『私は好奇心の強いゴッドファーザー』原田宗典

『私は好奇心の強いゴッドファーザー』は、原田宗典の映画にまつわるエッセイ集。
本書の中で紹介されている映画作品は、文末にあざとく amazon アフィリエイトのリンクを貼っておく。そちらを参照しつつ、興味があれば購入していただければと邪念を抱いている。

ていうか、リストにして分かったのだが、本書に紹介されている映画を僕は1本たりとも見ていない。
「私は好奇心の強い女」だの「自由の幻想」だの、(少なくとも僕は)ほとんどその名を見かけないような映画は仕方ないとしても、「エイリアン」だの「007/ロシアより愛をこめて」だの「ゴッドファーザー」だの、超有名映画まで見ていない自分をかなり恥じる。
見ていないどころか、あらすじも知らないことに気づき、自分の文化レベルの低さに辟易してしまう。

少しでも知識を吸収しようと、本書を熟読し、各映画について勉強しようと思った。
しかし、徒労に終わった。


だって、映画の内容については書かれてないよう。
映画にまつわる、内容のないようなバカ話のオンパレードなんだもん。

まだ、4章の「ゴッドファーザー」のあたりまでしか読んでないんだけれど、「ギャングの坩堝の歌舞伎町でゴッドファーザーを見るのはドキドキした」だの「客の中に本物のヤクザがいる!」だの、映画のことはちっともわからねぇ。
かろうじて、分かったのは

・・・ビトー・コルレオーネの臨終のシーンは鮮烈で、子供心にも、
「何という哀れな、しかし幸福な死に方だろう」
と思ったのをよく覚えている。

くらいなもんだ。
そうか、ラストはシミジミするのか、と分かった。

しかし、それ以外は、本当にバカバカしい話ばっかりで、映画のことはさっぱり分からない。
でも、さっぱり分からないなりに、原田宗典の映画に対する愛情はよく分かるし、そこに重ねてある彼の青春の思い出はなんだか自分の思い出のようにほのぼのと懐かしく思えるから不思議だ。
彼が初めて一人で映画館に行ったくだりなんかを読んでいると、僕が小学校3年生の時に高倉健の『南極物語』をひとりで見に行ったことをふっと思い出して、苫小牧の映画館・日劇のことを思い出してしんみりしちゃったり。
今でもこの映画館が顕在かどうかは知らないが、『スケバン刑事』(南野陽子が主演のやつ)と『スターウォーズ・新たなる希望』(リニューアルされたやつ)を見たなぁとか思い出したり。

本書は、映画そのもののエピソードを知るというよりも、「映画を見る」という行為の背後にあるドキドキ感や思い出を感じるためのものだと思った。

というわけで、本書で紹介されている映画一覧。
「007/ロシアより愛をこめて」は、オリエンタル急行に興味があるし近々見る予定。
「ゴッドファーザー」も興味津々。
それ以外にお勧めがあったら、見所とともに教えてちょ。

どうでもいいことだが、原田宗典が幼少の頃、鉛筆に「ヤマダ君」という名前をつけていたというエピソードが紹介されている。
風呂で半身浴をしながらそのくだりを読んでいたとき、ケータイがけたたましくなった。
体が濡れたまま、腰にタオルを巻いて電話に出たら、相手は同期入社の「ヤマダ君」だった。
なんという偶然!とびっくりする前に、飲み会会場と思しきところから楽しげに電話をかけてきた彼にちょっぴり殺意を抱く。こっちは、一人ぼっちで、しかも風呂から飛び出して体が冷えてるんだ。

でもー、でもー、某講座の公募の件を調査してくれってお願いして、即噂が入ってきたから許すことにした。

コメント (3)

  1. Felice

    木公さんの世代で「ゴッドファーザー」を見ていないのは普通じゃない? (わたしの世代だとこの映画はテレビの洋画劇場でちょくちょく放映されたので知っている人は多い。) 逆に「明日に向かって撃て」を知っているのは驚きっていうか、興味が沸いた映画は見ているんだなあと思いました。
    「ゴッドファーザー」はシリーズ3作ありますが、3作目は別に見なくても良いかも~~。

    ところでこの『私は好奇心の強いゴッドファーザー』って面白そうですね。読んでみようかな。

  2. 木公

    「明日に向かって撃て」は、そもそもNHK衛星放送で偶然見た「スティング」に端を発します。
    「スティング」がめちゃめちゃ気に入っていろいろ調べたら、ポール・ニューマン&ロバート・レッドフォードのコンビで「明日に向かって撃て」という作品がある、と。
    しかも、衝撃的なラストシーンがかっこいい、と。
    それで観て、ことごとく気に入ってしまったわけです。

    それからというもの、1900年代初頭のならず者系映画がお気に入りです。
    ダブルのスーツに中折れ帽をかぶって、葉巻をくわえているような雰囲気のやつ。
    「ゴッドファーザー」って、もろその路線じゃないですか。
    どうしても観なくてはいけないような気になっています。

    原田宗典の本は、映画好きのFeliceさんにはお勧めだと思いますよ。

  3. alm-ore

    ゴッドファーザー

    見た。 3時間弱もある映画にもかかわらず、途中どうしても用を足したくなって一時停止してトイレに行ったこと以外、一時も目を離さずにきゅーっと全神経を集中させ…

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