【注: 2008/01/04追記】
以下の文章には、特定の境遇にある人々(貧困層)を蔑視しているようにとれる表現が含まれています。これは、なるべく読み手の興味をひきつけようとして、あえて扇情的な表現を使用したためです。表面上の表現とは異なり、筆者自身は貧困層の支援をする方法をマジメに提案しているつもりです。その点を勘案の上、本文をお読みいただければと思います。
「患者の皆さん、あきらめてください」(天国のビザ)という、界隈でちょっぴり話題になってる話。
95歳の認知症の男性が入院し、AB型の血液の輸血が必要となった。しかし、血液が不足していて、治療に十分な血液が手に入らなくなってしまった。
患者の家族は、どんな手段を使ってでも治療をして欲しいと訴える。
それに対して、このブログの著者でもある医師は、この患者の治療にあまり積極的になれない。理由は、医療資源(この場合は血液)は有限であり、その使い方や優先順位を考慮すべきだと考えたから。同じ量の血液を使うなら、そもそも寿命の迫った老人と、それよりも長生きする可能性の高い若者と、どちらに輸血するのが適切か。
#なお、最終的にどういう判断をしたのかは、本文中には書かれていないので分からない。
本文では、この話を引いた後、「日本人の死生観がおかしくなっている」という結論を導いているけれど、それはどうでもいい問題のような気がする。
死生観を正せば、「死んじゃうもんはしゃ~ねぇなぁ」と納得するようにはなるかもしれないけれど、死なずに済む人を死なせてしまうという問題は全然解決されない。
今回のエピソードは、医療が自由市場で取引されていないことの問題を指摘するのにいい例題だと思うのに、なぜそれを言わないのか。
唯一、コメント欄で santa という人がその点に触れているけれど。
先のエピソードでは、AB型の血液がそもそも不足していたところに、トラブルの一端がある。血液が潤沢にあったなら、老人にも若者にも等しく輸血できたのだから。
そんなもん、血液をリッターいくらで買い取る制度をつくりゃいいじゃねーか。少なくとも、献血してジュース1本なんていう現在の価格だったら、不足するのも当たり前じゃないか。例えば、3,000円/リッターくらいの価格にしてくれたら、喜んで献血するけど。3,000円分の宝くじを買って、300円しか当たらない(差し引き2,700円の損)よりもよっぽど儲かるし。
ついでに暴言を吐けば、他に食い扶持のない貧乏人がじゃんじゃん血を売ればいいんだ。献血したお金で焼肉でも食えば、また血はできるっしょ。
もちろん、血液を買った分の費用は、患者に負担してもらわなくてはならない。95歳の老人に10万円かけて10リッター支払う気にはならないけど、25歳の若者だったらそれだけ支払ってもいいと思うだろう。これで、件のお医者様も頭を悩ますことなく、医療資源を適切に分配できる。
僕の大好きなマンキューの本から引用すれば、以下の通り(腎臓を血液と読み替えれば、おんなじ話)。
このような市場が存在することは効率的な資源配分に繋がるが、公平性を懸念する声もある。すなわち、臓器市場が自由化されると、臓器を最も欲し、かつ支払い能力のある人から順に臓器が配分されるので、貧しい人の犠牲の上に裕福な人が恩恵を受けるという主張である。しかし、現在のシステムもまた公平といえるのだろうか。機能する腎臓を一つも手に入れることができずに死んでいく人々がいる一方で、ほとんどの人は別に必要もない余分な臓器をもって生活している。これで公平といえるだろうか。
『マンキュー経済学: ミクロ編(2版)』 p.208
ついでに言っておくと、輸血には保険を利かないようにしておけばいいんじゃないかな。金持ちほどたくさん血を買えるけど、貧乏人は買えないの。
ちょっとかわいそうな気もするけれど、金持ちが血液を買ったお金が献血の代償として焼肉を食う貧乏人に流れていけば、所得の再配分がなされると思うし。
ていうかさ、政府なのか日本赤十字社なのかは知らないけれど、患者への血の輸血価格は、血の購入価格の数倍にしておけばいいんじゃね?
中間でじゃぶじゃぶ設けたお金は、貧乏人の保健事業に使って、貧乏人が病院にかかる可能性を低くしてあげればいいんじゃね?
ビバ、富の再配分。
若干言いすぎな気もしないではないが、医療に関しても市場メカニズムを使うことによって多少なりとも改善される余地はあるはずだ。なぜそうしないのか。
受け入れ先の病院が見つからず、救急車がたらいまわしになり患者が酷い目にあうって話も最近はよく聞くけれど、これも市場経済にしてしまえばいいんじゃない?
病院に患者の病状を連絡する時に、一緒に「患者は前金で○○万円まで支払うといっています。完治報酬として△△万円支払うそうです!」って言わせてみるってどうよ?
ちなみに、それで儲けた分の一部は国庫に入れて、貧乏人の保健制度にまわすってことで。
#貧乏人が救急車のお世話になりにくい世の中になれば、緊急医療の価格が多少上がってもいいべ?
あけおめ。ことよろ。
わたしは医療を自由取引することは絶対反対です。献血制度への無理解も気になりました。反論を書こうとしたけど長くなったので自分のところにアップしました。
医療市場の是2: Felice さんに反論されたから、再反論
先日書いた医療市場の是という当方の記事に、Felice さんから反論が付いた(2008年1月3日の日記)。 話がややこしくなっていることの原因は、多くの論…
反論ありがとうございます & 再反論アップです。
いろいろ考えたり、書いたり、消したり、計算したりしてたら、こんな時間になってしまいました。
明日の朝のNHKテレビ小説「ちりとてちん」(新年一発目)を見逃したら、こっそり怨ませていただきます。
あけおめ~ことよろ~
こーゆーネタがあったりするのもココの魅力だったりするわけですが・・・
Felice様の書かれた反論へのリンクを見つけられませなんだ。
可能であればURLを教えていただきたいのですが…
ごめん。
コメント書いてからリンク見つけた・・・orz
後から来た人へ。Felice さんの反論へのショートカット。
http://www11.big.or.jp/~magmell/diary/200801.html
2008年1月3日の日記
こんなに使える経済学
「臓器売買なしに移植を増やす方法 – 高宮浩司」ですってよ、奥さん。
ここ数日、当blogのホットトピックが臓器売買の話(医療市場の是、医療市場の是2)な…