NHK『風、薫る』第2回

強風で折りたたみ傘が手から離れて飛ばされてしまった上、会社帰りの薄暗い中でそれを見失ってしまい、そばにいた人に指さされたところを見ると10数メートル彼方に転がっており、恥ずかしい思いをしながら拾いに行った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『風、薫る』の第2回めをNHK+で見ましたよ。

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第1週『翼と刀』

隣町でコレラ患者が発生したという。しかし、宿屋の客がたった一人罹患しただけで、その宿屋はすぐに閉鎖して消毒処理されたという。
りん(見上愛)たちの暮らす農村には感染拡大はなさそうだということで、家族も村人たちも安堵した。

りんと妹・安(早坂美海)は、父・信右衛門(北村一輝)から初歩的な教育を受けている。信右衛門は娘たちを女学校に行かせたいと思っていたが、今の暮らしではそれが叶わないのだ。信右衛門は娘たちにすまないと頭を下げた。

娘たちは父から学べれば十分だと答えたが、信右衛門は学問の重要性を改めて説いた。
今のような変化の激しい時代には、一時の風に流されず、自分で本質を見極めることが重要である。そのためには学問が大事だと話した。
そして、「学ぶことは世をわたる翼となり、身を守る刀となる」と語った。
りんは、それに感じ入った。

母・美津(水野美紀)は、りんの妹・安を連れて東京へ向かった。
元々りんに持ち込まれた縁談であったが、本人が乗り気ではなく、むしろ安が大いに興味を示した。そこで安を嫁に出そうということになったのだ。その顔合わせのために上京した。

ふたりが東京の街を歩いていると、背後で騒ぎ立てる女と男の声が聞こえた。
振り返ると、直美(上坂樹里)がスリを捕まえて財布を取り返しているところだった。その財布というのが、美津のものだった。さっきすれ違いざまにぶつかった隙にスられたのだ。

直美は見事にスリの男を組み伏せると「貧乏な田舎者から金を盗むな。金を盗むなら金持ちから盗め」と罵った。スリの男は直美の素性を知っており、腕を締め上げられながらも直美のことを「耶蘇のみなしご」と罵り返した。
そのやり取りを聞いた美津は、親のないことをバカにした男のことが許せなくなった。男が持っていた木の棒を奪い取ると、身に付けている薙刀の技で男をしたたかに打ちつけた。男はほうほうの体で逃げ出した。

美津は直美に向き直ると、金持ちであっても金が盗まれていいわけではないと、直美の煽り文句をたしなめた。礼を言われると思っていた直美は面食らった。

美津と安が東京で騒動に巻き込まれている頃、りんの村でコレラ患者が発生した。
すぐさまその家は封鎖された。遠巻きに集まった村人たちは、コレラの家を冷ややかな目で見た。
りんと虎太郎(小林虎之介)は、好きで病気になったわけではないと声に出すが、村人たちの態度は変わらなかった。

その直後、虎太郎の母・栄(岩瀬顕子)もコレラに感染した。彼女は病院へ運ばれていった。
りんは医者に診てもらえるなら安心だと思ったが、村人の話によれば、彼女が連れて行かれるのは隔離病院であり、そこから生きて帰ってきたものはいないのだという。貧乏人はろくな治療も受けられず、ただ隔離されるだけだというのだ。

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NHK『風、薫る』第1回

今シーズンの根性だめしを始める当方が、NHK朝の連続テレビ小説『風、薫る』の第1回めをNHK+で見ましたよ。

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第1週『翼と刀』

明治15年(1882年)、文明開化によって東京府は目まぐるしく変化していた。人々は西洋の目新しいものをどんどんと取り入れ、競うようにそれを互いに見せびらかしていた。

そんな街の中で、大家直美(上坂樹里)は異彩を放っていた。
彼女は誰も着ないような古臭い江戸風の装いで歩いていた。マッチ箱製造の手工業で糊口をしのいでいるが、そもそもが薄給のうえ、しくじって材料を無駄にするとその分が給金から引かれてしまう。しかも、親のいない孤児であった。そのようなわけで、好むと好まざるとにかかわらず、薄汚い格好しかできないのだった。

それでも、直美は自分の境遇を嘆いてはいなかった。
小綺麗な格好をした女学生たちにバカにされても
「いかにも、私がみなしごで耶蘇の貧乏女ですが、なにか?」
などと堂々と言い返す強気な性格でもあった。

同じ頃、栃木県那須の農村には17歳になる一ノ瀬りん(見上愛)が暮らしていた。そこは東京の繁栄とは正反対なのどかな田園風景で、彼女は百姓の娘として農作業に従事していた。

彼の父・信右衛門(北村一輝)は、藩の筆頭家老を勤めていたほどの名士である。しかし、ご維新の時に突如として武士を辞め、百姓になった。りんは当時3歳であり、父が武士を辞めた事情を知らない。誰に尋ねても理由を教えてくれなかった。
それでも、父・信右衛門は今でも周囲からの尊敬を集めている。旧藩の関係者は近所に大勢暮らしており、彼らは今でも信右衛門のことを丁重に扱う。家来の中村(小林隆)などは、今では県役人として立派に勤めているが、足繁く信右衛門を訪ねては政府への仕官を勧めてくる。
しかし、信右衛門は百姓の暮らしを変えるつもりはなかった。ただし、頻繁に農作業の手を休めては和歌を詠むなど、どこか浮き世離れしているところもあった。

一方、りんの母・美津(水野美紀)は表面では信右衛門に従っているものの、自身が旧藩主の一族出身ということもあり、内心は家名復活を望んでいた。今でも娘たちに薙刀の稽古をつけ、気位が高かった。

りんと、2つ下の妹・安(早坂美海)は年頃ということもあり、いつか自分たちが結婚する時のことを考えずにいられなかった。女の人生はどこに嫁ぐか次第であり、商家の妻はどうだ、宿屋の女将はどうだなどと、浮ついた話に終始していた。

そんな矢先、りんの縁談話が持ち上がった。相手は東京で手広く商売をしている商家の長男だという。妹がふたりいて、なかなかの男前だという。妹・安は滅多にない良縁だと言って、自分が嫁になりたいと騒ぎ出す始末だった。
しかし、りんは乗り気がしなかった。一ノ瀬家を継ぐためには婿を取らねばならない。大きな商家の長男が婿に来てくれるはずなどないからだ。家のことを思えば、今回の縁談は成立しないと思った。
けれども、父・信右衛門は婿を取らなくてもいいと静かに話した。りんが幸せになるのが一番で、家のことなど考えなくてよいというのだ。
その日は、結論は出ず、保留となった。

実はりんは、近所の百姓の息子・虎太郎(小林虎之介)のことが気になっていた。虎太郎もりんのことをいつも気にしている。農作業中にふと目が合うこともしばしばである。
本人たちはそれを表に出そうとしないが、端から見ている安にはふたりが惹かれ合っていることが明白だった。安が姉への縁談を横取りしようとしたのも、それが多少関係していた。
安から虎太郎に嫁げばよいと冗談を言われ、りんは怒ったものの、やはり彼のことを意識せざるを得なかった。百姓の妻になった自分のことを想像できないでもなかった。

翌朝、畑に向かって歩いていると、向こうから虎太郎が駆け寄ってきた。
真剣に何かを訴えようとする表情にりんはドキリとした。

そんな虎太郎から出た言葉は、コロリ(コレラ)が発生したという知らせだった。

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