ドラマ『パパはニュースキャスター』で田村正和が演じていた、あちこちの女に子どもを産ませながら必ず「”愛”と書いて”めぐみ”」と名づけさせる男を思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第86回めの放送を見ましたよ。
鈴子(趣里)が女の子を生んで2日が経った。
鈴子はずっと赤ん坊を抱き、幸せの頂点だった。あとの望みは、早く愛助(水上恒司)が帰ってきて、彼に娘の名前をつけてもらうことだった。
しかし、鈴子の出産とほぼ同じ頃、愛助は大阪の病院で事切れていた。
そのことを知っている坂口(黒田有)と山下(近藤芳正)であったが、なかなか鈴子に言い出せずにいた。
坂口と山下は病院で鈴子に付き添っている。赤ん坊と一緒で有頂天の鈴子であったが、さすがにふたりの様子がおかしいことに気づき始めた。ついに山下は意を決して愛助が亡くなったことを伝えた。
鈴子は一気に不幸のどん底へと突き落とされた。ベッドに座って窓の外を見つめたまま、一昼夜をこえても動かなくなってしまった。食事も一切摂ろうとしない。赤ん坊は別室で看護師・東(友近)らが面倒をみた。
大阪から社長秘書・矢崎(三浦誠己)が報告に来た。鈴子は相変わらず窓の外を見るばかりで、矢崎が喋っても背を向けたままだった。
矢崎は通帳と手紙を持ってきた。通帳は鈴子の名義になっており、将来の結婚生活のために愛助が貯金していたものだという。手紙は愛助が最後に書いたものである。それだけ伝えると矢崎は帰っていった。
それからさらに一夜が過ぎたが、鈴子は同じ姿勢のまま沈み込んだままだった。やっと口を開いたかと思えば、自分の大切な人はみんな早くに亡くなる、自分も死にたいと口走るようになった。
山下は鈴子を激しく叱った。愛助は多くの人に愛されており、辛いのは鈴子だけではない。山下自身もそうだし、坂口、矢崎も同様である。そして何より、彼を溺愛していた母・トミ(小雪)の悲しみは想像を絶する。残された者にできることは、彼の分まで生きることだと話した。愛助の分まで生きられるのは鈴子の他にいないのだから、軽々しく死ぬなどと言ったら許さないと怒鳴った。
坂口は興奮した山下を連れて部屋を出ていった。
再び一人きりになった鈴子は、愛助の手紙を開いた。そこには、元気になって帰るという約束が守れなくなったことへの謝罪が記されていた。
さらに、子どもの名前の案が書かれていた。男の子だったら愛助のような弱い子にならないよう力強い「カブト」という名前、女の子だったら「愛子」にしてほしいと書いてあった。娘の場合、自分の名前から一字取るのは気恥ずかしいが、愛に溢れる子になってほしいという願いを込めてつけられた名だと説明してあった。
それから、鈴子に辛いことがあったら歌うようにと書いてあった。また、生まれてきた子は自分たちの宝であり、その子がいれば何があっても生きていけるはずだと書かれていた。
部屋の外から、赤ん坊の鳴き声が聞こえてきた。
鈴子は早速「愛子!」と呼んだ。東から愛子を受け取ると、鈴子はその子を抱きしめた。
そして、一緒に生きていくと愛子に言って聞かせた。
鈴子は愛子を横に寝かせ、久しぶりに眠った。
夢の中では、愛助が愛子を抱いていて、3人で仲良く暮らしていた。
今日の放送でも、鈴子役の趣里の顔芸がすごかった。有頂天→失意のどん底→生きる決意→いい夢を見て寝ながらニヤニヤしているというそれぞれの表現が見事でした。
さて、来週はいよいよ「東京ブギウギ」だそうですよ。