NHK『ゲゲゲの女房』第68回

 針金だけでザクの模型を作ったり、プラモデルの部品枠(ランナー)を組み合わせて人間大のガンダムを作ったりしているガンダムアート製作秘録に感銘を受けた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第68回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 布美枝(松下奈緒)は、茂(向井理)が戦艦プラモデルに熱中していることをこみち書房の人たちに打ち明けた。呆れる面々の中で、美智子(松坂慶子)の夫・政志(光石研)だけは茂の気持ちがわかるという。危機的状況になったとき、何かに熱中して逃避したくなることはよくある、生きるか死ぬかの戦地でもそういう男をたくさん見てきた、と。うそぶきながらも、藍子の様子を見ると、亡くした子供のことを思い出すのか、悲しげに自室へ引っ込むのだった。

 反貸本団体の大竹(中嶋ひろ子)が店先に現れた。自分の息子が『悪魔くん』を借りてきたことを見つけ、子供に低俗な漫画を貸しつけるとは無責任であると怒鳴り込んできたのだ。これまでの抗議活動はおとなしく聞いていた美智子ですら、ついに爆発し、両者の緊張は極限に達した。

 その時、奥から藍子の泣き声が聞こえてきた。目を離した隙に土間へ落下してしまったのだ。大竹の抗議による騒ぎには知らんぷりしていた政志であったが、藍子の緊急事態にはすぐさま駆けつけた。自分の子どもがちょうど藍子くらいの時に出征し、それが今生の別れとなった経験があるので、赤ん坊に対しては複雑な思いを持っているのだ。藍子を最優先する政志は、相変わらず店先で騒ぎ続ける大竹を一喝して追い返してしまった。

 いくつか事件はあったが、話を聞いてもらったことで布美枝は胸のつかえが取れた。意気揚々と帰宅すると、茂の兄(大倉孝二)が来ていた。彼の会社が倒産し、生活に困っているという相談だった。布美枝の反対を押し切って、茂は金を渡してしまった。『悪魔くん』が順調だと信じている茂は、すぐに埋め合わせができると考えているのだ。

 数日後、出版社の戌井(梶原善)が落ち込んだ表情で村井家を訪ねてきた。5冊出版予定だった『悪魔くん』を3冊で打ち切りにして欲しいと言う。1作目が売れ行き不振で、6割近くが返品される見込みとなった。この調子で本を出し続けると、赤字が膨らみ会社も倒産するおそれがあるのだ。

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 こみち書房でのシーンが、グダグダしていた。美智子の夫が、赤ん坊に自分の息子を重ねて複雑な思いを持っているということはわかったが、途中で抗議のオバサンを挟んだりして、ちょっとウロウロする展開だった。
 その上、この夫婦が子供を亡くしており、他人を代償とする流れはもう十分だろ。美智子が息子の身代わりとして、水木ファンの工員・太一(鈴木裕樹)の世話を焼くという設定ができているのに、さらに上乗せするのかよ、って感じでござる。

 あと、布美枝が帰宅するシーン。
 上のまとめ部分で「話を聞いてもらったことで布美枝は胸のつかえが取れた」と書いたのは、僕が登場人物の心境を独自に読み取ったものであり、ナレーションなどで説明が入れられたわけではない。しかし、松下奈緒の笑顔と機嫌の良さそうな演技でそれは明らかであった。
 でも、待て。自分の娘が土間から墜落して、救急車を呼ぶ/呼ばないの大騒ぎをした。結局、様子を見てなんともなかったので、一切医者に見せなかったようだ。その判断はいい。
 しかし、自分の子どもがあわや大怪我か?なんて大騒ぎした後に、母親というのはあんなに呑気な様子で帰宅できるものだろうか?深刻な顔をして「大事には至らなかったけれど、藍子が落ちて体を打ちました」とかなんとか、夫に報告するのが普通じゃないのだろうか?
 それが妙に楽しげに帰ってくるものだから、ちょっと違和感を感じた。

 もっと丁寧な演出で作ってあるはずのドラマなのに、今回はずいぶんと目配りが足りない感じでした。

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