NHK『おかえりモネ』第25回

太ももの粉瘤が腫れて痛み始めてから10日、痛みはほとんどなくなったけれど手術跡に差し込まれているガーゼの違和感だけはなくならず、相変わらず萎えている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第25回めの放送を見ましたよ。

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第5週『勉強はじめました』

百音(清原果耶)が発案した学童机プロジェクトは、材料である木材の乾燥や加工に時間がかかりすぎるため納期に間に合う見込みがなく、頓挫した。
しかし、諦めきれない百音は、太陽エネルギーの活用や、引退した職人たちの力を借りれば実現可能なのではないかと思いついた。サヤカ(夏木マリ)に話したところ、みんなのためになることを考えろ、そうすればみんなが動くと助言した。

早速、百音は念密な計画を立て、森林組合で相談した。

この地域には利用されていないビニールハウスがたくさんある。それらを借りて、太陽エネルギーで木材の乾燥をすることを提案した。従来のように乾燥機を使用した木材乾燥では2週間の時間がかかる上、燃料費も高くつく。しかし、先にビニールハウスである程度乾かしてから乾燥機を使用すれば、燃料費を節約できる上、期間も5日程度に短縮できると見積もった。
組合の職員たちは、過去に同様のことを検討したことがあるという。結局、あちこちに点在するビニールハウスまで木材を運ぶ費用がかかるため利益が出なかったという。ただし、今回のケースでは4200脚の机を作るのだから、ギリギリで採算は合うと試算された。

もう一つ問題があった。広葉樹は乾燥による狂いが大きいので、手作業による調整が避けられない。その手間や人員の確保が難しいというのだ。
それについて、百音は解決案を準備していた。地域には21人の職人がいるので、彼らに協力を仰げば可能だと見積もっていた。彼らは林業を愛しているから、きっと協力してくれるはずだと主張した。
実際、組合の重鎮・川久保(でんでん)が隠居した職人たち大勢に声をかけたところ、みな応じてくれた。彼らは歳をとって引退していたが、今でも腕前は昔通りだった。

こうして、10脚程度の試作品がすぐに完成した。
子どもたちに披露すると好評だった。子どもたちは天然木の手触りや香りを気に入った。

学習机プロジェクトの傍ら、百音と菅波(坂口健太郎)の勉強会も続いていた。最近ではより早い時間からカフェで勉強会を行っており、ふたりのことはみんなにも知れ渡ることになった。ついには、ふたりは男女交際に発展するのではないかという噂まで立ち始めた。

今日の勉強会のテーマは、太陽によって空気が温まることであった。
百音には、地表近くの空気が先に温まるということが理解できなかった。太陽は上にあるのだから、より太陽に近い上空の空気の方が先に温まるはずだと思いこんでいた。
菅波の説明は、空気は透明だから太陽の光を通り抜けるというものだった。だから空気は太陽によって直接温められることはない。一方、地面は不透明なので光がぶつかって吸収される。その結果、最初に地面が温まる。その後、地面に接した空気が熱伝導によって温められる。ゆえに、地面に近い空気から先に温まるというのだ。

その説明に一度は納得しかけた百音であったが、「接しているもの同士で熱が伝導する」ということがどうにもピンと来なかった。
それを遠くから聞いていたサヤカ(夏木マリ)が現れ、ふたりをソファに並んで座らせた。そうして、ふたりの体が接しているところから互いの熱を感じることを実感させた。それが熱伝導だと説明した。そして、それ以上は何も言わず去っていった。

あっけにとられるふたりであったが、ふと互いが密接であることに気付いて、照れながら慌てて離れた。

ある日、登米でジャズバーを経営する田中(塚本晋也)が菅波の診療を受けていた。大学病院からの紹介状にはステージ4のガンだと記されていた。田中は入院治療ではなく、通院による薬物治療を希望していた。それで菅波のもとを訪れたのだ。菅波も本人の希望を受け入れた。

治療方針が決まったところで、田中は突然関係のない質問をした。
隣の森林組合に永浦(百音の名字)という女性が働いていないかと尋ねるのだった。

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NHK『おかえりモネ』第24回

木材加工と言えば、ちょっと前に知った「大工の正やん」というユーチューバーを気に入ってよく見ている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第24回めの放送を見ましたよ。

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第5週『勉強はじめました』

百音(清原果耶)の発案で、活用されていない地元の広葉樹を利用した学校向けの学習机のプロジェクトが始まった。
まずは材料となる木の伐採と乾燥作業が行われた。木材は乾燥機で10日から2週間かけて乾燥される。木材に余分な水分が残っていると割れてしまうので、ここは重要な工程である。乾燥機を使用すれば時間を大幅に短縮できるが、燃料費などのコストがかかるというトレードオフがある。しかし、来年度の納品に向けては仕方のないことだった。

百音は、このように昼は森林組合で働きながら、夜は菅波(坂口健太郎)に協力してもらって気象の勉強を続けていた。
その日は、水分の蒸発について教えてもらった。百音は蒸発と沸騰の違いをわかっていなかったが、菅波は丁寧に説明してくれた。水分は、100度で沸騰しなくても気化するものであり、それは低音でも起きるという。それは洗濯物が100度に達しなくても乾くのと同じである。ただし、気温が高い、空気を循環させる、乾いた空気に晒すなどで蒸発を促進させることができると習った。
百音は、木材の感想も同じ理屈だとわかった。

しかし、百音の気象の勉強は著しい進捗があるわけではなかった。百音はすぐに話しが脱線してしまう。
たとえば、自分は大きな台風と満月の日に生まれた、気象と出産は関係あるのだろうか、などと話すのだ。菅波は百音の脱線を留めるのに苦労した。

いよいよ学習机の試作品が完成した。
当初は全ての部品を木製にした。しかしそれだと重すぎて、百音ですら一人では動かせないほどだった。そこで、天板にのみ天然木を使用し、他の部品はスチール製とした。そうすることで軽いのみならず、価格も安く抑えることができる。手に触れる部分に天然木のぬくもりがあり、誰もが満足する出来だった。

百音は、課長・佐々木(浜野謙太)らと共に、試作品を持って教育委員会に相談に出向いた。教育委員会の職員たちも試作品の出来に舌を巻いた。
しかし、話が入札と納品の段になると、試作品の不利な点が次々に明るみになった。今は9月だが、来年の3月までに4200セットを納品しなければならないという。全ての学校へ一括して導入するため、必ずそれだけの数が必要なのである。しかし、百音たちの机は天板を手作業で仕上げるため、一月に30脚程度しか生産できない。どう考えても、必要な数の2割程度しか生産できない。
その上、東京の大手メーカーも入札予定だという。そちらは価格も申し分なく、年内に納品が完了しそうな様子なのだという。

登米の森林組合では到底太刀打ちできないと話し合い、今回のプロジェクトは頓挫した。百音は落ち込んだ。

そのような事件があっても、百音は菅波との勉強会を休むことはなかった。
その日、菅波は中学生向けの理科の参考書を買ってきてくれた。百音は簡単すぎる絵本と難しすぎる気象予報士試験テキストの2冊しか持っておらず、極端すぎて百音の知識に見合わないというのだ。それで、その中間に当たる本で基礎から勉強すべきであるというのが菅波の見立てだった。

恐縮した百音は代金を支払おうとするが、菅波は誕生日プレゼントだと言って受け取らなかった。菅波はこの日の3日前が百音の誕生日だったはずだと述べた。
百音は自分の誕生日を教えたはずがないのに、菅波が知っていることに驚いた。しかし、それを推測することは菅波には簡単なことだった。百音の年齢、および彼女が勉強会で脱線して大きな台風と満月の日に生まれたという話していたことから、過去の気象データを調べてわかったのだ。
菅波は、知識が武器と同じだと話した。持っているだけではなんの意味もないし、使い方も難しい。しかし、持っているとなにかの役に立つと話した。

ある朝、百音は庭で洗濯物を干していた。
菅波と勉強した、乾燥のメカニズムを思い出していた。温度や湿度、空気の循環などが大きく関わる。
そして、蒸発の主なエネルギー源は太陽であることを思い出していた。

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NHK『おかえりモネ』第23回

最近、体質が変わったらしく、エビよりも鶏もも肉の方がビンっと来るようになった気のする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第23回めの放送を見ましたよ。

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第5週『勉強はじめました』

百音(清原果耶)は森林組合で新規事業を立ち上げることを命じられた。現在ほとんど活用されていない広葉樹の木材で利益を生むことが使命である。
小学校に出かけた時、机が壊れてしまって子どもたちが騒いでいた。それを見た百音は広葉樹で学校向けに学習机を制作することを思いついた。

組合の職員たちに相談したところ、良い手応えを得た。
広葉樹は硬い木材であり、机に向いている。それに加えて、現在の机は30年ほど使われており、そろそろ更改時期である。タイミングが良い。さらに、行政は地元の材料で学習用品を作ることを推進しており、それに対して補助金も出る。大手メーカーにも対抗できる製品ができるかもしれない。
みんなの賛成を得て、学習机プロジェクトを進めることとなった。

百音は、課長・佐々木(浜野謙太)と共に木材サンプルの確認のために山に入った。そこで伐採の棟梁・熊谷(山本亨)に会った。彼は寡黙な男であり、百音は面食らった。しかし、彼は山のことを知り尽くしており、どこにどんな樹木が生えているか全て頭に入っていた。

熊谷は、学習机に向いた広葉樹の生えている方向を指差して説明した。そして、今日の下見は中止にすると言い出した。その付近は谷が深く、この後雨が降ると予想されると言うのだ。
百音は空に雲はないのに、なぜ雨が降ると言えるのか尋ねた。すると熊谷は、山の雲は下から来るからだとぶっきらぼうに答えるのみだった。百音にはよくわからなかった。

その夜、百音は本屋で絵本を買ってきた。小学校で見かけた『てんきのふしぎ』という子供向けの絵本である。菅波(坂口健太郎)から絵本や漫画で勉強するべきだと言われていたことが頭に残っていたのだ。子供向けの絵本を読んでいるところを人に見られると恥ずかしいので、百音は組合併設のカフェでこっそりと読むことにした。夜で従業員も帰宅し、無人になっていたからだ。

その絵本には、太陽の熱などで空気は温められて登っていき、上空で冷やされた空気から水滴や氷の粒が発生し雲になり、やがて雨を降らせるなどと書いてあった。百音は気象予報士のテキストブックで同じ箇所を確認した。しかし、まったくチンプンカンプンだった。

そこへ、菅波がカフェに忘れ物を取りに現れた。百音はとっさに絵本を隠そうとしたが、すぐに見つかってしまった。観念して、菅波に言われたとおりに絵本で勉強を始めたと打ち明けた。そして、やはり空気が上空に行くと雨粒になる仕組みがわからないと正直に話した。

菅波は、ノートに図を書いて飽和水蒸気量の説明をしてくれた。目に見えなくても空気には水蒸気が含まれているが、気温によって取り込める水蒸気の量が異なる。気温が高いとたくさん水蒸気を取り込めるが、気温が低いとその量は少なくなる。取り込めなくなった水蒸気は水滴として出てくるのだと説明した。

まだ不可解な顔をしている百音の目の前に、菅波は氷を入れたコップを置いてデモンストレーションした。しばらく待っていると、コップの外側に水滴が発生した。先の説明と同じように、コップの周辺の空気が氷によって冷やされ、取り込めなくなった水蒸気が水滴として出てきたのだと説明した。
百音は少し理解が進んだような気がした。

そこまで説明すると、菅波は立ち去った。去り際、次回は雲のできる仕組みについて勉強しようと言った。
そんな話はしていないのに、いつの間にか定期的に勉強を教えてくれることになっていた。百音は驚いた。

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NHK『おかえりモネ』第22回

今日で更新回数が藤井聡太二冠の順位戦連勝記録(朝日新聞の記事)に並んだ当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第22回めの放送を見ましたよ。

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第5週『勉強はじめました』

百音(清原果耶)は実家からの道中で医師・菅波(坂口健太郎)と道連れになり、登米に戻った。
登米に戻ると、診療所のもうひとりの医師・後藤(千葉哲也)がいた。菅波の指導医であり、週毎にふたりで入れ替わって診療所の運営をしている。後藤は快活で、誰とでも親しく付き合うタイプの人間である。もちろん菅波にも馴れ馴れしく接するが、当の菅波は彼のことが苦手であった。そもそも菅波が登米の診療所を受け持つことになったのも、彼と週替りである限り顔を合わせなくて済むと思ったからである。
そんな中村が予定を1日延ばして登米に滞在していたことで、菅波は狼狽した。

百音は、実家から持ってきたカキを早速みんなに振る舞った。登米の人々はその美味しさに大喜びして舌鼓を打った。ただし、菅波だけは人々の輪を遠巻きにしていた。

中村医師は、菅波に相談を持ちかけた。診療所を開設して2年が経過して軌道に乗ってきた。一方、通院の難しい人や経過の悪い人も少なからずいる。そういった人々のために訪問診療を始めたいというのだ。しかし、菅波は賛成しなかった。診療所で治療することを優先したいと言って話を打ち切った。そうして、菅波はひとり早々に引き上げた。

カキを楽しんでいる人々の話題は、林業の先行きの悪さに移った。
特に、川久保(でんでん)は酒を飲んでわめきたてた。40年の手間をかけて育ててきた丸太であって、せいぜい1600円くらいでしか売れないのだという。きれいな水や空気を生み出しているのも自分たちが整備している山のおかげなのに、世間の人々はそれらはタダで手に入ると思っているなどとクダを巻いた。

サヤカ(夏木マリ)は、百音にカキの出荷価格を言わせた。それは1個300円ほどであるという。人々は、木材の価格に比べて破格の高さであることに驚いた。しかし、サヤカはそれはあたり前のことだと言った。百音の祖父・龍己(藤竜也)は創意工夫と手間を重ね、高値で売れるカキを作っているのだ。
それと同じように、林業もボヤいているばかりでなく、より一層の工夫が必要であるとみなを説いた。

話の流れで、サヤカは百音に新たな仕事を与えた。現在、使いみちがなく、多くの場合に砕かれてチップにされている広葉樹を使って新規事業を立ち上げろというのだ。木工土産のような薄利ではなく、大きな利益を上げるような事業でなければならないと念を押した。
雲をつかむような話で困った百音であったが、断ることのできる立場ではなかった。

ある日、百音は森林組合の課長・佐々木(浜野謙太)と共に小学校に出かけた。林間学校に参加した児童たちが木材の良さを知り、図書室の本棚を木材で作りたいというのだ。材料の納品と制作指導のために出向いたのだ。

無事に本棚が完成し、帰ろうとしたところ、教室で騒いでいる子どもたちがいた。机が壊れてしまったと言うのだ。
その様子を見た百音は何かを思いついた。

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NHK『おかえりモネ』第21回

頼んでもないのに、ツイッターやってない人によって朝ドラまとめ記事の集計をされてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第21回めの放送を見ましたよ。

ツイッターやってない人がツイッターで発表した当ブログの朝ドラまとめ記事の記録

ツイッターやってない人がツイッターで発表した当ブログの朝ドラまとめ記事の記録

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第5週『勉強はじめました』

実家での盆休みを終え、百音(清原果耶)は登米への帰路についた。
気仙沼市街に入ったところで土産を買い足すことを思いつき、酒屋へ足を向けた。するとそこには幼馴染の及川亮(永瀬廉)が酒屋の主人と話をしていた。とっさに身を隠して聞き耳を立てると、亮は彼の父・新次(浅野忠信)が酒を買いに来ても売らないでくれと頼み込んでいるのだった。

その場で声をかけるのがはばかられたため、後をつけて離れたところで声をかけた。もちろん、亮が酒屋で話していたことは知らないふりをした。亮は百音をバス停まで送ってくれた。盆休み中の集まりにも亮はあまり顔を出さなかった。本人は仕事が忙しいと嘘をついていたが、実際には酒でトラブルを起こした父の世話に忙殺されていたのだ。ふたりは盆休みで会えなかった分を取り戻すように楽しく会話をした。
別れ際、百音は何か心配事があるなら遠慮なくメールや電話で連絡してほしいと話した。しかし、亮はそのようなおせっかいはいらないと断るのだった。百音はそれ以上何も言えなかった。

登米に向かうバスに乗り込むと、なぜか登米の診療所医師・菅波(坂口健太郎)が乗っていた。なんとなく気詰まりだが、同じ車内で離れているのも気まずいので、百音は彼の隣に座ることにした。誤解を招かぬよう、バス停で見送る亮のことを単なる幼馴染だと紹介するが、菅波は興味がなさそうだった。百音はやりにくかった。

菅波は水族館に行った帰りのようだった。大きなサメのぬいぐるみを持っていた。彼はぬいぐるみは東京の同僚への土産だと言い訳をした。
百音は実家で採れたカキを土産にしており、それを菅波にも食べてほしいと話しかけた。しかし菅波は、過去に3回食べたカキの全てに当たっており、もう二度とカキは食べないと断った。
そして、百音との会話を打ち切るように論文を読み始めた。仕方なく、百音も気象予報士のテキストを開いた。しかし、百音はすぐに眠ってしまった。

百音が目を覚ますと、やっと菅波は気象予報士の試験を受けるつもりなのかと尋ねてきた。百音は、試験を受けるつもりはないが、仕事内容に興味があるから勉強をしていると答えた。それを聞いた菅波は、試験を受けるつもりがないのであれば、今読んでいる教科書は百音にはレベルが高すぎると断じた。もっと簡単な漫画や絵本を読んだほうがいいなどと言うのだった。

さらに、百音が今の仕事を続ける上では、林業に関する勉強を優先すべきではないかと話した。それに対して百音は、今の仕事である山と、生まれ故郷の海は、いずれも天気を介して繋がっている。だから天気の勉強をしたいのだとはっきりと答えた。
その回答に菅波も納得した。ただし、それならば教科書を開くのではなく、目の前にある現象を純粋に不思議がったり面白がったりするところから深めていった方が良いだろうとアドバイスした。それは、菅波が従事する医療にも通じるところがあるのだ。

そうしてふたりは登米の森林組合に到着した。ここは百音の職場であると同時に、菅波の診療所も併設されている。
すると、診療所から中村医師(平山祐介)が現れた。彼はこの診療所を開設した張本人であり、また菅波の指導医でもあるのだ。彼から命じられて登米の診療所に隔週で通うことになった経緯もある。ただし、菅波は彼のことが苦手であった。彼は優秀な医師であるため、そばにいるだけで自分の未熟さを思い知らされるからである。彼から離れていられるということは、菅波が登米で働くことに応じた理由の一つでもあった。

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NHK『おかえりモネ』第20回

ミッキーマウス・マーチのメロディで「イッタター イッタター イッタ タッタ ター」と歌うほど、太ももの腫れがひかなくて難儀している(今朝のグロ写真)当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第20回めの放送を見ましたよ。

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第4週『みーちゃんとカキ』

盆船供養の後、未知(蒔田彩珠)は自分で育てたカキの幼生がどれだけ根付いたか数えた。その結果、期待していたよりもずいぶん少なかった。ほぼ失敗と言えた。

昼には近所の人々が集まってバーベキューを行ったが、そこでも周りからは種ガキの自家採種は無理だとバカにされた。そもそも困難だからこそずっと他所から仕入れているのである、学校の勉強と実際の仕事を同じものだと考えてはいけないなどと言われた。百音(清原果耶)は「諦めなければきっと実現できる」などと未知のことを弁護したが、姉妹揃ってからかわれた。
祖父・龍己(藤竜也)は真剣に取り合わず、自分が死ぬまでに実現させてくれなどと投げやりに場を収めた。しかし、その顔はどこか嬉しそうだった。

夜、百音は荷造りをした。翌朝早く、登米に戻るのだ。
百音の部屋を覗いた未知は、荷物の中に気象予報士のテキストブックを見つけた。全然理解できないと話す百音に対して、未知は高校で習ったことと同じだと指摘した。百音は、頭のいい未知のようにはできないと劣等感を顕にした。それに対して、未知は昼に百音から弁護してもらったのと同じように、「諦めなければ実現できる」などと励ました。

翌朝、百音は早くから仕事をしていた龍己に話しかけた。小さい頃、よく登米の山に連れて行ってもらい、植樹などをしていた理由を尋ねた。龍己の回答は、全てが繋がっているというものだった。つまり、登米の山で染み込んだ水は木々の栄養を含んで北上川となり、石巻に流れ込む。石巻こそ、龍己の種ガキの購入先なのである。
続いて百音は天気の勉強をはじめることを相談した。気象知識を身につければ、龍己の仕事や未知の研究に役立つか尋ねた。すると龍己は、漁業はギャンブルだと答えた。天気によって儲けが何百万も変動する。龍己は死ぬまでに大きな賭けをしたいと思っており、その時は百音に相談すると話した。

いよいよ百音が登米に出発する時間となった。その時、東京のホテルからのファックスで、大量のカキの注文が入った。家族総出で作業しなければ間に合わない数である。誰も百音の見送りをすることができず、慌ただしい出発となった。
母・亜哉子(鈴木京香)だけは仕事を抜け出し、百音に土産のカキをもたせてくれた。そして、これからも頑張れと応援して送り出した。

本土への渡し船の中で、百音はカキの養殖筏が杉材でできていることに気付いた。ここにも山と海の繋がりがある。そして、今自分が浮かんでいる海水の一部も山から流れてきたものである。そして、空を介して、海から山に戻る。
百音は天気を知ろうと改めて決意した。

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NHK『おかえりモネ』第19回

今週、太ももにできた腫れ物(閲覧注意の今日の写真)に苦しめられており、昨日は病院で診てもらって細菌の炎症っぽいから抗生物質と化膿止めで経過観察しつつ痛み止めをのめと言われ、就寝前に痛み止めを飲んで寝たんだけれど2時間くらい経ったところで痛みで目が覚めてしまうし、今朝は中心部が黒く変色し始めてるし、もうなんだか嫌になって萎えている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第19回めの放送を見ましたよ。

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第4週『みーちゃんとカキ』

種ガキの繁殖で祖父と両親を相手に大喧嘩した未知(蒔田彩珠)であったが、百音(清原果耶)がみんなを調理に誘うという機転で円満に解決した。

翌朝、母・亜哉子(鈴木京香)は百音とふたりで先祖供養の盆船(藁で作った船に供物を載せて焼く)の準備をしながら感謝した。亜哉子によれば、昔の未知は甘えん坊だったのに、最近は頑固者になったという。未知は自分がこの家を支えていくという思いで意地になっているように思えると話した。それに対して百音は、未知は頑張っているのだと褒めた。
そんな話をしていると未知が現れた。自分の話をしていただろうことに勘づいていたが知らんぷりをした。

三人は、未知の甘い物好きなところは祖母・雅代(竹下景子)に似ていると話たりした。そうやって祖母のことを偲んだ、民宿をしていた祖母は人がある待ってにぎやかなことが好きだった。母・亜哉子も子どもの顔を見るのが好きな点は共通していると話した。百音の幼馴染たちが集まったり、久しぶりにバーベキューをしたことは楽しかったと言う。
未知は亜哉子が教師を辞めた理由を聞いた。カッとしたら口が悪くなる亜哉子のことだから学校や教育委員会と喧嘩して戻れなくなったに違いないと推測した。亜哉子は喧嘩するのは夫・耕治(内野聖陽)だけであると冗談めかしながら、本当の理由を話した。祖母・雅代(竹下景子)の介護に手がかかるようになり、体力的にしんどくなったのが辞めた理由だと話した。

そうして盆船の準備が終わり、一家は浜へ出かけることになった。
そこへ三生(前田航基)がやって来た。一度家に戻り、進路について父・秀水(千葉哲也)と話し合うつもりだったが、彼の父は一瞥しただけで何も言わなかったのだという。怖くなった三生は家にいられなくなったのだ。耕治は、金髪頭の姿を見せたならそれで十分だと言って再度自分のところで面倒をみてやることにした。ただし、一家とともに盆船供養に同行することを命じた。そこで秀水の仕事を見ておけと言うのだ。

盆船供養が行われる浜辺には、百音の同級生の明日美(恒松祐里)と悠人(高田彪我)も来て、一緒に祖母・雅代のことを偲んでくれた。ただし、及川亮(永瀬廉)だけは急に用事ができて来れなくなったと連絡があったという。

浜には三生の父もやって来た。しかし、三生の姿を見ても無視した。そして彼は、何事もなく読経を行い、盆船供養は無事に終わった。

帰り道、百音は幼馴染たちと一緒だった。しかし、いつの間にか三生の姿が見えなくなっていた。未知によれば、仙台に戻って仏教系大学に通うことを決めたのだという。彼に振り回された幼馴染たちは呆れた。

しかし、百音はどうにも気になり、みんなと別れて三生を探しに行った。すると、三生が耕治と話しているのを見つけた。百音は物陰から聞き耳を立てた。
三生は、大学にきちんと通うことは決めたが、寺を継ぐかどうかはまだ決めていないと話した。耕治は、自分の父親が生涯をかけてやってきた仕事を継がないことの負担が重いことはよく分かると話した。しかし、どういった道を選ぶのかは自分自身だから頑張れと応援した。

その頃、及川新次(浅野忠信)は警官に保護されていた。朝5時ころ泥酔して帰ってきたが、彼の住んでいる仮設住宅は無機質な作りでどれも似ており、自分の家がわからなくなり大騒ぎしていたという。息子・亮は港で仕事をしており、やっと到着した。亮は警官から、この4ヶ月で騒ぎを起こすのはすでに3回目だと嫌味を言われた。病院に連れて行けとまで言われた。

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NHK『おかえりモネ』第18回

昨日のマクラで話した太ももの腫れなんだけれど(記録のため撮影した、閲覧注意)、昨夜はじっとしているだけでズキズキ痛むほどになってしまいなかなか眠れなくてしんどかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第18回めの放送を見ましたよ。

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第4週『みーちゃんとカキ』

未知(蒔田彩珠)は、祖父・龍己(藤竜也)に手伝ってもらい、カキの卵から幼生を孵化させ植え付ける自由研究を行っている。海水に浸けた幼生を一度引き上げなければならないが、そのタイミングによって育つ幼生の数や成長状態が大きな影響を受ける。その判断は難しいが、未知は少しでも長く浸けておきたいと思っていた。

雨が降り出した。
龍己は明るいうちに引き上げ作業をすることを提案した。雨で海水の塩分濃度が変化すると幼生が流されやすくなる。また、暗くなってからの作業は危険だということも心配している。
しかし、未知は夕方まで待つと言って聞き入れなかった。龍己は不機嫌になりながらも未知の判断に任せることにした。

日が暮れると、さらに雨がひどくなった。
龍己は一人で船を出し、幼生の引き上げ作業を行った。夜間の雨の中の作業は危険なので、龍己は未知が同行することを許さなかった。
そして事故が起きた。幼生を植え付けた盤と筏が引っかかり、無理をしたせいで龍己は足をくじいてしまった。

龍己は軽いけがで、無事に帰宅することができた。しかし、母・亜哉子(鈴木京香)から怒られた。未知の頑張りを見て祖父も付き合ってくれているが、彼自身が怪我をしてしまったら元も子もないと言うのだ。未知は半べそをかき、しゅんとして聞いていた。

龍己は未知をかばうつもりで口を挟んだ。あくまで自分のうっかりミスである。たかが高校生の自由研究なのだから、そんなに真剣になる必要もないと言ってしまった。
その一言に未知の怒りが爆発した。家業や地場産業をもり立てることはもちろん、種ガキの産地が津波で被害を受けた現状を鑑みて取り組んでいる、種ガキの自家繁殖は全国的なトレンドだ、しっかりとしたデータを集めて行っているなどと反論した。子どもの遊びなどと言わず、真剣に取り組んでほしいと腹を立てた。

龍己は、そもそも気仙沼で種ガキを育てることは難しいと話した。種ガキの繁殖は、石巻や松島といった浅瀬のある地域に向いている。それに比べて気仙沼は水深が深すぎるのだ。気仙沼で本格的に行おうとするなら、支柱を建てるなどの設備投資が必要になる。その費用はどこから工面するのか、未知の体力や技術で設置をすることができるのか、などと諭した。

それまでは黙って聞いていた父・耕治(内野聖陽)も未知を説得すべく口を挟んだ。東日本大震災で受けた被害からまだ完全には立ち直っていない。設備の一部には国からの補助金も出るが、足りない分は借金をして事業を建て直さなければならない。震災から3年で、やっと返済の目処も立ち始めた。今はとてもじゃないが未知の夢に全ての労力をつぎ込める段階ではないと言うのだ。

未知は、冷ややかに答えた。耕治は銀行員だからカネの話ばかりするとけなした。具体的かつ論理的に不可能な理由をまくし立て、借金の返済を第一に考えている。
地元で一番の漁師だった及川新次(浅野忠信)にもカネの話で船を諦めさせたと詰った。

家族のあまりの険悪さに百音(清原果耶)は困惑した。苦しまぎれに、登米で覚えてきた料理(はっと汁)をみんなで作ろうと提案した。小麦粉を練るのにたくさんの人手が必要なのだという。
両親と祖父は、さっそく楽しそうに作業に取りかかった。未知はしばらくはいじけていたが、声をかけられると手伝いをはじめた。小麦粉を練りながら未知は謝った。
そうして家族に笑い声が戻った。

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NHK『おかえりモネ』第17回

短パンやパンイチが好きではなく基本的に四六時中長ズボンを履いているのに、気付いたら左足のふとももに虫刺されのようなものができており、衣類が擦れたり触ったりすると痛いやら、数センチ大で赤く腫れているわ、腫れているところがカチカチに固くなっているわで、ものすごく意気消沈している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第17回めの放送を見ましたよ。

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第4週『みーちゃんとカキ』

未知(蒔田彩珠)は水産高校の2年生だが、カキの卵を孵化させて養殖する自由研究に取り組んでいる。通常カキの養殖家は幼生を業者から購入するが、自家生産することができれば大きなコスト削減になるのだ。
無事に孵化に成功し、カキ養殖を行っている祖父・龍己(藤竜也)と共に幼生を養殖場に投入した。海水にある程度浸けた後、適切なタイミングで一度引き上げなければならない。浸ける時間が短すぎれば幼生が盤に定着しないし、長すぎれば不純物が付着してカキの育ちが悪くなる。
そのタイミングの見極めは難しいものであるが、ひとまず無事に海水に浸けたことで安堵した。

その日の夕食は、庭でバーベキューを行うことになった。祖父・龍己のカキを焼いて食べるのだ。実家の寺を継ぎたくなくて逃げ回っている三生(前田航基)と百音が昼のうちから準備に駆り出された。

百音(清原果耶)は薪小屋へコンロの燃料を取りに行った。以前の百音なら全く気にしなかっただろうが、今の百音はスギやクヌギなど何種類かの薪があることに気づいた。木の匂いもまた百音の心を落ち着かせた。

そこへ祖父・龍己が顔を出した。クヌギは優れた薪なので、今日はそれを使えと命じた。
龍己によれば、昔の漁師は木材にも詳しいのだと話した。燃料や漁具など、漁師はあらゆる局面で木材を使用したのである。より良い木材を求めて、山主と良好な関係を築いてきた。登米のサヤカ(夏木マリ)もそんな一人なのだという。

その日はとても天気が良かったが、龍己は翌日は雨が降ると予想した。
翌朝、テレビで朝岡(西島秀俊)の天気予報を見ていると、全国的に天気が下り坂だと報じられていた。

午後になって雨が降り出した。
龍己は明るいうちに種ガキを引き揚げ作業をするべきだと未知を誘った。
しかし、未知はもっと長く浸けておきたいと強い口調で反対した。自分の研究だから自分で決めると啖呵を切った。

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NHK『おかえりモネ』第16回

ギターアンプで有名なマーシャルのビールが発売されると知り、アンプ(8本入)やスピーカー(16本入)を模したケースに入っているらしいのだけれど、ちょっと高くて手が出ないなと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第16回めの放送を見ましたよ。

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第4週『みーちゃんとカキ』

百音(清原果耶)の家に泊まりに来た幼馴染たちは朝早くに帰っていった。
ただし、寺を継ぎたくなくて逃げている三生(前田航基)だけはしばらく百音の家で匿ってもらうために残った。百音の父・耕治(内野聖陽)は三生を居候させる代わりに、龍己(藤竜也)の下でカキ養殖の仕事を手伝うことを命じた。小さいときから龍己のことを知っている三生は、彼が厳しい人であることを知っており、おそれをなしたが従う他なかった。
朝食後、早速養殖場に出かけた。その日の作業は、カキを湯に浸けて付着物や雑菌を取り除く温湯処理であった。たいへんな重労働であったが、三生も一生懸命働き、龍己から褒められた。

未知(蒔田彩珠)は実家の離れに作った研究室に籠もって自由研究を行っていた。研究テーマは種ガキの繁殖である。
カキの養殖家は種ガキを生産者から購入して育てる。そのため種ガキを自家生産できれば大きな経費削減になるのだ。加えて、3年前の東日本大震災も種ガキの生産に打撃を与えた。石巻と松島を中心に、宮城県は全国の種ガキの8割を生産している。それが津波で大きな被害を受けたのだ。未知は日本のカキ養殖を守るためにも種ガキ生産の研究が重要だと考えていた。

その日、未知が研究室で大声を上げた。皆が驚いて集まると、予定していた数の幼生が育ったのだという。大きな成果であった。

次は、その幼生をカキ棚に植え付けるタイミングを決めなければならない。
風が吹いて潮の流れが早くなれば流されてしまうし、海水温が高くなると魚が活発になり食われてしまう。今後の気象状況を読んで決断しなければならない。未知は気象データを元に来週まで待つのが良いと考えていた。しかし、龍己は長年の勘から今日こそが植え付けの絶好のタイミングだと助言した。来週まで待つと風が強くなり、海水温も上昇するというのだ。ふたりの丁々発止のやりとりから生半可な自由研究ではないと知り、百音と三生は驚くのだった。

結局、決断を迫られた未知は祖父の助言通り、今日すぐに植え付けをすることに決めた。

みんなが研究室を出ていった後、百音は研究室を見渡した。
ここでも気象情報が活用されていることに驚いた。天気は昔から身近にあったはずなのに、自分が気象に興味を持ち始めてから一層目につくようになったのだ。

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