「ゲゲゲの女房」とかけまして、「感動のあまり、言葉を失ってしまった目玉おやじ」と解きます。その心は? と柄にもなく謎かけをしてしまった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第57回めの放送を見ましたよ。
「こんにちは赤ちゃん」
布美枝(松下奈緒)が自分の暮らしに不満を持っていると見てとった姉の暁子(飯沼千恵子)は、茂(向井理)の言いなりで黙っているのも良くない、たまには家出をして懲らしめるのも手である、と入れ知恵した。
布美枝は、しばらく家へは帰らないと電報を打った。緊急事態なので、茂は電話を借りてかけてくるのではないかと待っている布美枝。しかし、一向に連絡はない。逆に不安になってくる布美枝であった。
その時、姉の家の呼び鈴が鳴った。手が離せない暁子に代わって出てみると、茂がきまり悪そうに立っていた。小言を言おうとする義姉から逃げるように、布美枝を強引に連れて帰ろうとする。まさか直接迎えに来るとは思っていなかった布美枝は、黙ってそれに従った。
帰り道、布美枝は自分の強い意志をはっきりと茂に伝える。ただでさえ苦しいのに、子どもまで生まれたらもっと大変になることはわかっている。しかし、せっかく授かった赤ん坊なので大事にしたい、絶対産むのである、と。
茂は、急に話をはぐらかすように、映画を見て帰ろうと言い出す。驚く布美枝であったが、茂は照れているのだ。ふたりだけで出かけられるのも今のうちだと言い、間接的に出産を歓迎するのだった。そして茂は、やっと自分の正直な心境を話し始める。妊娠を告げられたとき、あまりに急なことでびっくりしてしまったのだと打ち明ける。貧乏が心配の種であることは間違いないが、持ち前の楽観主義で、きっとなんとかなるだろうと言うのだった。
帰り道、ふたりで映画を見た。ロマンチックな映画を見たかった布美枝を無視して、戦争映画に決める茂。見る前はつまらなさそうにする布美枝であるが、ふたりのデート(デート?デートなのか!?)というシチュエーションが楽しく、茂以上に映画を楽しむのであった。
夜は赤飯を炊いた。節約のため、もち米ではなく、うるち米で炊いた赤飯であった。それでも、ふたりは幸せな気分になるのだった。
ふたりの実家にも妊娠の報告をした。茂の母(竹下景子)は手伝いに行くと大騒ぎするが、姑がいてはかえって気詰まりだと夫(風間杜夫)にたしなめられる。そこで、事細かに妊婦の心得を記した長い手紙を書き始めるのだった。布美枝の母(古手川祐子)からは岩田帯(安産祈願の腹帯)が贈られた。添えられていた手紙は、でしゃばりすぎず、優しく布美枝と赤ん坊を気遣うものだった。
茂と布美枝のすれ違いをもっと引っ張るのかと思ったら、早くも解決。
家族が増えるのは嬉しいが、それを咄嗟には喜べないという、古い日本男性の典型が茂だったというオチですが、悪くないんじゃないですかこういうの。温故知新で。
そして、「素直に気持ちを表現できない不器用な男だけれど、やっぱり優しいし、布美枝の事を大事にしてるんだなぁ」と視聴者に思わせておいて、その後の映画館のシーン。やっぱり彼は配慮の足りない人間で、自分の見たい映画を選んじゃうというところで笑わせにきます。良くできたドラマだ、相変わらず。
「ゲゲゲの女房」とかけまして、「感動のあまり、言葉を失ってしまった目玉おやじ」と解きます。その心は「目がはなせません」。
NHK『ゲゲゲの女房』第82回
茂と布美枝がドラマの中で見た映画(第57回)だという『ナバロンの要塞』のDVDを借りたのだけれど、160分もあると知って、週末にかなり気合を入れないと見…