イノセントな女子相手に遠慮も躊躇もなく下品な言葉を投げつけること(下図)が非モテの原因だと少しずつ理解し始めてきたので、そろそろ心を入れ替えたいと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第24回めの放送を見ましたよ。
はつ(宮﨑あおい)と惣兵衛(柄本佑)は、はつの実家・今井家を訪れた。菊(萬田久子)に命じられて、家の窮状を救うべく金の無心をするよう命じられたからだ。
惣兵衛は、妻の実家に借金を申し込むという屈辱的な使命を与えられたことに落ち込んでいた。それを察したはつは、自分一人で行くことを申し出た。しかし、惣兵衛は自分が責任をもって全うすると言って、はつの提案を退けた。
惣兵衛は、これ以上ないほどへりくだって、はつの実父・忠興(升毅)に借金を申し込んだ。山王寺屋が今にも潰れそうなことを正直に話し、助けて欲しいと願い出た。
忠興は、惣兵衛に金を返す目処は立っているか尋ねた。しかし、明日の見通しもないほど困窮している惣兵衛には何も答えることができなかった。
その様子を見て、忠興ははっきりと断った。商売には先を見る計画性と、それを貫く強い意志が必要である。今の惣兵衛にはそのどちらも無いので、金を貸すことができないというのが忠興の答だった。
惣兵衛はそれ以上何も言わなかった。
代わりに答えたのははつだった。はつは断ってくれて良かったと言う。喉から手が出るほど金が欲しいことに間違いはないが、断ってくれたことがなぜか嬉しいという。嫁の実家から金を借りるなど恥ずかしいことである。それが今の自分たちのせめてもの誇りだというのだ。
そうして、はつと惣兵衛は手ぶらで大坂へ帰った。
同じ頃、あさ(波瑠)は番頭の亀助(三宅弘城)だけを伴って、奈良の豪商・玉利家を訪ねていた。加野屋は以前、玉利に金を用立ててやった事があり、その恩に報いてくれると期待したからだ。
新次郎(玉木宏)は、商売の事がわからないことに加えて、山道は苦手だと言って来なかったのだ。
玉利家で、あさは門前払いをされた。主人は留守だというのだ。
あさは大坂から遠路はるばるやって来たので出直すのは難しい、家で待たせて欲しいと食い下がった。
すると、あさは馬小屋に通された。そこはたいへん粗末な小屋で、まったく掃除もされていなかった。加えて、今夜の宴会のために呼ばれたという旅芸人たちと一緒に押し込められた。それは、宇奈山藩で男達の居室に寝泊まりした時よりもひどい環境だった。
それでもあさはめげなかった。
馬小屋の掃除をして快適な寝床を作り、旅芸人たちにも親切にした。そうやって、玉利家の主人に会える機会を待つことにした。
翌朝、玉利家の主人(笑福亭鶴瓶)は使用人たちから報告を受けていた。あさのおかげで馬小屋が綺麗になったというのだ。また、旅芸人たちもあさに感謝していると口々に言っているという。
実は、世の中の景気が悪くなって、玉利に借金を申し込む輩も多い。辟易した玉利は金を借りに来た相手に嫌がらせをしていたのだ。
しかし、あさが他の連中とは違う行為をしたので興味を持ち、会ってみることにした。
あさと対面した玉利は、旅芸人の猿にまで親切にした人間は初めてだと言って快活に笑い、あさの人間性を気に入ったと話した。
しかし、商売と人情は別物だと言って真顔になった。瀕死の両替商がどうやって金を返すつもりかと問い詰めた。
あさは、これからの新しい時代には、それに応じた新しい商売が出てくる。加野屋はそういった新しい商売を始める予定であり、必ず返済できると豪語した。
玉利はどのような商売をするつもりか聞こうとしたが、あさは答えなかった。本当は単なるでまかせで、具体的な計画はなかったから答えようがなかったのだ。しかし、あさはそんなことはおくびにも出さず、玉利の目をじっと見据え、商売敵に手の内を明かすわけにはいかないと言い放って不敵に笑った。
玉利はあさの度胸にすっかり惚れ込んだ。あさは日本一の女商人になると評し、金を貸すことを決めた。
ただし、今回の恩は一生忘れるなと釘を差した。ところが、あさも負けてはいなかった。(1)以前に加野屋が金を貸した恩に玉利が素直に応じなかったこと、(2)自分を汚い馬小屋に泊めたこと、(3)今回の借金のことの以上3点を一生忘れないと言い返した。
その物言いに、玉利は大笑いした。気分の良くなった玉利は、無利息で金を貸してくれた。
あさが大坂に帰ってくると、ちょうどはつも京都の実家から帰ってきたところだった。両者は往来で偶然出会った。はつと惣兵衛が一緒に歩いている姿を見かけ、あさはふたりの仲が良さそうなことに嬉しくなった。
あさは、はつに何処へでかけていたのか無邪気に聞いたが、はつははぐらかして答えなかった。その代わり、どんなことがあっても嫁ぎ先の家を守ることが自分たちの使命であり、互いに頑張ろうと誓い合った。そして、はつは足早に立ち去った。
あさは何か様子がおかしいことに気づいたが、それ以上詮索はしなかった。
あさたちと分かれた直後、惣兵衛ははつに話しかけた。
本来なら、はつは新次郎と結婚するはずであり、そうなっていれば今のような苦労をかけることもなかった。あさは、惣兵衛や山王寺屋のことを恨んでいることだろうと言うのだ。
はつは、自分が新次郎と結婚するはずだったなど、初めて聞く話だった。
玉利(笑福亭鶴瓶)はあさ(波瑠)の口車に乗って、金を貸すことに応じた。
さて彼は、あさがでまかせを言っていることに気付いていたのか?
玉利は、あさの目が全く泳がなかったと指摘している。それは「自分はあさが嘘を付いていることを見抜いている。通常、嘘を付けば目が泳ぐはずである。しかし、そうならなかった あさの度胸を買った」ということなのだと、僕は解釈した。
玉利は、単純に騙されたのではなくて、あさの度胸と将来性を買ったのでしょうね。あさが日本一の女商人になるだろう、と言葉をかけているし。「加野屋さんのやることやったら安心や」などと店の将来性に賭けたのではなく、あさ個人の将来性に賭けたわけだ。
玉利、カッコイイな。鶴瓶はいい役を貰ったなぁ。
酔っ払ってテレビで下半身を露出するだけの男じゃないな。
あやかりたいです。