明治の文化人が福沢諭吉から受けたであろうショックと同じくらいのショックをグレゴリー・マンキューから受けた当方であり、彼の教科書の冒頭に出てくる「10大原理」(以前僕がまとめたメモ)を常に思い出す当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第74回めの放送を見ましたよ。
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第13週『東京物語』
今は娘・千代の成長を見守りたいという本心を打ち明けたあさ(波瑠)は、に対して、姑・よの(風吹ジュン)は欲張りだと罵った。
よのが言うには、何かを得るためには別の何かを諦めなくてはならない。
あさは、外で男と同じように仕事をするという道を得た。その代償として、普通の女のように一人前の母親になることは諦めなくてはならないと言うのだ。その両方を得ることはできないし、そう望むのは欲張りだというのだ。
たとえ、不束かな嫁だと後ろ指をさされても、自分で選んだ信じる道を進めと告げた。娘はその背中を見て育つ。あさは、あさなりの母親になればいいというのだ。
ついに、よのは、あさの東京行きを認めた。
あさはよのの言葉に、自分の中途半端な気持ちを反省し、東京視察に行くことを決意した。
よのは、それが亡き夫・正吉(近藤正臣)の遺志であり、自分がそれを受け継ごうと思っていたのだ。正吉は、あさを自分の息子同然だと思っており、加野屋を彼女に委ねることを決めていた。だから、あさが仕事の上で望むことは応援してやることにしたのだ。
榮三郎(桐山照史)もあさの東京行きを後押しした。
あさは九州の炭坑のことが気になっていたが、榮三郎が自ら炭坑に行き監督すると言うのだ。それというのも、炭鉱はすでに加野屋の重要な事業になっているのに、当主である榮三郎は何もわからない。だから、勉強を兼ねて行ってきたいと言うのだ。
自分が様子を見ておくので、あさはゆっくりと東京を視察してくるようにと応援した。
新次郎(玉木宏)は、娘・千代の世話を引き継いだ。あさも、新次郎に事細かに子育ての極意を教えて旅立つことにした。
東京へ出発する日、別れを察した千代が泣きながら追いかけてきた。
あさは後ろ髪を引かれ、泣きながら千代を抱きしめた。
しかし、離別の悲しみを押しとどめ、あさは決意を持って東京へ旅だった。
あさの東京行きには女中のうめ(友近)が同行することになった。ふたりは大阪から横浜まで船に乗り、横浜から東京の新橋まで汽車で移動した。
ふたりが汽車に乗るのは初めてのことである。うめは、ずっと座りっぱなしでお尻が痛くなったと辟易した。
一方のあさは、念願の汽車に乗ることができて上機嫌だった。石炭を燃やし、もくもくと煙を出して大きな機関車が動くことに感動していた。自分が手がけている石炭の力を目の当たりにして嬉しかった。
五代(ディーン・フジオカ)とは、彼の東京事務所で落ち会う約束になっていた。五代の事務所は築地にあると聞いていたのだが、東京が初めてのあさには新橋から築地へ行く道がわからず迷ってしまった。
困っていると、向こうから足並みを揃えて小走りでやってくる一団があった。あさはその中の年長者(武田鉄矢)に道を訪ねた。その男は親切に道を教えてくれた上、女の足で行くには遠いので馬車に乗って行くのが良いと助言してくれた。
しかし、あさは歩くのには慣れていると答えた。普段から九州の山を歩いているので健脚だと威張った。
男は、あさに興味を抱いた。大阪の言葉をしゃべる女が九州の山を歩き、今は東京にいるのだ。
あさは、九州で石炭の採掘をしていることを説明した。今回の東京旅行は、「文明」を勉強するために来たのだと話したた。特に、「文明」の話をするときは、学の少ない者に向かって、自分が物知りだと威張るかのような口ぶりだった。
あさが立ち去った後、男は感心するとともに、憮然とした。
名乗らなかったのであさが気づかなかったのは当然だが、彼こそが文明の専門家で、日本に近代思想をもたらした福沢諭吉だったのだ。
その後、あさは何時間か歩き、ようやく五代の事務所についた。
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