第14週『新春、恋心のゆくえ』
五代(ディーン・フジオカ)の大阪経済復興における陰の立役者とは新次郎(玉木宏)だったという。
大阪商人たちは商工会議所への参加に乗り気ではなかったが、新次郎が説得してまわったのだという。その結果、多くの商人たちが参集する事になったのだという。
ただし、新次郎のやり方というのは、決して表立ったり、積極的なものではなかった。
三味線の会や晴花亭、うどん屋などに出入りした際、世間話のようにさり気なく話を持ちかけた。そして、加野屋が率先して加入することや、大阪商人たちが互いに足を引っ張り合うのではなく、力を合わせて東京や世界の商人たちと戦うべきだと話したのだという。
五代は新次郎の人望に驚き、見なおしたという。あさ(波瑠)も、新次郎の以外な一面に大いに驚いた。
そんな新次郎が、商人たちの晴花亭での新年会に姿を現した。
晴花亭に初めて来たあさは、新次郎が常連であると聞かされた。しかも、自分が九州や東京に出張して忙しかった時期に特に頻繁に来ていたという。さらには、自分以外の家族を連れてきたこともあるし、美和(野々すみ花)とも親しく飲んでいると聞いて、あさは激しく嫉妬した。
そんなやり取りを聞いていた五代は、新次郎に一泡吹かせたくなった。東京で、酔った五代があさに抱きついてしまったことを遠回しに取り上げ、自分とあさにも東京で秘密の出来事があったなどと話した。それを聞いた新次郎は逆にヤキモチを焼くのだった。
その頃、加野屋ではうめ(友近)と亀助(三宅弘城)が話をしていた。
亀助は、ふゆ(清原果耶)が新次郎に心を寄せていることにやっと気付いたのだという。
一方のうめは、ふゆが加野屋に来た時からそのことに気付いていたのだという。ふゆが主人に対する道ならぬ恋に踏み出さないよう、うめと雁助(山内圭哉)は亀助を焚き付けていた面もあったと認めた。
亀助は、自分は新次郎に叶うわけがないと言い、ますますふゆのことを諦め始めるのだった。
しかし、うめは亀助を応援した。新次郎がいい人であることは認めるが、夫にするにはいい加減すぎるというのだ。夫にする男は働き者のほうがよく、その点では亀助の方が優れていると言うのだ。
亀助はうめの励ましに感謝したものの、それ以上どうすることもできなかった。
それから数日後、よの(風吹ジュン)がふゆの婚礼衣装を準備した。よのは使用人の嫁入り支度をするのが昔から好きで、それが当然の努めだと考えているのだ。ふゆは喜んでお礼を言った。
興が乗ったよのは、ふゆを新次郎の妾にしようと考えたこともあったと打ち明けた。結局、新次郎が誰であれ妾を取ることを拒絶したため立ち消えになったが、それほどまでにふゆのことを認めていたという証拠である。
新次郎のことを話に出され、ふゆの心は波だった。せっかく新次郎のことを忘れて結婚しようとしているのに、また彼のことを思い出されたからだ。
その後、ふゆはあさとも話をした。
ふゆは、先輩として働くうめに憧れていたのだという。うめがあさのことを守る姿を見て、自分もはつ(宮﨑あおい)のことを守りぬくと決意していたという。だから、山王寺屋が倒産して夜逃げした時もはつに付き添って行ったのだ。しかし、結果としてはつの元を離れてしまったことを悔やんでいるという。
また、ふゆは6人姉妹の下から2番めで、父からはいらない子だと言われて育ったのだという。そのため、幼い時から自分の居場所がないと思っていた。そんな自分が、はつやうめ、そしてあさと過ごすことで居場所を見つけられて嬉しかったという。また、はつを守りきれなかったことに劣等感も抱いている。
そんな自分を見初めて、嫁に貰いたいと思っている人が現れたのだから、喜んで嫁に行く他に道はないと話した。
あさは、本当は別に好きな人がいるのではないかと訪ねた。あさは、ふゆが誰かに恋をしているということには気付いていたが、相手が誰かまではわかっていなかった。ましてや、新次郎だとはつゆにも思わなかった。
ふゆは、好きな人がいることは認めた。しかし、その人には自分よりもお似合いの人がいるから諦めたと答えるのだった。