東海林さだお『ざんねんな食べ物事典』を読み始めたら、のっけから行動学に関する説明を受けた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第104回めの放送を見ましたよ。
百音(清原果耶)の家族はそれぞれ来し方行く末について思い悩んでいた。それを目の当たりにしても百音は何も言うことができなかった。自分は一度家を離れたという負い目があったからだ。
朝の放送前、百音は菅波坂口健太郎)と電話で話した。家族が悩んでいるのに何もできない自分の心苦しさを打ち明けた。
菅波は、まずは彼らが胸に秘めていることを自由に話せるようにするべきだとアドバイスした。直接的な解決は無理でも、話をするだけで本人の心は軽くなる。ひょっとしたら、そこから解決の糸口が見つかるかもしれないというのだ。
その日の朝の放送で、百音は低気圧の接近を予報した。低気圧のせいで身体ばかりでなく、心の痛みがぶり返すことがあると話した。辛いことがあったら、少しずつでも外に吐き出してみて欲しいと促した。
百音の家族たちも、朝の支度をしながらその放送を聞いていた。
放送終了後、またしても中学校の制服姿の石井あかり(伊東蒼)が訪ねてきた。あかりは小学校時代の担任だった亜哉子(鈴木京香)に会いたいという。苗字が同じことから、百音が亜哉子の娘だと勘づいたのだ。百音はあかりを家に案内することにした。
亜哉子は姿を見るなり あかりのことを思い出した。そして再会できたことを心から喜んだ。百音の前では硬い表情を崩さない あかりであったが、亜哉子の前では少女らしい笑顔を見せた。あかりは3年生になる時に母方の実家である北海道へ引っ越した。6年ぶりに気仙沼に帰ってきたという。
あかりは、北海道での暮らしを聞かれると表情がくもった。あかりは北海道に住み続けたかったのだという。決して気仙沼のことが嫌いではないし、新しい中学校にも馴染み、友達がたくさんできた。それでも、北海道への愛着が生まれていたのだ。しかし、気仙沼に戻れたことを喜んでいる両親を見ていると、そのことを誰にも言えなかったという。亜哉子に話して、少し気が楽になった。
その夜、百音と亜哉子はふたりで夕飯の支度をしていた。亜哉子は、百音があかりと引き会わせてくれたことに改めて感謝した。
しかし、亜哉子が突然涙ぐんだ。
東日本大震災が発生した時、亜哉子は教員として小学1年生のあかりたちの担任だった。震災の夜はそのまま学校に留まり、あかりたちを守ろうと必死だった。
しかし、ふと百音や未知(蒔田彩珠)のことが心配で居ても立っても居られなくなったのだという。気付いたときには、児童たちを置き去りにして学校を出ようとしていたという。自分の娘よりも幼くか弱い子どもたちを見捨てようとしたことを今でも悔やんでいる様子であった。
石井あかり役の伊東蒼さん、素晴らしい演技でしたね。これまではぶっきらぼうな様子しか見てなかったのでピンと来なかったけれど、亜哉子(鈴木京香)に会うや否や、パッと明るい表情になって、その振り幅が見事でした。
蒼、恐ろしい子。
【今日の蒔田彩珠】
百音(清原果耶)が「辛いことは吐き出しましょう」と呼びかける放送を聞きながら、出勤の支度をしていました。今日は亜哉子のターンだったけれど、明日は未知(蒔田彩珠)の心情吐露ターンかな?