『カレチ』 池田邦彦

コンビニで立ち読みすると、うるっと来て恥ずかしいこと必至のマンガ『カレチ』(池田邦彦)の単行本が発売された。おかげで、家で人目をはばかることなく、号泣必至。

この『カレチ』はモーニングに不定期連載されている(今週発売号にも掲載されている)。初掲載の時、偶然みつけて読んだのだが、一発でお気に入りになった。

「カレチ」とは、特急に乗務し、案内や検札を行う車掌(客扱専務車掌)の意。
昭和40年代後期を舞台に、国鉄のある新米車掌が主人公の一話完結型オムニバス。主人公は、乗客へのホスピタリティと組織の論理との板ばさみにあいながら、ほんの小さな幸福のために奮闘するという人情話。

たとえば、こんな内容。
列車に少女が乗っている。母子家庭で育った彼女は、家出をしたまま、母には会っていなかった。母危篤の報を受け、せめて最期に間に合うように先を急いでいた。しかし、大雪で列車が遅延し、乗り継ぎ列車の接続に間に合わないかもしれない。
彼女に同情した新米車掌は、規則違反で罰せられることを覚悟で、乗り継ぎ列車を引き止める策を立てる。はたして、その作為が露呈し、彼は窮地に陥る。
その時、車掌の心意気に感じ入った別の乗客が、さらに上を行く策を案じてピンチを救った。
(第1話「業務連絡書」)

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