返事を書きたかったのだという。しかし、兄が危篤になったせいでそれもままならなかったのだ。兄は自分よりも優れていたと話した。頭の出来も顔の良さも、優しさも自分は敵わないと言う。兄の代わりに自分が死ねばよかったとすら愚痴をこぼした。

それを聞いたあさは、新次郎には誰にも負けない素晴らしい点があると答えた。
新次郎の優しさだけは、彼の兄にも引けをとらないだろうと言うのだ。だから、自分が死ねばよかったなどと言わずに、兄の分までしっかり生きて欲しいと応援した。
それを聞いた新次郎は感謝し、微笑みながら大坂へ帰って行った。

3月の末、はつが大坂へ嫁いでいった。
名残惜しいあさは、はつを乗せた船をどこまでも走って追いかけた。船が遠ざかって追いつかなくなると、その場に崩れ落ち、泣きながら姉の名前を叫び続けた。

はつは、何も答えず、毅然と船に乗っていた。
ただし、彼女も不安だったわけではない。母・梨江(寺島しのぶ)から贈られた手作りのお守り袋を握りしめ、耐えていたのだった。

それから半年後。ついにあさの嫁入りの日となった。
あさの白無垢姿は、普段の姿からは想像できないほど美しいものだった。

母・梨江は、自分で作ったお守りをあさに渡した。同じものをはつも持っているという。
母が餞の言葉を送った。あさの持ち前の根性で頑張れというのだ。そして、いつか女に生まれてよかったと、自分の運命を受け入れられる日が来る。それまで、柔らかい心を持つことを心がけて、良い嫁になれと告げた。
あさは「かしこまりました」と柔和に答えた。

父・忠興(升毅)は、あさの美しい姿に感激して何も言えなくなっていた。二度と帰ってくるなと憎まれ口を絞り出すのに精一杯だった。
昔なら口答えするあさだったが、ここでも彼女は落ち着いていた。言いつけ通り、嫁ぎ先の家をしっかり守ると約束するのだった。

あさが大坂の白岡家に到着した。白岡家の面々は、家族・使用人が総出であさを出迎えた。おてんば娘で評判だったあさが立派な花嫁になっていて、一同は息を呑んだ。

ただし、大坂で大きな問題が起きていた。
その場に新次郎がいないのである。彼は三味線の師匠・美和(野々すみ花)と連れ立って、紅葉狩りに出かけてしまったという。

あさは呆れ果てた。

* * *


今日のラストと来週の予告を見る限り、新次郎(玉木宏)と三味線の師匠・美和(野々すみ花)が怪しい男女の仲っぽくて。
あさ(波瑠)との間に一悶着ありそうな気配が漂ってきました。

結婚直後は、はつ(宮﨑あおい)の嫁トラブルで話を引っ張るのかと予想してたのですが、まさかのあさの苦難に突入していくとは。
予想の斜め上を行く展開、楽しいです。いいドラマだ。

念のため、マクラの補足をしておくと、はつの嫁入りは3月(春)で、あさはそれより半年遅れたので9-10月あたり(秋)です。秋桜の季節です。はい、当時コスモスは日本になかったらしいのだけれど。
自分は男なので、『秋桜』の歌の登場人物のどちらの立場も経験しないわけだけど。それでもぐっとくるよね。さすがはさだまさし(作詞作曲)。

『秋桜』で歌われているシチュエーションとドラマの状況は完全に合致するわけじゃないけれど、いいじゃねーか、引用しても。
秋は物悲しくなるんだよ。

話を戻すと、優しいはずの進次郎に浮気疑惑が持ち上がるってのがこの後の展開らしいけど。
おそらく「優しさ」ってのは、八方美人的に誰にでも優しいってのと、不器用に誰か一人だけに優しいってのがあるよね。
新次郎は前者のタイプで、たぶん、惣兵衛(柄本佑)は後者のタイプってことで今後描かれていくんじゃないかな。良い夫になりそうと思われた新次郎があちこちの女とややこしくなって、悪い夫だと思われた惣兵衛がはつにゾッコンになってくという対比が提示されていくんじゃないかと予想するものなり。

はつの花嫁姿を見つめる惣兵衛が、どこか優しい表情に見えなくもなかった。

(以下、割愛)

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