NHK『おかえりモネ』第75回

朝倉かすみが自分の好きな作家に声をかけて編んだ『スカートのアンソロジー』はまだまえがきを読んだ程度だけれど、そこに「好きな人とはなるべく関わりを持ちたくない。物陰からそっと覗き見する程度が心地良い。相手に知られると、嫌われてしまうかもしれないと懸念するからだ」みたいなことが書かれていて、わかる、わかるよ、俺も最愛の山瀬まみ数十センチメートルの距離まで近づいたけれど声をかけられなかったもんと深くうなずいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第75回めの放送を見ましたよ。

* * *
第15週『百音と未知』

深夜、実家の亜哉子(鈴木京香)から百音(清原果耶)に電話があった。亮(永瀬廉)が行方不明になったという。百音はスマホをスピーカーホンにして、未知(蒔田彩珠)とふたりで話を聞いた。

亜哉子(鈴木京香)によれば、彼の父・新次(浅野忠信)のことが関係しているかもしれないという。この日、新次が酒に酔って大暴れし警察の世話になったのだという。当然、そのことは警察から亮にも伝えられた。それが原因ではないかというのだ。

亜哉子によれば、2日前に横山フミエ(草村礼子)と会ったことがそもそもの発端ではないかと言う。彼女は、津波で行方不明になった新次の妻・美波(坂井真紀)の実母である。
実は、美波の死亡届は未提出のままだった。フミエは死亡届用紙を差し出し、新次が判を押して提出してほしいと頼んだ。フミエも年老い、もう長くは生きられない。あの世できちんと美波に再会できるよう、手続きをしておいてほしいと言うのだ。

新次はしばらく考えたいと答え、結論を保留した。
亮には仕事に行くよう命じ、二人で相談することもなかった。こうして亮は東京で百音に会い、一泊後の昼に新次が暴れたことを聞いたのだ。
一人になった新次は死亡届を出したくなかった。自分が書類に判を押せば、自分が美波を殺したも同然だと思うからだ。それで酒に溺れてしまったのだ。

未知は、深夜になるまで知らせなかった亜哉子に対して腹を立てた。急いで亮に電話をかけたが、なしのつぶてだった。未知は、亜哉子との電話を切って百音のスマホからかけるよう頼んだ。

百音が電話をかけると、しばらくして亮が応答した。百音は、心配する未知のためにもスピーカーホンにして聞かせた。
亮は、全部やめたい、百音しか言える相手がいないと一方的に話した。そして、百音の返事を待たずに一方的に電話を切ってしまった。

未知は感情を爆発させた。
亮が、全部やめたいと言う気持ちがわかったからだ。高校を卒業してすぐに漁師になり、新次の代わりに頑張ってきた。それなのに、いつも新次に苦しめられる。当然逃げ出したいはずである。しかし、ふたりきりの親子であり、新次を見捨てることができないのである。

さらに未知は、彼が百音の電話にだけ出て、百音にしか話せないと言ったことにも腹を立てた。
未知は、東京で買い、着ている姿を亮に褒めてもらったジャンパースカートを百音に投げつけた。

* * *

通話相手の承諾なくスピーカーホンにするのはやめようと、思いを新たにした僕でした。
ていうか、百音(清原果耶)や明日美(恒松祐里)はなにかっつーとすぐにスピーカーホンにするから気になってたんだ。僕だったら、相手の周りに誰がいるかわからない状況で勝手に僕の話していることを垂れ流しにされたら嫌だもん。

【今日の蒔田彩珠
感情を爆発させた未知(蒔田彩珠)は、泣きながらジャンパースカートを百音に投げつけました。亮(永瀬廉)に褒めてもらって嬉しかったスカートなのに。

『スカートのアンソロジー』に収録されてもいいエピソードだな。

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