漫画家の中崎タツヤが今年8月の還暦を期に断筆し、26年続いた『じみへん』の連載も終了していたということを今頃知り、諸行無常だなぁと感じ入ってしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第42回めの放送を見ましたよ。
あさ(波瑠)は鉱夫たちに相撲勝負を挑んだ。自分がか弱い女ではなく、男と対等だと証明するというのだ。自分が勝てば、加野屋のために働けと迫った。
いきり立った鉱夫たちは我こそはと取組み相手として名乗りでた。しかし、あさは彼らを尻目に、鉱夫の親分・治郎作(山崎銀之丞)に勝負しろと迫った。
けれども、治郎作は断った。山の男が女と勝負することはプライドが許さないというのだ。他の鉱夫たちにも勝負をさせなかった。
代わりに、治郎作は炭鉱支配人の宮部(梶原善)を自分たちの代表に指名した。彼は自分たちのまとめ役ではあるが、鉱夫ではないので男のプライドとも関係ないからだ。
宮部は渋々ながらも請け負った。
あさと宮部の取り組みは一進一退だった。
あさを敵視していた鉱夫たちも、あさの健闘を見るうちに情が移ってきた。ついには、親分・治郎作までもがあさを応援した。
そしてついに、あさは宮部を投げ飛ばし、勝利した。
鉱夫たちはすっかりあさに魅了された。
これまでの10日あまりのサボタージュを心から謝罪し、今後は加野屋のために一生懸命働くと約束した。あさから拳銃で脅された時は渋々応じただけだったが、今は心の底からあさを信頼しているというのだ。鉱夫たちは早速炭鉱へ向かった。
あさは結果に満足した。
あさの様子を見に来ていた新次郎(玉木宏)だが、炭鉱事業が無事に動き出したことを見届けたので、大阪に帰ることにした。あさも一緒に帰るよう促したが、あさはもうしばらく残って炭鉱のことを勉強したいという。
あさは、新次郎の見守りのおかげで商売に精が出ると感謝した。ところが、新次郎は商売に対してあまりいい顔をしなかった。
新次郎は、金があまり好きではないと打ち明けた。それには、幼なじみとの苦い思い出があるからだという。
新次郎が10歳くらいの頃、加野屋には真面目で優秀な番頭がいた。彼は正吉(近藤正臣)からの信頼も篤く、早くに独立して加野屋の近所で両替商を始めた。しかし、なかなか軌道に乗らず、魔が差した彼は博打に手を出して大失敗したという。通常なら加野屋から援助するところであるが、博打で失敗したとなると外聞もあるので見捨ててしまった。そのまま、元番頭は失踪し、新次郎の幼なじみと母親だけが残された。母子は借金取りに追われ、近所からも白い目で見られ、いつしか姿を消した。
それからというもの、新次郎は金が恐ろしくなったという。どんなにいい人でも、金がなくなった途端に人が変わってしまうからだ。金を集めることが何よりも優先されることも気に入らない。自分の家が金の亡者のような両替商をしていることも皮肉だと言うのだ。
ただし、新次郎はあさが金儲けをしようとしていることは批判しなかった。
あさが奮闘してくれているおかげで加野屋は潰れず、自分も生きていられる。だから、あさを励ましに来たのだと告げた。
新次郎は予定通り帰って行った。
そして、あさの炭鉱事業が本格的に始まった。
続きを読む